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'''比湿'''(ひしつ)とは、大気中に含まれる水蒸気量の表現方法の1つで、湿潤空気(水蒸気を含む[[空気]])の[[質量]]に対する[[水蒸気]]の質量の割合のこと。質量同士の比なので、[[無次元数]]である。単位体積とすれば、密度の比となる。
'''比湿'''(ひしつ, {{lang-en-short|specific humidity}})とは、大気中に含まれる[[水蒸気]]量の表現方法の1つで、湿潤空気(水蒸気を含む[[空気]])の[[質量]]に対する水蒸気の質量の割合のこと。質量同士の比なので、[[無次元数]]である。単位[[体積]]とすれば、[[密度]]の比となる。記号はs、q、xなどを用いる。


== 圧力を用いた表現 ==
水蒸気の質量をmv、湿潤空気の質量をmwとすると、以下の式で定義される。
水蒸気の質量を<math>m_v\,</math>、湿潤空気の質量を<math>m_w\,</math>とすると、以下の式で定義される。
:<math>s=\frac{m_v}{m_w}</math> [g/g]
:<math>s=\frac{m_v}{m_w}</math> [g/g]


これを圧力によって定義しなおすと、次のようになる。eは水[[蒸気圧]]、pは[[気圧]]。
これを圧力によって定義しなおすと、次のようになる。eは水[[蒸気圧]]、pは[[気圧]]。
:<math>=\varepsilon \frac{e}{\big\{ p-\big( 1-\varepsilon \big) e \big\}}</math> [g/g]
:<math>s=\varepsilon \frac{e}{\big\{ p-\big( 1-\varepsilon \big) e \big\}}</math> [g/g]


εは密度比といって、乾燥空気の[[分子量]]に対する水の分子量の比を表す。εは約0.622で一定なので、代入して簡略化すると1-0.622=0.378より、次のようになる。
εは密度比といって、乾燥空気の[[分子量]]に対する水の分子量の比を表す。εは約0.622で一定なので、代入して簡略化すると1-0.622=0.378より、次のようになる。
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混合比<math>m=0.622\frac{e}{p}\,</math> [g/g]である。よって、混合比sと比湿mの関係は
混合比<math>m=0.622\frac{e}{p}\,</math> [g/g]である。よって、混合比sと比湿mの関係は
:<math>s=\frac{m}{1+m}\,</math>で表される。
:<math>s=\frac{m}{1+m}\,</math>で表される。

== 密度を用いた表現 ==
また、密度比においても同様に式が成り立つ。水蒸気の密度を<math>\rho_v\,</math>、湿潤空気の密度を<math>\rho_w\,</math>、乾燥空気の密度を<math>\rho_d\,</math>とすると、以下の式で定義される。
:<math>s=\frac{\rho_v}{\rho_w}=\frac{\rho_v}{\rho_d+\rho_v}</math>


== 出典 ==
== 出典 ==
* [http://www.es.ris.ac.jp/~nakagawa/term_collection/yogoshu/ll/hi.htm 中川用語集 ひ]
* [http://www.es.ris.ac.jp/~nakagawa/term_collection/yogoshu/ll/hi.htm 中川用語集 ひ]
* [http://kobam.hp.infoseek.co.jp/meteor/mixing-ratio.html 混合比・比湿] 気象用語集
* [http://kobam.hp.infoseek.co.jp/meteor/mixing-ratio.html 混合比・比湿] 気象用語集
* [http://amsglossary.allenpress.com/glossary/search?id=specific-humidity1 specific humidity] AMS glossary


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[[Category:気象学]]
[[Category:大気熱力学]]
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[[de:Spezifische Luftfeuchtigkeit]]
[[en:Specific humidity]]

2009年12月6日 (日) 07:37時点における版

比湿(ひしつ, : specific humidity)とは、大気中に含まれる水蒸気量の表現方法の1つで、湿潤空気(水蒸気を含む空気)の質量に対する水蒸気の質量の割合のこと。質量同士の比なので、無次元数である。単位体積とすれば、密度の比となる。記号はs、q、xなどを用いる。

圧力を用いた表現

水蒸気の質量を、湿潤空気の質量をとすると、以下の式で定義される。

[g/g]

これを圧力によって定義しなおすと、次のようになる。eは水蒸気圧、pは気圧

[g/g]

εは密度比といって、乾燥空気の分子量に対する水の分子量の比を表す。εは約0.622で一定なので、代入して簡略化すると1-0.622=0.378より、次のようになる。

[g/g] また、ふつうは右辺を1000倍して [g/kg] とする。

混合比 [g/g]である。よって、混合比sと比湿mの関係は

で表される。

密度を用いた表現

また、密度比においても同様に式が成り立つ。水蒸気の密度を、湿潤空気の密度を、乾燥空気の密度をとすると、以下の式で定義される。

出典