ドミニオン (スタートレック)

ドミニオン(Dominion)とは「スタートレック」シリーズに登場する架空の国家で、ガンマ宇宙域を広く支配している。

創設者を頂点として、彼らにかしずくよう遺伝子操作されたボルタ人、ジェムハダーなど様々な種族によって構成されている。その行動原理は混沌の中にある宇宙に秩序をもたらすというもの。惑星連邦やクリンゴン帝国などを上回ると思われる科学技術力と、小型戦闘艇から大型航宙艦にいたるまで強大な戦闘力を持つ軍隊を有し、ロミュラン帝国が当時使用していた遮蔽装置を見破るほどである。また、他種族侵略に際しては、抵抗を受けた場合、その種族に対して不治の病を発するウィルスを惑星全体にばらまくなど、非情で冷徹な側面を持つ。さらに、創設者自らが、侵略対象の要人等に変身して入れ替わったたうえ、情報収集や破壊工作などを行うこともある。

24世紀、安定したベイジョー・ワームホールによってアルファ宇宙域と接触するようになると、アルファ宇宙域の覇権を握るべく、カーデシア連合と（後には、ブリーンとも）同盟を組み、惑星連邦・クリンゴン帝国・ロミュラン帝国の連合との戦争を引き起こした（ちなみに、この戦争中、ボルタ人のウェイユンは、「ドミニオン創設以来1万年間、降伏とは無縁」と発言していた）。

ドミニオンが実際に登場する作品は『スタートレック:ディープ・スペース・ナイン』であり、他のシリーズでは台詞での言及などにとどまる。例えば小説『カーク艦長の帰還』下巻P61では、ただ単に「カーデシアがドミニオンによって領有権を脅かされている…」と、だけ記載されている（ただし、同小説は非正史扱いである）。

そのため、日本語版では固有名詞である「ドミニオン」を「自治領」などと語義そのままに訳してしまっている場合があるので注意を要する。例えば『スタートレック:ヴォイジャー』の「プロメテウスの灯を求めて」では、アルファ宇宙域から遠く離れてしまったため現在の事情を知らないU.S.S.ヴォイジャーのクルー（ドクター）に対し、連邦の最新鋭艦U.S.S.プロメテウスのドクターのEMHマークIIがドミニオンとの戦いを説明する台詞を「自治領との内紛」と誤訳している。ちなみに、劇場版の『スタートレック 叛乱』および『ネメシス/S.T.X』での言及の際には、「ドミニオン」と正しく訳されている。