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フェアトレード・タウン
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第二次世界大戦後の東欧の経済復興のため手工業品の輸入を行ったのがフェアトレードの考えの始まりと言われる。
第二次世界大戦後の東欧の経済復興のため手工業品の輸入を行ったのがフェアトレードの考えの始まりと言われる。
1960年代に、経済的、社会的に立場の弱い生産者に対して、通常の国際市場価格よりも高めに設定した価格で継続的に農産物や手工芸品などを取引し、発展途上国の自立を促すという運動として、ヨーロッパから始まった。イギリスのトレードクラフトやドイツのゲパのような団体が生まれた。
1960年代に、経済的、社会的に立場の弱い生産者に対して、通常の国際市場価格よりも高めに設定した価格で継続的に農産物や手工芸品などを取引し、発展途上国の自立を促すという運動として、ヨーロッパから始まった。イギリスのトレードクラフトやドイツのゲパのような団体が生まれた。

その後、フェアトレードの考えに共感した流通ビジネスを巻き込み、より一般市場向けの製品の販売を始めた。また、フェアトレード認証マークも生まれた。現在は、スターバックスに代表される一般の企業も参入している。
その後、フェアトレードの考えに共感した流通ビジネスを巻き込み、より一般市場向けの製品の販売を始めた。また、フェアトレード認証マークも生まれた。現在、イギリスやカナダを中心とした欧米で、フェアトレード認証製品の販売や利用を促進している街を認定する「[[フェアトレード・タウン]]」制度が広がっているほか、スターバックスに代表されるような一般の企業も参入している。


日本のフェアトレードは、1986年に株式会社プレス・オルターナティブの「第3世界ショップ」に始まる。1989年にオルター・トレード・ジャパン(ATJ)が設立され、主として[[生活協同組合|生協]]内でフェアトレードを広げた。1990年代には、いくつもの団体が生まれ、日本各地でフェアトレードショップができた。2000年代に入り、2002年にスターバックスがコーヒーの販売を始めたのに続き2003年にイオンがコーヒーの販売を始めるなど、特にコーヒー製品で大手企業が参入している。
日本のフェアトレードは、1986年に株式会社プレス・オルターナティブの「第3世界ショップ」に始まる。1989年にオルター・トレード・ジャパン(ATJ)が設立され、主として[[生活協同組合|生協]]内でフェアトレードを広げた。1990年代には、いくつもの団体が生まれ、日本各地でフェアトレードショップができた。2000年代に入り、2002年にスターバックスがコーヒーの販売を始めたのに続き2003年にイオンがコーヒーの販売を始めるなど、特にコーヒー製品で大手企業が参入している。
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*ジャン=ピエール・ボリス〔林昌宏 訳〕『コーヒー、カカオ、コメ、綿花、コショウの暗黒物語』(作品社、2005/11)
*ジャン=ピエール・ボリス〔林昌宏 訳〕『コーヒー、カカオ、コメ、綿花、コショウの暗黒物語』(作品社、2005/11)
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2008年3月12日 (水) 07:07時点における版

フェアトレードで買った紅茶(左)とココア(右)、英国にて

公正取引(こうせいとりひき、英:Fairtrade、フェアトレード公平貿易)は、発展途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入することを通じ、立場の弱い途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を目指す運動。オルタナティブ・トレード(Alternative Trade)とも言う。

概要

国際的な貧困対策、環境保護を目的とし、アジア、アフリカ、中南米などの発展途上国から先進国への輸出において、こうした取引形態が採用される場合がある。主な品目としてコーヒーバナナチョコレートのような食品、手工芸品、衣服がある。

需要や市場価格の変動によって生産者が不当に安い価格で買い叩かれ、あるいは恒常的な低賃金労働者が発生することを防ぎ、また児童労働や貧困による乱開発という形での環境破壊を防ぐことを目的としている。最終的には生産者・労働者の権利や知識、技術の向上による自立を目指す。

考え方

国際貿易における先進国と途上国の公平さを図り、立場の弱い途上国の生産者・労働者により良い取引状況を提供し、彼らの権利を強化することで、持続可能な発展が実現できるように貢献する。また、従来の国際貿易の規則と実態を変化させるために働きかける。

  • フェアトレードは以下の戦略を持っている。
    • 取り残された生産者と労働者を助けるため共に働き、脆弱な立場を経済的に持続可能で経済社会発展が可能なように支える。
    • 利害関係者としてフェアトレード機構は生産者と労働者に権限を与えようとする。
    • 国際競争市場で公平さを達成するために広い役割を果たす。

