「アセトン」の版間の差分
編集の要約なし |
m →危険性: ml→mL. |
||
47行目: | 47行目: | ||
== 危険性 == |
== 危険性 == |
||
危険有害性情報として「引火性の高い液体及び蒸気、眼刺激、生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い、眠気又はめまいのおそれ、呼吸器への刺激のおそれ、長期又は反復ばく露による血液の障害のおそれ、飲み込み・気道に侵入すると有害のおそれ」、MSDS に「眼の刺激性、中枢神経への影響あり」と表示される。吸引すると頭痛、気管支炎などを引き起こし、大量だと意識を失うこともある。[[ラット]]の[[半数致死量]] (LD<sub>50</sub>) は 10.4 mL/kg(経口)<ref>Merck Index 13th ed., 67.</ref>。 |
危険有害性情報として「引火性の高い液体及び蒸気、眼刺激、生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い、眠気又はめまいのおそれ、呼吸器への刺激のおそれ、長期又は反復ばく露による血液の障害のおそれ、飲み込み・気道に侵入すると有害のおそれ」、MSDS に「眼の刺激性、中枢神経への影響あり」と表示される。吸引すると頭痛、気管支炎などを引き起こし、大量だと意識を失うこともある。[[ラット]]の[[半数致死量]] (LD<sub>50</sub>) は 10.4 mL/kg(経口)<ref>Merck Index 13th ed., 67.</ref>。 |
||
ヒト経口推定致死量 |
ヒト経口推定致死量 50~75mL。 |
||
;身近な事故例 |
;身近な事故例 |
||
:自分でマニキュアの調色や希釈をしようとして瓶を激しく振り、蒸気圧によりガラス瓶が破裂し手に怪我を負った例がある。 |
:自分でマニキュアの調色や希釈をしようとして瓶を激しく振り、蒸気圧によりガラス瓶が破裂し手に怪我を負った例がある。 |
2009年12月28日 (月) 12:36時点における版
アセトン | |
---|---|
一般情報 | |
IUPAC名 | 2-プロパノン(系統名) |
別名 | ジメチルケトン |
分子式 | C3H6O |
分子量 | 58.08 |
形状 | 無色液体 |
CAS登録番号 | [67-64-1] |
性質 | |
密度と相 | 0.788 (25 ℃) [1] g/cm3, |
水への溶解度 | 任意に混和する |
融点 | -94 °C[1] |
沸点 | 56.5 °C[1] |
pKa | 20(水中) |
屈折率 | 1.3591 (20 ℃, D)[1] |
アセトン (acetone) は有機溶媒として広く用いられる有機化合物で、もっとも単純な構造のケトンである。IUPAC命名法では 2-プロパノン (2-propanone) と表される。両親媒性の無色の液体で、水、アルコール類、クロロホルム、エーテル類、ほとんどの油脂をよく溶かす。常温で高い揮発性を有し、強い引火性がある。
関連法規
- 消防法による危険物(第四類 引火性液体、第一石油類)に指定されており、一定量以上の貯蔵には消防署への届出が必要で、一定量以上の取り扱いには危険物取扱者乙四類か、甲種免許所持者でなければならない。
- 麻薬向精神薬原料対象物質
製造
酢酸カルシウムの乾留や、クメン法によるフェノール製造の過程で、クメンヒドロペルオキシド (C6H5C(CH3)2OOH) の酸分解の段階において、アセトンが副生物として得られる。
また、イソプロピルアルコールを酸化亜鉛などの触媒存在下に脱水素、あるいは空気酸化して得られる酸化物を分解することによっても得られる。プロピンに水を付加することでも得られる。プロピレンをワッカー酸化によってアセトンとする方法も用いられる。
アセトンから出発する有機合成の需要は比較的少なく、クメン法などに伴い副生するアセトンの産量は過剰である。このため価格は安い。
合成アセトンの 2008年度日本国内生産量は 490,921 t、工業消費量は 119,678 t である[2]。
歴史的には、初期の製造法では木材を乾留して得られる木タールを蒸留して得ていたが、この方法では生産量が少なく、アセトンは高価な試薬であった。無煙火薬が発明されるとコルダイトを製造するための溶媒として大量に必要になり需要が激増した。ハイム・ワイツマンが第一次世界大戦中に、砂糖などから得られたデンプンにバクテリアの1種クロストリジウム・アセトブチリクムを作用させるバクテリア発酵法を発明し、イギリス軍に提供した。これがきっかけでバルフォア宣言が出され、後のイスラエル建国が約束され、ワイツマンはイスラエルの初代大統領となった。
危険性
危険有害性情報として「引火性の高い液体及び蒸気、眼刺激、生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い、眠気又はめまいのおそれ、呼吸器への刺激のおそれ、長期又は反復ばく露による血液の障害のおそれ、飲み込み・気道に侵入すると有害のおそれ」、MSDS に「眼の刺激性、中枢神経への影響あり」と表示される。吸引すると頭痛、気管支炎などを引き起こし、大量だと意識を失うこともある。ラットの半数致死量 (LD50) は 10.4 mL/kg(経口)[3]。 ヒト経口推定致死量 50~75mL。
- 身近な事故例
- 自分でマニキュアの調色や希釈をしようとして瓶を激しく振り、蒸気圧によりガラス瓶が破裂し手に怪我を負った例がある。
用途
マニキュアの除光液やプラスチック系接着剤、塗料の溶剤、瞬間接着剤のはがし液など含まれているものは多岐にわたる。 マニキュアの除光液は脱脂性が強いため爪を劣化させることがあり、ノンアセトンタイプの除光液も発売されている。
有機溶媒も水もよく溶かし、沸点が低く乾きやすいため、有機化学研究の分野で器具の洗浄に使われる。また、1,2-ジオールのアセトニド保護にも使われる。
その他の用途では、生物学に関連する諸分野で、生物組織の脱水、脱脂、固定などに用いられることがある。人間や動物の遺体を標本にするプラスティネーション処理を行う際には、合成樹脂で固める前に水分と脂肪分を全てアセトンに置き換える。
アセトンは、メタクリル酸メチル (MMA) の原料として用いられる。
溶媒と酸化剤とを兼ねるかたちで、オッペナウアー酸化(Oppenauer oxidation、トリアルコキシアルミニウム触媒により 2級アルコールからケトンを生成する酸化反応)にて用いられる。
アセトンをしかるべき反応条件で酸化させると、過酸化アセトン、あるいはジメチルジオキシランを生じる。
工業においては、単体では容易に分解やそれによる爆発を起こしやすいアセチレンを、ガスボンベ内で安定な状態で保つためにアセトンが使われる。まずガスボンベ内にケイ酸カルシウムを入れ、次にアセトンをボンベ内に入れることでケイ酸カルシウムにアセトンを吸着させる。その吸着しているアセトンにアセチレンを溶解することで、ボンベ内で比較的安定に保つことができる[4]。