チャック・アダムソン
チャック・アダムソン Chuck Adamson | |
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本名 | Charles Fredrick Adamson |
生年月日 | 1936年6月11日 |
没年月日 | 2008年2月22日(71歳没) |
出生地 | イリノイ州シカゴ |
死没地 | オレゴン州ローズバーグ |
国籍 | アメリカ合衆国 |
職業 | 元警察官、脚本家、俳優、技術アドバイザー、コンサルタント |
活動期間 | 1981年-1995年 |
チャック・アダムソン(Chuck Fredrick Adamson,1936年-2008年)はイリノイ州シカゴ出身の元警察官、脚本家、プロデューサー、俳優。ニックネームは「チャーリー」「チャッキー」。
略歴[編集]
1936年イリノイ州シカゴ生まれ。1958年からシカゴ市警察に勤務、1960年代にC.I.U.(シカゴ警察犯罪情報分析部門)に所属し、連続強盗犯ニール・マッコーリーの捜査にかかわった。
1974年に依願退職し、40歳の頃に作家、脚本家に転向した。1981年の「ザ・クラッカー/真夜中のアウトロー」で脚本を書くと同時に、警察での経験を生かし犯罪に関するアドバイザーとして協力した。原作の”The Home Invaders”を書いたフランク・ホヒマーは、アダムソンが逮捕した元宝石泥棒であった。
またシカゴのロケ地探しの案内役として、アダムソンは友人である現役警察官のデニス・ファリーナを監督のマイケル・マンに紹介した。この出会いがきっかけでファリーナも映画界に転向しマン作品の常連俳優となった。
マイケル・マンとは親友になり「特捜刑事マイアミ・バイス」(脚本)、「クライム・ストーリー」(共同プロデューサー)に参加した。またC.I.U.時代の実体験をヒントに、「メイド・イン・L.A.」(1989)とリメイク作品の「ヒート」(1995)が生まれた。
2008年2月オレゴン州ローズバーグで肺がんにより死去した。翌年に公開された「パブリック・エネミーズ」に "In memory of Chuck Adamson"と彼の名が残されている。
強盗犯ニール・マッコーリー[編集]
ニール・マッコーリー(1915-1964)は実在した強盗犯である。
ニールは一般的な中流階級の家庭に生まれ育ったが、14歳のときに父親が亡くなり、母親と5人の兄弟を養うために退学してシカゴに移り住んだ。この頃から母親が酒に入り浸り、ニールも犯罪に手を出すようになって彼の人生が狂い始めた。20歳になるまでに3回も少年院送りになり、49歳の生涯のうち25年を刑務所で暮らすほどの常習犯となった。
アルカトラズ刑務所で7年間服役したのち1961年にワシントン州ピュージェット湾のマクニール刑務所に移され、翌年に出所。出所するとシカゴに戻りすぐに犯罪を再開した。ウィリアム・ピンカートン、マイケル・パリルという仲間と深夜に事務所や倉庫に忍び込み、機械工具を使って金庫をこじ開けるなどの盗みを数件実行した。
シカゴ市警は彼らの行動を察知し、ウィリアム・ハンハードとジャック・ヒンチーが指揮するC.I.U.(Criminal Investigations Unit=犯罪情報分析部門)が監視に当たることになった。
1963年、C.I.Uのメンバーだったチャック・アダムソンはショッピングモールを歩いているとき偶然マッコーリーと顔を合わせた。アダムソンは彼をコーヒーショップに誘い、敵対する関係ながらも数分間語り合った。
1年後の1964年3月25日、ニール・マッコーリー(49)、マイケル・パリル(37)、ラッセル・ブリーデン(40)、チャールズ・パンティアス(27)ら4名は、警察に監視されていることに気付かぬままシセロ・アベニュー沿いにあった食料品チェーン店National (現在のSchunucks)に強盗に押し入る。現金1万3千ドルを奪って車に乗り込んだが、駐車場の出口は警察によって封鎖されており銃撃戦となった。パリルとブリーデンは車の近くで射殺され、マッコーリーは徒歩で、ポレスティは車で現場から逃走した。マッコーリーは近くの住宅地に逃げ込んだがアダムソンらに追い詰められ、アダムソンと彼の同僚が発砲した6発の銃弾を受けて死亡した。パンティアスは翌日自宅にいるところを逮捕された。自宅から覆面用のストッキングが発見され、本名はミクロス・パラスティと判明した[1]。
深夜の金庫襲撃やコーヒーショップでの刑事と強盗犯の会話など、彼の体験談を聞かされたマイケル・マンは大いに衝撃を受け、テレビ映画「メイド・イン・L.A.」と、後にリメイクされた「ヒート」の着想を得た。
また、強盗犯一味のマイケル・パリルはトム・サイズモア演じるマイケル・チェリト、チャールズ・パンティアス(ミクロス・パラスティ)はヴァル・キルマー演じるクリス・シヘリスのモデルとなった。
逸話[編集]
- C.I.U.の指揮官でアダムソンの直属の上司だったウィリアム・ハンハードは、1960年代頃から20年以上にわたって連続強盗の手引きをしていたことが発覚した。豪邸や店舗が延べ数千万ドル相当の被害を受けたこの事件は、当時最先端のセキュリティシステムを難なく回避して侵入しており内通者がいると推測されていた。ハンハードは「シカゴ史上最も屈折した警察官」と呼ばれた。有罪判決を受け2000年~2012年の12年間服役した[2]。2017年、88歳で慢性閉塞性肺疾患で死亡した。
- ハンハードの事件をヒントに、アダムソンは「ザ・クラッカー/真夜中のアウトロー」の原作 ”The Home Invaders”に更に脚色を加え、「特捜刑事マイアミ・バイス」のシーズン1・第19話「暴行!人妻をおそう恐怖の侵入者」“The Home Invaders” で使用された。
- ハンハードは服役する前の1987年にマイケル・マンが製作した「クライム・ストーリー」シーズン1・第5話にゲスト出演したことがある[3]。
フィルモグラフィ[編集]
製作年 | 邦題 原題 |
役名 | 備考 |
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1981 | ザ・クラッカー/真夜中のアウトロー The Thief |
アンセル | 脚本、技術アドバイザー 出演 |
1984 | ビバリーヒルズ・コップ Beverly Hills Cop |
倉庫で木箱を運ぶ男 | 出演 技術アドバイザー |
1984-1986 | 特捜刑事マイアミ・バイス Miami Vice |
テレビシリーズ 脚本 5エピソード | |
1986 | クライム・ストーリー Crime Story |
ニック・アイエロ シュガーマン |
プロデューサー 2エピソードに出演 |
1989 | メイド・イン・L.A. L.A. Takedown |
原案 | |
1992 | 犯罪最前線トップ・コップス Top Cops |
本人 | ドキュメンタリー |
リバー・ランズ・スルー・イット A River Runs Through It |
ハリー | ||
1994 | ザ・スタンド The Stand |
バリー・ドルガン | テレビシリーズ 4エピソードに出演 |
クイズ・ショウ Quiz Show |
マック | ||
1995 | ヒート Heat |
原案 技術アドバイザー |
脚注[編集]
- ^ “31 Dec 1969, 2 - Chicago Tribune at Newspapers.com” (英語). Newspapers.com. 2019年12月30日閲覧。
- ^ Sweeney, Jeremy Gorner, Annie. “William Hanhardt, former Chicago police official convicted of running jewelry theft ring, dies at 88”. chicagotribune.com. 2019年12月30日閲覧。
- ^ “William Hanhardt”. IMDb. 2019年12月30日閲覧。