PLエキス

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PLエキス(ピーエルエキス)とは、ダイオウウラボシ(ウラボシ目 ウラボシ科 ポリポディウム属、学名:Phlebodium aureum、別名:Polypodium leucotomos)より抽出されたエキスのこと。

原料[編集]

原料に使用されているダイオウウラボシ(Polypodium leucotomos)はホンジュラス原産のシダの一種。
古代マヤ人は、血液クレンジング剤として飲んでいたといわれる。ホンジュラスでは今なお民間療法として使用されている植物。

概要[編集]

ハーバード・メディカル・スクールにおける光防御分野の第一人者トーマス·B·フィッツパトリック(皮膚科医)により、15年間以上にわたり臨床研究が行なわれた。

経口投与によって紫外線防御効果、抗炎症作用、脳細胞を保護し記憶力の改善や、痴呆アルツハイマーと言った精神疾患に対し、又、自己免疫疾患(過剰な免疫細胞の調節による)の治療や、喘息、心臓病等の治療薬としても使用されている。

紫外線に対する効果[編集]

PLエキスは紫外線防御に対し、抗酸化作用、免疫防御作用、細胞DNA保護作用、皮膚構造の保存の4つ効果があるといわれている。

抗酸化作用[編集]

紫外線は皮膚癌や日光弾性線維等の疾患の原因となるROS(活性酸素)やフリーラジカル(スーパーオキシドアニオン O2-、ヒドロキシラジカル OH-、一重項酸素 1O2、過酸化水素 H2O2等)を発生させる。

PLエキスは強力な抗酸化作用を持ち、UV照射によって起こるフリーラジカルやROSの発生を抑制する。in vitroで、活性酸素、脂質過酸化反応の発生に関与する光酸化ストレスに対して抗酸化作用が認められた。[1][2]

また、PLエキスは無毛ラットモデルでUVB/UVA照射によって誘発されるグルタチオン酸化を阻害しランゲルハンス細胞の枯渇を予防したなどの研究結果がある。[3]

その他、PLエキスはヒト皮膚細胞に対する光防御特性がある[4]、紫外線誘発性の活性酸素種形成、脂質過酸化、紅斑及び皮膚光感作阻害する等の様々な研究が発表されている。[1]

免疫防御作用[編集]

紫外線を浴びるとランゲルハンス細胞の死及び非活性化や抗原を伴わないリンパ腺へのランゲルハンス細胞の遊走による免疫抑制が起こる。PLエキスは経口投与72時間後にPLエキスを投与しなかった場合と比較して、表皮1mm2当たりのランゲルハンス細胞保存数が多かった。さらに、PLエキスの投与をしない状態ではランゲルハンス細胞は大きさが増大し樹状形態が失われていたのに対して、PLエキス投与後の皮膚では、ランゲルハンス細胞の大きさ及び樹状突起の形が保たれていた。[5][6]

PLエキスはUVAおよびUVBの光誘発によるトランスウロカニン酸(t-UCA)の光異化性を抑制するという特性もある。つまり、皮膚免疫監視に直接関与する皮膚細胞と内因性分子の保護ができることが示唆されている。[7]

また、無毛ラットモデルにおいてはUVB/UVA照射によって誘発されるグルタチオン酸化を阻害し、ランゲルハンス細胞の枯渇を予防するという研究結果や[3]、太陽光の模擬照射においてはTNF-α及びiNOSの発現、転写活性化並びにアポトーシスを阻害するとの研究結果もある。[8]

細胞DNA保護作用[編集]

紫外線はDNAの損傷ももたらす。紫外線は2本のDNA鎖の融合(チミンダイマー)やDNA鎖の1本を切断(鎖切断)し、蛋白質による鎖の結合(タンパク質の架橋)をもたらす。DNA損傷は、チミンダイマーと日焼け細胞の増加によって検出ができる。そして、チミンダイマーには変異原性があり、発癌の原因となる。PLエキスは紫外線照射によって生じる日焼け細胞数とチミンダイマー数を減少させ、DNA損傷を減少する効果がある。24時間経過時点の表皮1 mm2当たりの日焼け細胞数は、PLエキスを投与しないときに比べ、有意に少なく(p = 0.03)[5]また、チミンダイマー量においても有意に少なかった(p < 0.001)。さらに、Xpc+/-マウスに対してUVによって誘発されるCOX-2発現量を減少させ、UVによって誘発される光産物の除去を促進するという研究結果がある。つまり、PLエキスの経口投与によって皮膚癌などの皮膚損傷を予防できる可能性があることを示唆している。

皮膚構造の保存[編集]

