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2008年4月29日 (火) 14:15時点における版

燃えよドラゴン(英語題名:ENTER THE DRAGON、中国語題名:龍爭虎鬥〈日本では龍争虎闘と書かれることもある〉)は、1973年製作・公開のブルース・リー主演映画

ワーナー・ブラザーズアメリカ)とゴールデン・ハーベスト傘下のコンコルド・プロダクション(香港)の合作。


注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。


解説

ブルース・リーカンフーが世界的なブームとなり、多くのフォロワーが生まれ、現在の格闘技ブームにも大きな影響を与えた記念碑的作品。ラロ・シフリン作曲の印象的なテーマ曲もヒットチャート1位を記録し、今日に至るまで数多くのTV・ラジオ番組のテーマ曲・コーナーテーマ・BGMなどに重用され続けている。

ストーリー

ミスター・ハン(シー・キエン)が三年に一度開催する武術トーナメントへの招待を受けた少林寺の高弟リー(ブルース・リー)は、国際情報局のブレイスウェイト(ジェフリー・ウィークス)に犯罪組織の疑いが高いハンの島の内偵を依頼される。準備の為に一度帰郷したリーは父親から、数年前ハンの屈強な手下オハラ(ボブ・ウォール)の仲間達によって追い詰められた妹スー・リン(アンジェラ・マオイン)が自害を遂げた事を聞き、ハンへの復讐を誓う。

招待客の中には借金を重ねマフィアに追われているローパー(ジョン・サクソン)、職務質問してきた警官を暴行し半ば逃亡状態のウィリアムズ(ジム・ケリー)も居た。到着した招待客を迎えるのは金髪の美人(アーナ・カプリ)と、筋肉隆々の男ボロ(ヤン・スエ)。島はまるで要塞のようであり、広大なコートでは大勢の男達が武術の訓練を行っていた。

トーナメント前夜の祝宴は正に至れり尽くせりであったが、リー、ローパー、そしてウィリアムズは徐々にハンに対する不信感を募らせる。祝宴も終わり、リーは夜を過ごす相手として祝宴会場で見かけたメイ・リン(ベティ・チュン)を指名。彼女は数ヶ月前よりハンの島に潜り込んでいた諜報員だった。その夜メイはリーに、ハンに呼び出された女性が次の日から忽然と姿を消す事を伝える。

翌日、トーナメントがハンの号令により開始され、ウィリアムズとローパーがそれぞれ出場し、勝ち進んでいく。夜になり、内偵を進めていたリーは警備員達に捕まりそうになるが何とか逃げ切る。それを偶然外で散歩をしていたウィリアムズが目撃していた。

翌日ハンは、失敗を犯した警備員達を見せしめとしてボロと闘わせた。放り投げ、骨を砕き、次々と片付けるボロ。トーナメントが再開され、リーの出番になる。その相手はなんと宿敵のオハラだった。しかしリーには相手ではなかった。サンドバッグの如くキックを何度も受ける赤子同然のオハラ。立ち去ろうとするリーに割れたボトルを突き付けてくるオハラだったがキックを脳天に食らい倒れた次の瞬間リーは宙に舞い上がりそのまま急降下、骨の砕ける音とともに勝負がついた。審判がオハラの安否を確かめたが既に事切れていた。

その後ウィリアムズがハンに呼び出され、前夜の散歩を警備員に目撃されていた事から内偵を疑われ追及される。島に嫌気がさしたウィリアムズはハンに反抗するが、金属の義手を持つハンになぶり殺されてしまう。次にハンに呼び出されたローパーは、麻薬工場の内部を案内され、部下になる事を切り出される。トーナメントの目的は世界で活動出来る部下を探す為であった。途中、労働力の為に連れて来られた囚人達の姿がローパーの目に止まった。答えを渋るローパーの目の前に待っていたのはウィリアムズの死体だった。ローパーは服従を誓うしかなかった。

その夜内偵を続けていたリーは麻薬工場等の様々な犯罪の証拠を発見、情報局に向けて信号を送る事に成功するがハンの手下達に追われ、攻防の末ハンに捕まってしまう。

翌日、ローパーを待っていたのは囚われの身となったリーであった。ローパーは見せしめとしてリーと闘う事を命じられ、断ると代わりにボロと闘う事になった。激闘の末ボロを倒したローパー。怒り狂ったハンは手下達に、リーとローパーを殺すよう命じる。襲い掛かる手下達を次々と倒していくリーとローパー。その時メイが解放した囚人達が手下達目掛けて向かってきた。形勢不利と感じ義手を金属の爪に変えながら逃げるハン、それを追うリー。いよいよ最後の対決となる…。

