DWG

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DWG
拡張子 .dwg
MIME Type application/acad
開発者 オートデスク
種別 図面
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DWG(ディー・ダブル・ジー)は、オートデスク社製のCADソフトウェアAutoCADの標準ファイル形式drawingの略。拡張子として"dwg"を用いる。

概要[編集]

DWGはAutoCADおよびそのシリーズ(AutoCAD LT、AutoCAD Mechanicalなど)の標準ファイル形式で、バイナリ形式を採用している。DWGファイルには、二次元もしくは三次元のベクトルデータをはじめ、レイヤ (画層)・線種・ハッチング等の図面データおよびメタデータなどが含まれる。

DWGは、オートデスク社が策定するファイル形式で、AutoCAD R14までは製品のバージョンアップと同時に新しい形式に更新されてきた。AutoCAD 2000以降は3バージョンごとに形式を更新している。最新のDWG形式はAutoCAD 2013が採用する2013 DWG形式である。

DWGとは別に、他のCADソフトウェアとのファイル交換を容易にするため、オートデスクが定義した形式がDXF(AutoCADファイル交換形式)である。DXFは公開された仕様と可読性の高いテキスト形式(バイナリ形式に圧縮することも可能)という特徴により、サポートするサードパーティ製のソフトウェアも開発しやすくなっている。ただし、仕様の解釈やデータ構造の違いによって、CADソフトウェア間で図面の再現が完全に実現できないケースも目立っている。

ファイルに含まれる情報[編集]

DWG形式のファイルには以下のような情報が含まれる。また、AutoCADが標準で持つ情報以外にも、アドオンアプリケーション(プラグインソフトウェア)が任意に付加でき、これらは拡張エンティティデータや拡張レコード、カスタム・オブジェクトなどとして情報も格納する。なお、DWGのバージョンによっては含まれないデータもあるので注意が必要である。

グラフィカルデータ(エンティティ、図形情報)
3DFACE(3D 面)、3DSOLID(3D ソリッド)、ACAD_PROXY_ENTITY(ACAD プロキシ図形)、ARC(円弧)、ATTDEF(属性定義)、ATTRIB(属性)、BODY(ボディ)、CIRCLE(円)、DIMENSION(寸法)、ELLIPSE(楕円)、HATCH(ハッチング)、HELIX(らせん)、IMAGE(イメージ)、INSERT(ブロック挿入)、LEADER(引出線)、LIGHT(光源)、LINE(線分)、LWPOLYLINE(ライト ウェイト ポリライン)、MESH(メッシュ)、MLINE(マルチライン)、MLEADER(マルチ引出線)、MLEADERSTYLE(マルチ引出線スタイル)、MTEXT(マルチテキスト)、OLEFRAME(OLE フレーム)、OLE2FRAME(OLE2 フレーム)、POINT(点)、POLYLINE(ポリライン)、RAY(放射線)、REGION(リージョン)、SECTION(断面)、SEQEND(シーケンス終了)、SHAPE(シェイプ)、SOLID(2D 塗り潰し)、SPLINE(スプライン)、SUN(日照)、SURFACE(サーフェス)、TABLE(表)、TEXT(文字)、TOLERANCE(幾何交差)、TRACE(太線)、UNDERLAY(アンダーレイ)、VERTEX(頂点)、VIEWPORT(ビューポート)、WIPEOUT(ワイプアウト)、XLINE(構築線)
非グラフィカルデータ(格納テーブル情報)
APPID(アプリケーション ID)、BLOCK_RECORD(ブロック レコード)、DIMSTYLE(寸法スタイル)、LAYER(画層)、LTYPE(線種)、STYLE(文字スタイル)、UCS(ユーザ座標系)、VIEW(ビュー)、VPORT(ビューポート)
非グラフィカルデータ(標準ディクショナリ、拡張レコード情報)
ACAD_PROXY_OBJECT(ACAD プロキシ オブジェクト)、DATATABLE(データ テーブル)、DICTIONARY(ディクショナリ)、DICTIONARYVAR(ディクショナリ変数)、DIMASSOC(自動調整管理)、FIELD(フィールド)、GEODATA(地理的データ)、GROUP(グループ)、IDBUFFER(ID バッファ)、IMAGEDEF(イメージ定義)、IMAGEDEF_REACTOR(イメージ定義リアクタ)、LAYER_INDEX(画層インデックス)、LAYER_FILTER(画層フィルタ)、LAYOUT(レイアウト)、LIGHTLIST(光源一覧)、MATERIAL(マテリアル)、MLINESTYLE(マルチライン スタイル)、OBJECT_PTR(オブジェクト プリンタ)、PLOTSETTINGS(印刷設定)、RASTERVARIABLES(ラスター変数)、RENDER(レンダリング)、SECTION(断面)、SPATIAL_INDEX(空間インデックス)、SPATIAL_FILTER(空間フィルタ)、SORTENTSTABLE(SORTENTS テーブル)、TABLESTYLE(表スタイル)、UNDERLAYDEFINITION(アンダーレイ定義)、VISUALSTYLE(表示スタイル)、VBA_PROJECT(VBA プロジェクト)、WIPEOUTVARIABLES(WIPEOUT 変数)、XRECORD(拡張レコード)
その他のメタデータ
作成日時、図面編集時間、作者、タイトルなどの図面のプロパティ、図面を開く際のパスワード、図面へのデジタル署名

