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== 軌道 ==
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かに座55番星eは、かに座55番星Aからわずか2330万km(0.0156[[天文単位|AU]])離れたところを17時間41分で公転している<ref name="EPE2"/><ref name="natiogeo2">[http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20110506001&expand#title 高密度で高温、新型のスーパーアース - ''ナショナルジオグラフィック'']</ref>。これは発見当時で最も短い公転半径であり、2012年現在でもかなり短い部類に属する。公転周期も、本来は発見当時で最も短いものになるはずであったが、[[2010年]]の精密な測定があるまで、公転周期は2.8日と思われていたため<ref name="natiogeo2"/>、当時で最も公転周期の短い惑星とはならなかった。近い軌道のため、将来かに座55番星eは、主星の重力によって砕けてしまうと考えられている<ref name="AstroArts"/>。
かに座55番星eは、かに座55番星Aからわずか233万km(0.0156[[天文単位|AU]])離れたところを17時間41分で公転している<ref name="EPE2"/><ref name="natiogeo2">[http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20110506001&expand#title 高密度で高温、新型のスーパーアース - ''ナショナルジオグラフィック'']</ref>。これは発見当時で最も短い公転半径であり、2012年現在でもかなり短い部類に属する。公転周期も、本来は発見当時で最も短いものになるはずであったが、[[2010年]]の精密な測定があるまで、公転周期は2.8日と思われていたため<ref name="natiogeo2"/>、当時で最も公転周期の短い惑星とはならなかった。近い軌道のため、将来かに座55番星eは、主星の重力によって砕けてしまうと考えられている<ref name="AstroArts"/>。


[[2011年]][[4月27日]]にかに座55番星eは[[通過 (天文)|トランジット]]を起こした。トランジットを起こした事から、軌道傾斜角は81度と推定されている。また、このときの測定から、惑星の物理量に関して多くの情報が得られた。
[[2011年]][[4月27日]]にかに座55番星eは[[通過 (天文)|トランジット]]を起こした。トランジットを起こした事から、軌道傾斜角は81度と推定されている。また、このときの測定から、惑星の物理量に関して多くの情報が得られた。

2012年6月2日 (土) 15:27時点における版


かに座55番星e(55 Cancri e、略号:55 Cnc e)は、地球から40.25光年離れた、太陽と似た恒星かに座55番星Aの周りを公転する太陽系外惑星である。かに座55番星A系の第1惑星である。

発見

かに座55番星eは、かに座55番星A系の5個の惑星のうち、4番目の2004年に発見された惑星である。かに座55番星eはドップラー分光法によって発見された。1997年かに座55番星b2002年かに座55番星dが発見され、視線速度の測定結果からかに座55番星cの存在が予言された中でかに座55番星eは発見され、当時不確定であったcの存在が確定する事となった。

その後、2005年に、恒星の視線速度の変化の説明を、かに座55番星eの代わりに、より遠くの軌道でより重い惑星によって説明しようと、別の惑星が仮定され、2007年に予言どおりかに座55番星fが発見された[1]。ただし、かに座55番星fの存在は、それだけではかに座55番星eの存在を否定する事はできない。

軌道

かに座55番星eは、かに座55番星Aからわずか233万km(0.0156AU)離れたところを17時間41分で公転している[2][3]。これは発見当時で最も短い公転半径であり、2012年現在でもかなり短い部類に属する。公転周期も、本来は発見当時で最も短いものになるはずであったが、2010年の精密な測定があるまで、公転周期は2.8日と思われていたため[3]、当時で最も公転周期の短い惑星とはならなかった。近い軌道のため、将来かに座55番星eは、主星の重力によって砕けてしまうと考えられている[4]

2011年4月27日にかに座55番星eはトランジットを起こした。トランジットを起こした事から、軌道傾斜角は81度と推定されている。また、このときの測定から、惑星の物理量に関して多くの情報が得られた。

物理的性質

かに座55番星eは、地球と比べ、質量は7.8倍[5]、直径は2.04倍[6]であると推定されている地球型惑星である。いわゆるスーパー・アースに分類される。平均密度は5.07g/cm3と、地球より大きいにも関わらず、平均密度がほぼ同じである。これは、質量の5分の1が、水などの軽い物質でできている可能性がある[5]。ただし、恒星から極めて近いため、表面温度は1760℃と推定され[4][7]、生命は存在しないと考えられている。かに座55番星eから見れば、かに座55番星Aは、地球から見た太陽の60倍も大きく、3600倍も明るく輝いていることになる[3]。この高温のため、珪酸塩で出来たを中心とし、超臨界水で出来たが表面を覆っている可能性もある[6][8]大気の成分は、高温の水蒸気と、水の一部が主星からの紫外線によって分解されて生じた遊離酸素が混ざった物であると考えられている[9]

かに座55番星A系のそれぞれの惑星から見た恒星の明るさ。一番左がかに座55番星e。

かに座55番星eのパラメーターは、後の測定により何回か訂正されている。発見当初は地球の17.7倍(その後14倍)というホット・ネプチューンであると推定されていた。このときには、天王星型惑星の質量を持つ初めての天体として、グリーゼ436bと同時に発表されている。その後、2011年までは質量は8.63倍、直径は1.6倍と考えられ、平均密度が11.58g/cm3と、並みの密度がある風変わりな地球型惑星であると思われていた[10]。その後、スピッツァー宇宙望遠鏡による2011年4月27日のトランジットと精密な視線速度の測定により、詳しい直径と質量が求められ、いくつかの訂正があった後に[11][8][2]現在の値に落ち着いた。

生成

かに座55番星eは、初めから岩石惑星として生成したのではなく、初めは、水などの揮発性物質に富んだガス惑星として誕生し、その後恒星に近づいた事から、恒星のコロナ質量放出の影響を受けて、ガス成分を失ったと推定されている。そして現在では、高圧で固まっていた氷から、温度上昇で超臨界流体として高温高圧の水が生じ、珪酸塩で出来たを覆っていると考えられている[8][9]

かつては、木星質量の惑星の重力によって内側に押された可能性も指摘されたが、現在では否定されている[12]

脚注

  1. ^ Record Fifth Planet Discovered Around Distant Star - SCIENTIFIC AMERICAN
  2. ^ a b 引用エラー: 無効な <ref> タグです。「EPE2」という名前の注釈に対するテキストが指定されていません
  3. ^ a b c 高密度で高温、新型のスーパーアース - ナショナルジオグラフィック
  4. ^ a b 引用エラー: 無効な <ref> タグです。「AstroArts」という名前の注釈に対するテキストが指定されていません
  5. ^ a b 引用エラー: 無効な <ref> タグです。「natiogeo1」という名前の注釈に対するテキストが指定されていません
  6. ^ a b 引用エラー: 無効な <ref> タグです。「Astrophysics」という名前の注釈に対するテキストが指定されていません
  7. ^ 引用エラー: 無効な <ref> タグです。「nasa」という名前の注釈に対するテキストが指定されていません
  8. ^ a b c Improved precision on the radius of the nearby super-Earth 55 Cnc e - ArXiv
  9. ^ a b Origin and Ubiquity of Short-Period Earth-like Planets: Evidence for the Sequential-Accretion Theory of Planet Formation - ArXiv
  10. ^ The mystery of exoplanet 55 Cnc e - Astrobites
  11. ^ 引用エラー: 無効な <ref> タグです。「Journal」という名前の注釈に対するテキストが指定されていません
  12. ^ Two new "very hot Jupiters" among the OGLE transiting candidates - ArXiv

関連項目

外部リンク

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