スタッフ

共演者

特記

  • 1973年12月に初めて日本公開された時点で、ブルース・リー本人は既に故人となっていた(1973年7月20日死去)。
  • ブルース・リーの主演映画は本作『燃えよドラゴン』以外は中国語版も英語版も全て声優による吹き替えとなっている(香港映画では声優が声を吹き替えるのが通常だからである)。しかし本作『燃えよドラゴン』の英語版のセリフは全て本人の肉声である。但し、有名な「アチョー」の奇声(怪鳥音)は、本作以外にも『ドラゴン怒りの鉄拳』『ドラゴンへの道』では本人の肉声である。
  • オハラ役のボブ・ウォールは、ブルース・リーのアメリカ時代の友人で、前作『ドラゴンへの道』でリーに誘われて悪役を演じたのが評判となり、続けての映画出演となった。後に『死亡遊戯』にも出演している。
  • ドラゴン危機一発』『ドラゴン怒りの鉄拳』『ドラゴンへの道』と、ブルース・リーの一連の香港作品で共演しているトニー・リュウが、試合でローパーと対戦する役を演じているが殆ど目立っていない。
  • 撮影に参加しているハンの部下のエキストラたちは、辺りにいたチンピラやヤクザを集めて撮影された。おかげで撮影現場は不穏な空気が漂っていたらしい。ハンの愛人のエキストラにも現役の娼婦がいた。
  • 撮影中、上記の中からブルース・リーに勝って名を上げようとする挑戦者が現れた事実がある(共演者ボブ・ウォールの証言、対戦中と思われる写真が存在する)。闘志剥き出しのリーに挑戦者は全く成す術が無かったらしい。そのため撮影中に漂っていた不穏な空気は一掃されたという。
  • オハラ役のボブ・ウォールが割れたビンでリーに襲いかかるシーンを撮影中、誤ってリーの手首を負傷させるアクシデントが発生してしまった。出血が酷く、撮影現場は一時騒然となり、前述の事件ですっかりリーに心服していたエキストラ達からはウォールを殺せという声が上がるほどだった。結局、この騒動は監督のクローズが「ボブは必要な役者だから」と説得して収拾した。また、リーが地下に侵入する際にコブラを捕まえるシーンでも、リーはコブラを掴むタイミングを誤り腕を噛まれてしまった。幸いにも、コブラから毒は抜かれていたので傷だけで済んだ。
  • スタジオ・セット等は殆ど現地の中国人スタッフによって作られ、プロデューサーのフレッド・ワイントロープもその技術に脱帽するほどだった。しかし、鏡の間のシーンでは割った鏡から新聞紙が見えてしまうという少々お粗末な部分がある。
  • 日本も含め世界的な大ヒットとなったが、地元香港では大スター死去の直後にもかかわらず、前作『ドラゴンへの道』(その時点の最高興行記録)を凌ぐまでには至らなかった。一連の興行成績についてプロデューサーらは「香港や中国の観客は、リーのような細身の田舎者が、日本人や屈強な白人を痛快に叩きのめすような内容の作風を望んでいたから」等と分析している。
  • ジャッキー・チェンサモ・ハン・キンポーユン・ピョウもチョイ役で出演している。詳細はブルース・リーを参照。
  • 特に、冒頭のサモ・ハン・キンポーとの格闘シーンは、全ての撮影が終了した後にリーがセッティング、監督したものだ。
  • 日本人では『笑点』の座布団運びで有名な松崎真がスモウレスラー役で出演している。
  • 劇中の戦闘シーンでリラックスしているエキストラや爆笑しているエキストラがいたことがフジテレビ系の番組、「トリビアの泉」で取り上げられたが、同番組から問い合わせが来るまで、映画の制作者側もそのエキストラのことに気づかなかったらしい。
  • 武術指導助手を担当したのが、『霊幻道士』での道士役で有名なラム・チェンインである。当時若干21歳の若さであったが、リーからの絶対的な信頼とその腕、実力を認められての抜擢だった。米国公開版ではノンクレジットだが、香港公開版では、リーと共にその名を連ねている。ラムは、助手の他にも、あらゆる場面でのスタントも担当した。
  • オープニングのために、少女がバイクでトーナメントの招待状を空港に届けるというシーンが撮影されたが、結局使用されず幻となった。

香港公開版のみにあったシーンについて

  • 序盤で、リーが少林寺の高僧に、截拳道(Jeet Kune Do / JKD〈ジークンドー〉)に関する概念を説明する約3分程度の場面があり、さらにクライマックスの鏡の間の戦いでは、ハンの攻撃に窮地に陥ったリーが、序盤の高僧との会話シーンを想起して目覚め、窮地を打開してハンを倒すきっかけとなる、10秒ほどの場面があった。この場面はリーが最終的に監修した香港公開版のみに使用されたが、ワーナーの意向で国際公開版からはカットされていた。
  • このシーンは会話の内容を改変して『死亡の塔』にも流用されている。
  • 2003年に、製作30周年を記念して、ワーナー版にこの場面が編入され、「ディレクターズ・カット版」がソフト発売された(当然正規版)。かなり珍しい両面1層ディスクとなり、A面に本編、B面に映像特典が収録されている。現在発売されている日本盤DVDは、ほぼすべてこのエディションである。
  • 香港公開版はワーナー版とオープニングが異なる。グリーンのタイトルバックに、リーのアクションが切り絵風アニメーションでリズミカルに動くものであった。この香港公開版は、現在では香港盤DVDで視聴可能である。