アントニー・トロロープ

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アントニー・トロロープ(Anthony Trollope 1815年4月24日 - 1882年12月6日)は、イギリスの小説家。

ロンドン生まれ。母も小説家のフランセス・トロロープ。貧しい中で育ち、1834年一家でベルギーブルッヘへ移る。ブリュッセルの学校の助教師になるが、同年ロンドンの郵便局に勤務、1841年アイルランドの郵便副監督官になる。1844年結婚。1845年監督官になり、余暇に小説を発表。まとめて「バーセットシャー年代記」と呼ばれる6本の連作を始めとして多くの長編をベストセラーにする[1]。1859年英本国へ転任し、1867年退職。

郵便公社でのフルタイムの仕事をこなしつつ、独自の執筆法(15分間に250語の割合で機械的に著述する)で、締切に追われることなく多くの作品を生み出した。連載小説を書きながら、少なくとも1編か2編は出版を待つばかりの原稿があった。その執筆の有り様は、現代の社会学研究者から「時代を先に走っていた社会科学者」とも評された[2]

1883年の「自伝」でその執筆法を公開すると名声を落したが、のち再評価された[3]

日本語訳書[編集]

  • 『富村邸の基督降誕祭 捧腹絶倒』アンソニー・ツロロープ 深沢由次郎訳 太平洋館 1902年
  • 『アントニー・トロロープ短篇集』鷹書房弓プレス
    1『電信局の娘』都留信夫編、津久井良充編訳 2004年
    2『ピラミッドに来た女』津久井良充、谷田恵司編訳 2008年
  • 『慈善院長』木下善貞開文社出版 2010年
  • 『バーチェスターの塔』木下善貞訳 開文社出版 2011年
  • 『ソーン医師』木下善貞訳 開文社出版 2012年
  • 『フラムリー牧師館』木下善貞訳 開文社出版 2013年
  • 『アリントンの「小さな家」』木下善貞訳 開文社出版 2015年
  • 『バーセット最後の年代記』木下善貞訳 開文社出版 2014年-2016年

脚注[編集]

  1. ^ バーセット最後の年代記(下)|開文社出版株式会社”. www.kaibunsha.co.jp. 2021年2月8日閲覧。
  2. ^ 『意志力の科学』p150-152
  3. ^ 『研究社英米文学辞典』

外部リンク[編集]