Version 7 Unix
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Version 7 UnixまたはSeventh Edition Unixは、UNIXオペレーティングシステムにおける初期の重要なリリースのひとつ。Version 7とかV7とも呼ばれる。ベル研究所が1979年にリリースした。AT&TはV7が普及するのを待って、1980年代初期にUNIXの有料化を行った。V7 はディジタル・イクイップメント・コーポレーションのPDP-11ミニコンピュータなどで動作した。
概要[編集]
ベル研究所からのUNIXのバージョンは、そのユーザーズマニュアルの版によって識別されていた。それがベル研究所が外部に対して広くリリースを行った最初のバージョンは第6版があった。 ベル研究所内の Research Unix の系統は Version 8 Unix に引き継がれているが、実際にはV8は 4.1BSD を導入して開発された。そして第10版まで開発した後、Plan 9 の開発に集中するようになった。
V7は最初の真に移植可能なUNIXであり、様々な移植が行われた。当時はミニコンピュータ全盛期であり、16ビットのマイクロプロセッサも登場しつつあった。そういった様々なアーキテクチャにリリースから数年で移植が行われている。サン・マイクロシステムズの最初のワークステーションでは(MC68010ベース)、Unisoft社が移植した V7 が動作した。最初のXENIXは V7 の拡張であり、Intel 8086 向けである。Onyx Systems は Zilog Z8000 に移植している。VAXに移植された V7 は UNIX/32V と呼ばれ、BSD系Unixの直接の先祖にあたる。ウーロンゴン大学のチームはミニコンピュータ Interdata 7/32 に V7 を移植した。これをInterdataと同社を買収したPerkinElmer が Edition VII として製品化し販売。世界初のUNIXの商用製品とされている。
DECは、修正を加えた V7 を V7M としてPDP-11向けに配布した。V7MはDECのUNIX技術部門の開発によるもので、テキストとデータの分離、ハードウェアエラー対応、数々のデバイスドライバなどが加えられている。多数のテープ装置やディスク装置を接続した環境で問題なく動作できるようにすることにも力が注がれた。V7Mは品質が高く評価されていた。この技術部門が後に Ultrix 開発部門へと発展していったのである。
その強力さとエレガントな単純さから、Version 7 Unix を「最後の真のUNIX」と称する者もいる[1]。
フリーソフトウェアとしてのリリース[編集]
2002年、カルデラ社はフリーソフトウェアライセンスで V7 をリリースした[2]。
V7のブートイメージはこちらでダウンロードでき、SIMHなどPC上のPDP-11エミュレータ上で実行可能である。
V7/x86[編集]
Nordier & Associates はx86への移植版を今も活発に開発している。2012年現在のバージョンは 0.8a で、インストーラのスクリプトを含むブート可能CDイメージが用意されている[3]。
Version 7 の新機能[編集]
Version 7 で登場した新機能として、以下のものがある。
- プログラミングツール: lex、yacc、lint、pcc、make - 一部はPWB/UNIXが初出
- 新コマンド: Bourne Shell、at、awk、calendar、f77、fortune、tar(従来の tp というコマンドの置換)、touch、uucp
- 新システムコール: access、acct、alarm、chroot(ディストリビューションの準備で評価用に使用)、ioctl、lseek(従来は24ビットのオフセットだった)、umask、utime
- 新ライブラリ関数: stdioルーチン群、malloc、getenv、popen/system
- 環境変数
- シェルスクリプト先頭行の "#!" で、実行すべきシェルコマンドを指定する方式
脚注[編集]
- ^ Timar, Ted (1994年5月30日). “A very brief look at Unix history” (英語). www.faqs.org. 2008年5月16日閲覧。
- ^ Caldera releases original unices under BSD license
- ^ http://www.nordier.com/v7x86/index.html main page for UNIX v7/x86