コンテンツにスキップ

Intel 440BX

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
Intel 440BX(画像はノースブリッジの82443BX)

Intel 440BXPentium IIPentium IIICeleronに対応したインテルチップセットであり、単に440BXと呼ばれることも多かった。正式名称はIntel 440BX AGP set1998年4月にリリースされた[1]

概要

[編集]

440BXは、440FXと440LXの後にインテルがリリースした、Pentium II向けの3番目のチップセットである。Pentium IIで採用された100 MHzフロントサイドバスを新規でサポート[1]することにより、より高い性能を実現した。

440BXは当初Slot 1を搭載したマザーボードがほとんどであったが、Socket 370に対応したCoppermineのPentium IIIが発売されたあたりからSocket 370を搭載したマザーボードも増えてきた。Slot 1搭載マザーボードでも、ゲタを使用する事でSocket 370にも対応できた[2]。FSB 100 MHz×11倍=最大1.1 GHzのCPUに対応した[注 1]

440BXは440EXと440ZXと440ZX-66を派生に持つ。いずれも440BXの廉価版である[3]。詳しい事はラインナップと仕様を参照。

ノースブリッジ

[編集]

共通仕様

[編集]
  • AGP 2x
  • PCI
  • AGTL+ FSB

AGTL+未サポートのTualatinコアのCPUを使用するには、別途社外アダプタが必要となる[4][5]

ラインナップと各仕様

[編集]
製品名 サポートソケット サポートCPU 対応FSB 対応メモリ メモリスロット数(最大) 最大メモリ容量
82443BX
(440BX)
  • Slot 1
  • Socket 370
  • Pentium II
  • Pentium III(Katmai/Coppermine)
  • Celeron(Mendocino/Coppermine-128K)
  • 66 MHz
  • 100 MHz

[注 2]

PC66/PC100 SDRAM[注 3] 4 1 GB
82443EX
(440EX)
  • Slot 1
  • Socket 370
  • Pentium II
  • Celeron(Mendocino/Coppermine-128K)

[注 4]

  • 66 MHz
PC66 SDRAM[注 3] 2 256 MB
82443ZX
(440ZX)
  • Slot 1
  • Socket 370
  • Pentium II
  • Pentium III(Katmai/Coppermine)
  • Celeron(Mendocino/Coppermine-128K)
  • 66 MHz
  • 100 MHz
PC66/PC100 SDRAM[注 3] 2 512 MB
82443ZX-66
(440ZX-66)
  • Socket 370
  • Celeron(Mendocino/Coppermine-128K)

[注 5][注 4]

  • 66 MHz
PC66 SDRAM[注 3] 2 512 MB

サウスブリッジ

[編集]

共通仕様

[編集]
  • USB1.1×2
  • Ultra ATA/33

ラインナップ

[編集]
  • 82371AB(PIIX4)
  • 82371EB(PIIX4E)

PCI接続での他機能追加

[編集]

チップセットではサポートされないUltra ATA/66やUltra ATA/100、RAID[6]SCSI[7]サウンド[7][8]IEEE1394[8]Ethernet[7]などをオンボードで搭載するマザーボードもリリースされていくようになった。

後継製品

[編集]
  • Intel 810チップセット
    • AGPがサポートされなかった。
  • Intel 815チップセット
    • メモリが512MBしかサポートされなかった。
  • Intel 820チップセット
    • RDRAMが高価格で一向に普及しなかった上、MTHの不具合でリコールされた[9]

これら後継製品はそれぞれの背景で440BXが担ってきた需要を十分満たせず、特に安定性を重視する法人向けマザーボードなどにおいて当チップセットの長い製品寿命につながった。

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ 後述するPowerLeap製のゲタが正常動作するマザーボードならゲタの使用で最大1.4 GHzまで対応可能。
  2. ^ マザーボードによっては133 MHzのFSBに設定することが可能だった。ただしAGPのクロックは66 MHzから88 MHzへ、PCIのクロックも33 MHzから44 MHzへと規格外の周波数となるため、AGPやPCIに増設した拡張カードが不安定になったり、最悪全く動作しなくなることもある。また133 MHzのFSBに公式対応したCPUのマイクロコードのBIOSへのパッチによる導入などクリアすべき問題点が多く、ユーザーの自己責任で試すしかない状況であった。
  3. ^ a b c d これを超える速度のSDRAMも使用可能であるが、FSBの速度に合わせられてしまう。
  4. ^ a b Pentium IIIはFSB 66 MHzに対応したCPUが存在しないので使用できない。
  5. ^ Pentium IIはSlot 1向けしかラインナップがないので使用できない。

出典

[編集]
  1. ^ a b インテル、Pentium II 350/400MHzと440BXチップセット正式発表”. PC Watch. 株式会社インプレス (1998年4月15日). 2022年9月5日閲覧。
  2. ^ 元麻布春男 (2001年4月18日). “■元麻布春男の週刊PCホットライン■ Slot変換用のゲタ6機種をテスト”. PC Watch. 株式会社インプレス. 2022年9月5日閲覧。
  3. ^ 大原雄介 (2009年11月16日). “PCI登場から440BXまで Intelチップセットの歴史 その1”. ASCII.jp×デジタル. 株式会社角川アスキー総合研究所. 2022年9月5日閲覧。
  4. ^ 旧型Socket 370マザーをTualatin対応にするアダプタ「PL-370/T」登場”. AKIBA PC Hotline!. 株式会社インプレス (2001年2月9日). 2022年9月5日閲覧。
  5. ^ 小磯 (2001年11月8日). “Tualatinコア版CPUをSlot1で利用可能になるゲタが来週にも発売予定”. ASCII.jp×ゲーム・ホビー. 株式会社角川アスキー総合研究所. 2022年9月5日閲覧。
  6. ^ ABIT、“最後の”440BXマザーボード”. PC Watch. 株式会社インプレス (2000年7月4日). 2022年9月5日閲覧。
  7. ^ a b c 種類が増える440BXマザーボード、早くも「大競争時代」か? Ultra2SCSIインターフェースがオンボードのタイプも登場”. AKIBA Hotline!. 株式会社インプレス (1998年4月25日). 2022年9月5日閲覧。
  8. ^ a b ASUSからIEEE1394搭載のmicroATXマザー登場”. AKIBA PC Hotline!. 株式会社インプレス (1999年9月4日). 2022年9月5日閲覧。
  9. ^ 不具合発表でMTH搭載のi820マザーボードが姿消す”. AKIBA PC Hotline!. 株式会社インプレス (2000年5月13日). 2022年9月5日閲覧。

関連項目

[編集]