DWG 形式のバージョン[編集]

DWGファイルの最初の6文字は、DWG形式のバージョンを示す識別コードとして利用されている。次の表は、日本で販売されている(されていた) AutoCADのバージョンとDWG形式のバージョンをまとめたものである。

AutoCAD バージョンと DWG 形式の対比
AutoCAD バージョン DWG形式呼称 識別コード
AutoCAD 2013/2014 2013/LT2013 図面形式 AC1027
AutoCAD 2010/2011/2012 2010/LT2010 図面形式 AC1024
AutoCAD 2007/2008/2009 2007/LT2007 図面形式 AC1021
AutoCAD 2004/2005/2006 2004/LT2004 図面形式 AC1018
AutoCAD 2000/2000i/2002 2000/LT2000 図面形式 AC1015
AutoCAD R14 R14/LT98/LT97 図面形式 AC1014
AutoCAD R13J R13/LT95 図面形式 AC1012
AutoCAD GX-5/R12J R12/LT2 図面形式 AC1009
AutoCAD GX-3 - 図面形式 AC1006
AutoCAD EX-II - 図面形式 AC1003
AutoCAD ADE-3EX - 図面形式 AC1002
AutoCAD ADE-3 - 図面形式 AC2.10
AutoCAD 2 - 図面形式 AC1.50

DWGをサポートする製品とテクノロジ[編集]

AutoCADとAutoCADをベースとする業種別製品(AutoCAD Architecture、AutoCAD Mechanical、AutoCAD Electrical、AutoCAD Civil 3D、AutoCAD Map 3D、AutoCAD P&ID)、AutoCAD LT が、ネイティブにDWG形式へのファイル保存と読み込みをサポートする。また、AutoCADとは異なるアーキテクチャを持つAutodesk Inventor、Autodesk Revit、Autodesk 3ds Maxといった他のオートデスク社の製品も、DWG形式でのファイルの読み込みと書き出しをサポートしている。これらCAD製品とは別に、DWG形式のファイルを閲覧するためのビューアソフトウェアとして、オートデスク社はDWG TrueViewを無償で配布している。

他のCADソフトウェアでは、AutoCAD互換のIntelliCADやIntelliCADをベースとするBricscadZWCADもDWG形式をサポートしている。これらのCADソフトウェアは、Open Design Alliance(英語)によって設立されたIntelliCAD Technology Consortium(英語)がオープンソース化している。

CAD以外のソフトウェアでは、Adobe Illustratorのバージョン9以降、Microsoft VisioなどもDWG形式のファイルの読み書きが可能である。

このようなソフトウェアや、IntelliCAD以外の国産CADは、Open Design Alliance(英語)がDWGファイルのリバースエンジニアリングによって作成して、提供しているソフトウェア開発キットDWGdirectによって、DWG形式の読み書きを実装しているケースが多い。

オートデスク社は、自社製品のDWG形式の入出力にソフトウェア開発キット RealDWGを利用しており、サードパーティにもライセンス供与している。

データ欠落とTrustedDWG[編集]

DWG形式はAutoCADのバージョン間で差異があり、より古いバージョンのAutoCADにて読み込むためには、DWG のうちでも適切なバージョンで保存する必要がある。また、より古いバージョンで読み込めた場合でも、編集などの操作によって一部の情報が脱落する場合がある。以下に、含まれる情報の一部を挙げる。

  • 基本図形のベクトルデータおよび属性情報
  • ハッチングの定義
  • 線種の定義
  • 縮尺
  • レイアウト
  • メタ情報

オートデスク社は、AutoCADが実行中に クラッシュした場合、メモリの状況をサーバーに自動送信するCustomer Error Reporting機能があり、この機能によって蓄積した情報を解析したところ、下位バージョン互換のケースとは別に、オートデスク製の製品以外から保存されたDWGファイルには、データ構造上に欠損のあるものがあり、編集中のCADソフトウェアを不安定にするケースが報告されている、としている。

このため、AutoCAD 2007以降のAutoCADでは、オートデスク社製品から保存されたDWGファイルを TrustedDWGとして区別するようになっている。オートデスク社のCADソフトウェアや、オートデスクがライセンス供与したRealDWGAutoCAD OEMを使ったソフトウェア製品以外が保存したDWGファイルを開こうとすると、次の警告メッセージが表示されるようになっている。

「Autodesk DWGではありません。このDWGファイルを保存したアプリケーションは、オートデスクによって開発された、またはライセンスを受けたソフトウェアではありません。オートデスクはこのファイルの互換性や完全性を保障できません。」

オートデスク社によれば、RealDWGやAutoCAD OEMは、競合するCADベンダーやサードパーティには供与されないとなっている。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]