フェアトレードの支持者のなかには、次のような意見を持つ者もいる。

  • 仲買人や国際的な流通業者が不当な利益を得ており、そのために途上国の生産者や労働者が搾取されている。
  • 途上国の商品を先進国に輸出する際、最高400%以上の関税がかかる国や分野があり、途上国がこの関税障壁に費やす費用は年間1000億米ドルに達する。
  • さらに、商品価格の激しい変動により、途上国の生産者は生産のためにかかった経費、労働力、環境負荷、再生産コストに見合わない市場価格で商品を売らざるを得ない場合が多く、生産者は生活に必要な賃金が保証されない。

歴史

第二次世界大戦後の東欧の経済復興のため手工業品の輸入を行ったのがフェアトレードの考えの始まりと言われる。 1960年代に、経済的、社会的に立場の弱い生産者に対して、通常の国際市場価格よりも高めに設定した価格で継続的に農産物や手工芸品などを取引し、発展途上国の自立を促すという運動として、ヨーロッパから始まった。イギリスのトレードクラフトやドイツのゲパのような団体が生まれた。

その後、フェアトレードの考えに共感した流通ビジネスを巻き込み、より一般市場向けの製品の販売を始めた。また、フェアトレード認証マークも生まれた。現在、イギリスやカナダを中心とした欧米では、フェアトレード認証製品の販売や利用を促進している街を認定する「フェアトレード・タウン」制度が広がっているほか、スターバックスに代表されるような一般の企業も参入している。

日本のフェアトレードは、1986年に株式会社プレス・オルターナティブの「第3世界ショップ」に始まる。1989年にオルター・トレード・ジャパン(ATJ)が設立され、主として生協内でフェアトレードを広げた。1990年代には、いくつもの団体が生まれ、日本各地でフェアトレードショップができた。2000年代に入り、2002年にスターバックスがコーヒーの販売を始めたのに続き2003年にイオンがコーヒーの販売を始めるなど、特にコーヒー製品で大手企業が参入している。

批判

搾取者呼ばわりされる仲買人や国際的流通業者からは、社会的インフラが整備されず、活動も困難な発展途上国で商品を集め、輸出を行い、不安定な市場で取引するというリスクの高い事業を行なっているのだから、相応の報酬を得る必要があるとの意見がある。仲買人や国際的流通業者らが、このリスクの高い事業から高いリターンを得ることができなくなり、彼らも事業を継続することは困難となった場合、現状では彼らの代わりに発展途上国の生産品を流通させるシステムは少なく、発展途上国の輸出事業自体が破綻しかねない。フェアトレードは、生産者に肩入れするあまり、流通の必要性を軽視しており、流通業者が価値を生み出す活動を「搾取」と誤解しているとの批判がある。

市場価格の変動については、作柄が不安定な商品の価格が変動するのは、市場経済の原理でありある程度はやむを得ず、それを人為的に抑制するのは困難ではないかとの指摘がある。ただし、近年の投機的資金の流入による乱高下については、批判的な意見が多い。

また、フェアトレードは、形を変えた人為的な価格維持行為であることから、緊急避難的な行為としては評価できるが、長期にわたると、需要と供給の関係から、需要そのものが減少するので、総余剰はかえって減少する。さらに、市場メカニズムの肯定的な側面である、競争による品質向上なども望めなくなり、かえって生産者の自立を妨げる結果ともなりかねず、経済学的には非合理的な行為と言える。この非合理的な行為の継続は経済的矛盾を大きくし、最終的には大きな破綻を招く危惧がある。ただし、ごく短期間、緊急避難的になされるならば、経済政策としては認めがたいが、尊厳ある個人の生存権を最低限保障する社会政策としての意義はある。

外部リンク

フェアトレードの主張

国際的なフェアトレード組織

フェアトレード商品のラベルを管理する組織

オルタナティブ・トレード・オーガニゼーション (ATOs)

フェアトレードに関する書籍

  • デイヴィッド ランサム、市橋秀夫 『フェア・トレードとは何か』 (青土社、2004/11) ISBN 4791761510
  • ジャン=ピエール・ボリス〔林昌宏 訳〕『コーヒー、カカオ、コメ、綿花、コショウの暗黒物語』(作品社、2005/11)