かに座55番星b

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かに座55番星b
太陽系外惑星 太陽系外惑星の一覧
主星
恒星 かに座55番星
星座 かに座
赤経 (α) 08h 52m 35.8s
赤緯 (δ) +28° 19′ 51″
視等級 (mV) 5.95
距離40.3 ± 0.4 ly
(12.3 ± 0.1 pc)
スペクトル分類 G8V
金属量 [Fe/H] 0.29
年齢 7.4–8.7 Gyr
軌道要素
軌道長半径(a) 0.115 ± 0.0000011[1] AU
近点距離 (q) 0.113 AU
遠点距離 (Q) 0.116 AU
離心率 (e) 0.014 ± 0.008[1]
周期(P) 14.65162 ± 0.0007[1] d
軌道傾斜角 (i) ~85[2][3]°
近日点引数 (ω) 131.94 ± 30[1]°
通過時刻 (Tt) 2,450,002.94749 ± 1.2 JD
準振幅 (K) 71.32 ± 0.41[1] m/s
物理的性質
質量(m)>0.824 ± 0.007[1][2] MJ
発見
発見日 1996年4月12日
発見者 バトラー、マーシー
発見方法 ドップラー分光法
現況 公表
参照データベース
Extrasolar Planets
Encyclopaedia
data
SIMBADdata
Exoplanet Archivedata
Open Exoplanet Cataloguedata
かに座55番星bの想像図

かに座55番星b(55 Cancri b)は、太陽に似たかに座55番星の周囲を14.65日の周期で公転する太陽系外惑星である。惑星を恒星からの距離の順番に並べて2番目に位置する。ホット・ジュピターの例とされるが、むしろ「ウォーム・ジュピター」であるともされる[4]。1996年にジェフリー・マーシーポール・バトラーにより発見され、パルサー惑星を除いて4つ目の既知の太陽系外惑星となった。

発見[編集]

かに座55番星の視線速度の変動は、かに座55番星bの存在のせいである。

大部分の太陽系外惑星と同様に、かに座55番星bは惑星の重力の影響による主星の視線速度の変化を検出することにより発見された。かに座55番星のスペクトルのドップラー効果を測定することにより、15日間の周期が検出された。惑星の発見は、うしかい座τ星bアンドロメダ座υ星bとともに1996年に公表された[5]

木星の78%の質量を持つこの惑星の存在を考慮に入れても恒星の視線速度はまだ一定にならず、その後2002年により外側を公転するかに座55番星dが発見された。

軌道と質量[編集]

かに座55番星bは短い周期の軌道を持つが、これ以前に発見されたホット・ジュピターであるペガスス座51番星bと比べて極端に扁平な軌道ではない。軌道周期は、惑星がかに座55番星cとの1:3平均運動共鳴の近くに位置することを示しているが、惑星のパラメータのシミュレーションは、軌道周期がこの比に近くても惑星は本当に共鳴にある訳ではないことを示している[1]

2012年、惑星の上層大気が恒星を通過するのが観測された。軌道傾斜角が約85°であるため、かに座55番星eとほぼ共平面であることが明らかとなった。これにより、惑星の質量には制約が与えられたが、その半径を制約するには軌道傾斜角が小さすぎた[2]。質量は、木星の約85%である[2]

特徴[編集]

かに座55番星bは、固体の表面を持たない巨大ガス惑星である。大気の通過により、上層が水素であることが示されている[2]

この通過はほぼ接線であるため、半径や密度、表面温度等は未知である。組成が木星と同様であり環境は化学平衡に近いと仮定すると、かに座55番星bの大気上層は雲がなく、スペクトルはアルカリ金属吸収線が支配的であると予測される[6]

大気の通過は、恒星の熱の下でそれがゆっくりと蒸発していることを示している。蒸発は、それまで研究されてきたホット・ジュピターよりも遅い[4]

もし衛星を持っていれば、潮汐力により短期間で吹き飛ばすか破壊してしまうと考えられるため、大きな衛星は持っていないと考えられる[7]

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f g Fischer, Debra A. et al. (March 2008 2008). “Five Planets Orbiting 55 Cancri”. The Astrophysical Journal 675 (1): 790–801. arXiv:0712.3917. Bibcode 2008ApJ...675..790F. doi:10.1086/525512. http://stacks.iop.org/0004-637X/675/i=1/a=790. 
  2. ^ a b c d e Ehrenreich, D. et al. (October 2, 2012 2012). “Hint of a transiting extended atmosphere on 55 Cancri b⋆”. Astronomy & Astrophysics 547: A18. arXiv:1210.0531. Bibcode 2012A&A...547A..18E. doi:10.1051/0004-6361/201219981. 
  3. ^ D. Dragomir, 2012-08-27, referred to in Ehrenreich
  4. ^ a b Astrophile: First puffy, 'warm Jupiter' spotted - space - 12 October 2012”. New Scientist. 2012年11月9日閲覧。
  5. ^ Butler, R. Paul et al. (1997年). “Three New "51 Pegasi-Type" Planets”. The Astrophysical Journal Letters 474 (2): L115–L118. Bibcode 1997ApJ...474L.115B. doi:10.1086/310444. http://stacks.iop.org/1538-4357/474/i=2/a=L115. 
  6. ^ Sudarsky, David et al. (2003年). “Theoretical Spectra and Atmospheres of Extrasolar Giant Planets”. The Astrophysical Journal 588 (2): 1121–1148. arXiv:astro-ph/0210216. Bibcode 2003ApJ...588.1121S. doi:10.1086/374331. http://stacks.iop.org/0004-637X/588/i=2/a=1121. 
  7. ^ Barnes, Jason W.; O’brien, D. P. (2002年). “Stability of Satellites around Close-in Extrasolar Giant Planets”. The Astrophysical Journal 575 (2): 1087–1093. arXiv:astro-ph/0205035. Bibcode 2002ApJ...575.1087B. doi:10.1086/341477. http://stacks.iop.org/0004-637X/575/i=2/a=1087. 

外部リンク[編集]

座標: 星図 08h 52m 35.8s, +28° 19′ 51″