イトヨリダイ

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イトヨリダイ
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: スズキ目 Perciformes
亜目 : スズキ亜目 Percoidei
: イトヨリダイ科 Nemipteridae
: イトヨリダイ属 Nemipterus
: イトヨリダイ N. virgatus
学名
Nemipterus virgatus
(Houttuyn, 1782
シノニム
  • Sparus sinensis, Lacepède, 1802
  • Nemipterus matsubarae, Jordan & Evermann, 1902
  • Dentex setigerus, Valenciennes, 1830
  • Sparus virgatus, Houttuyn, 1782
  • Synagris virgatus, Houttuyn, 1782
英名
Golden threadfin bream

イトヨリダイ(糸撚鯛、または、糸縒鯛。学名:Nemipterus virgatus[1])は、硬骨魚綱スズキ目イトヨリダイ科に属する海水魚である。

名称[編集]

名称は糸を撚るような動きで泳ぐことに由来する[1]

生鮮魚介類として流通する場合には「イトヨリ」の名称も用いられる[1][2]。また、地方名として「イトヒキ」と呼ばれる場合もある[1]

分布[編集]

琉球列島を除く本州中部以南の地域[1]東シナ海[1]台湾[1]南シナ海など。深さ200 m程度の砂泥のある海底に生息する[1]

形態[編集]

体長は最大で40 cm程度まで成長する[1]。身体は細長く、やや側扁する。尾びれは深く二叉し、上端部は糸状に伸びる。体色はマダイよりも淡く、ピンク色に近い[1]。体側に黄色い縦縞が6本ある[1]

ヒトとの関わり[編集]

日本[編集]

日本ではうま味が強い白身魚で、美味であるため、経済的価値が高い魚として漁獲され、取引される。中でも、近海で漁獲された大型の物は、高値で取引され、特に関西で珍重される。しかし、日本で市販されている物には輸入された物も多く、その場合は鮮度が落ちるので注意が必要である。日本での旬は、秋から冬にかけてとされる[3]

身が柔らかく崩れ易いため、煮付け料理には向かず、蒸し魚や塩焼きにする場合が多い。身が柔らかいため、病人用の食事として供される場合もある。なお、鮮度が高ければ、刺身にして食べる例も見られる。

台湾[編集]

台湾では「金線鰱」(ジンシエンリエン)と称し、中級の魚として食べられている。油で煎り焼きにする事が最も多いものの、台湾では「話梅」(干し梅)の風味を付けた汁をかけて食べたりもする。また、蒸し魚、塩焼きなどにする場合もある。さらに、魚肉練り製品の材料に使われる場合もある。

中華人民共和国[編集]

香港広東省では「紅衫」「広東語、ホンサーム)と称し、中級の魚として食べられている。油で煎り焼きにする事が最も多いものの、例えば、香港では落花生油で焼いて、豆豉で味を付けるなど、地域によって味付けに違いが見られる。また、蒸し魚、塩焼きなどにする場合もある。

近縁種[編集]

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j k イトヨリダイの特徴 | 釣魚図鑑(特徴・仕掛け・さばき方) | Honda釣り倶楽部”. Honda公式サイト. 2023年10月27日閲覧。
  2. ^ 魚介類の名称表示等について(別表1)” (pdf). 水産庁. 2013年5月29日閲覧。
  3. ^ 本山荻舟 『飲食事典』 p.36 平凡社 1958年12月25日発行

関連項目[編集]