紫外線を暴露し続けると「光老化」と呼ばれる皮膚の肥厚、弾力の喪失、しわやたるみといった状態に陥る。この「光老化」は、線維芽細胞への直接的な損傷とMMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)産生増加によって引き起こされる。PLエキスはこの「光老化」であるUV照射によって誘発される線維芽細胞の変化、すなわちFアクチンに基づく細胞骨格構造の破壊、チューブリン細胞骨格の癒合を減少し、UV照射によって誘発されるMMP産生を抑制する。[9][10]

また、皮膚線維芽細胞、紫外線照射線維芽細胞及びメラノーマ細胞におけるマトリックスメタロプロテアーゼと阻害物質(線維性コラーゲン、形質転換成長因子β)を調節することができるといわれている。[10]

その他の効果[編集]

UVA は、既存のメラニンの酸化により、即時型色素沈着(IPD、2~4時間)を引き起こし、 UVB は、メラニン細胞の活性化、新たなメラニンの産生促進、メラニンの角化細胞への移動促進により、遅延型色素沈着(24~72時間)を引き起こす。PLエキスはこの紫外線によってもたらされる赤斑の抑制についても研究がなされている。PLエキスはUVBによって誘発されるヒト皮膚紅斑反応を効果的に防御し抑制し、[1]太陽光の模擬照射によるTNF-α及びiNOSの発現、転写活性化並びにアポトーシスを阻害する。[8]

さらに、紫外線誘発性の活性酸素種形成、脂質過酸化、紅斑及び皮膚光感作阻害することもわかっている。[11]

また、色素性皮膚障害である白斑は表皮のメラニン細胞減少によって生じる乳白色の脱色素斑(無色斑)を特徴であるが、白斑のメラニン細胞減少は、自己免疫プロセスもしくはフリーラジカルやROSの増加、又は内因性抗酸化防御の減弱による酸化ストレスであるとするもの推察されており、PLエキスは免疫調節作用と抗酸化作用を持つことから、T細胞活性化に対する免疫調節作用があり、メラニン細胞に対する自己反応性T細胞の増殖を阻害又は減少させることが示唆されるため白斑の治療にも効果が期待されている[11]
このようなことから日焼け止めサプリにも配送されている。 海外の代表的な物はHeliocare ヘリオケア(IFC): スペイン製の日焼け止めサプリメント。(原材料名Fernblock®)[12]
日本製で有名なものはノーブ(noUV)[13]がある。

脚注[編集]

  1. ^ a b c Gonzalez S, Pathak MA, Photodermatol Photoimmunol Photomed, 1996 Apr;12(2):45-56.
  2. ^ Gomes AJ, Lunardi CN, Gonzalez S, Tedesco AC, Braz J Med Biol Res, 2001 Nov;34(11):1487-94.
  3. ^ a b Mulero M, Rodriguez-Yanes E, Nogues MR, Giralt M, Romeu M, Gonzalez S, Mallol J./ Exp Dermatol 2008 17;653-658
  4. ^ Alonso-Lebrero JL, Dominguez-Jimenez C, Tejedor R, Brieva A, Pivel JP J Photochem Photobiol B 2003 Apr;70(1):31-7.
  5. ^ a b Middelkamp M, Pathak MA, Fitzpatrick TB, J Am Acad Dermatol, 2004 Dec;51(6):910-8.
  6. ^ Gonzalez S, Pathak MA, Fitzpatrick TB, Photodermatol Photoimmunol Photomed, 1997 Feb-Apr;13(1-2):50-60.
  7. ^ Capote R, et al, J Photochem Photobiol: Biology, 2006 Mar 1;82(3):173-9. Epub 2006 Jan 4.
  8. ^ a b Janczyk A, Garcia-Lopez MA, Fernandez-Penas P, Alonso-Lebrero JL, Benedicto I, Lopez-Cabrera M, Gonzalez S Exp Dermatol 2007 Oct;16(10):823-9.
  9. ^ Alonso-Lebrero JL et al, J Photochem Photobiol Biology, 2003.
  10. ^ a b Philips N, Conte J, Chen YJ, Natrajan P, aw M, Keller T, Givant J, Tuason M, Dula L, Leonardi D, Gonzalez S.Arch Dermatol Res 2009 Aug;301(7):487-95. doi: 10.1007/s00403-009-0950-x. Epub 2009 Apr 17.
  11. ^ a b Brieva A, Guerreo A, Pivel JP, Inflammopharmacol, 2002)(Reyes E, Jaen P, de las Heras E, J Derm Sci, 2006)
  12. ^ IFC Group 公式HP http://www.ifcgroup.net/
  13. ^ noUV 公式HP http://www.nouv.jp/