CircleCI

出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』

座標: 北緯37度47分29秒 西経122度23分31秒 / 北緯37.791303度 西経122.392019度 / 37.791303; -122.392019

Circle Internet Services, Inc.
種類
 非公開会社
業種 CI/CD
設立 2011年9月1日
創業者 Paul Biggar, Allen Rohner
本社
サン・フランシスコ
、
アメリカ合衆国
主要人物
 Jim Rose (CEO)
製品 CircleCI.com (Saas), CircleCI Enterprise (オンプレミス)
従業員数
 300人（2020年時点）
ウェブサイト circleci.com/ja/

CircleCIは、DevOpsの実践に対応した継続的インテグレーション&継続的デリバリー（CI/CD）プラットフォーム、およびそれを提供する企業の名称。

同社は2021年時点でベンチャーキャピタルから3億1,500万ドル（評価額は17億ドル[1]）の資金を調達している。

CircleCIは、世界で人気の高いCI/CDプラットフォームの1つに数えられている。

沿革[編集]

2011年

  • 9月、CircleCIを設立。10月11日、最初のベータテスト版製品をリリース。創業後3か月で顧客が付いたものの、最初の収入が得られたのは6か月後だった。

2013年

  • 2013年9月から2015年9月まで、CircleCIでは本番環境にTyped Clojureを使用していた。

2014年

  • モバイル向け継続的インテグレーションツール[2]の開発企業であるDistillerを買収。同社より、Jim RoseとRob ZuberがそれぞれCEOおよびCTOとして移籍。Paul Biggarが役員の籍を残したまま退職。従業員数は2014年末時点では20名であったが、2016年夏には60名まで急激に拡大。

2016年

  • CircleCIと同じビルに在籍していたUberが、ロゴをCircleCIロゴと酷似したものに変えたことを受け、論争が発生。CircleCIのものに似たロゴは、2017年の映画『The Circle（邦題：ザ・サークル）』にも使われている。

2018年

  • 6月に初の国際支社を東京に開設し、その後10月にはマサチューセッツ州ボストンにオフィスを開設。
  • 10月、CI/CDツールとして初めてFedRAMP認証を取得した。

2019年

  • 5月、コロラド州デンバーにオフィスを開設。
  • 8月、Windowsビルドのサポートを一般公開。
  • 11月、ロンドンにオフィスを開設。

2020年

  • 2月、AWS GovCloudのサポートを開始。
  • 5月、CI/CD企業として初めて、トランスジェンダー関係の医療を受けた従業員向けに完全補償の有給休暇を提供。
  • 10月、CI/CDパイプラインの監視と最適化に役立つインサイトダッシュボードをリリース。
  • 11月、クラウドプラットフォーム向けにセルフホストランナー（Armサポートを含む）を公開。

2021年

  • 4月、クラウドホスティングサービスについてSOC 2 Type II認証の取得を発表。

2022年

  • 1月、業界トップクラスのインテリジェンスとカスタマイズ性に富んだ無料CI/CDプランを発表。

資金調達[編集]

CircleCIは、創業後数か月で小口投資家から50,000ドルを調達した。2013年にはシードラウンドで150万ドル、2014年にはシリーズAラウンドでDFJから600万ドル、2016年にはシリーズBラウンドでScale Venture Partnersから1,800万ドル、2018年にはTop Tier Capital Partners主催のシリーズCラウンドで3,100万ドル、2019年にはOwl Rock CapitalおよびNextEquity Partners主催のシリーズDラウンドで5,600万ドル、2020年にはIVP主催のシリーズEラウンドで1億ドル、2021年にはGreenspring Associates主催のシリーズFラウンドで1億ドルを調達している。これまでの総資金調達額は3億1,500万ドルに上る。

買収[編集]

CircleCIは、2014年にDistiller、2021年にVamp、2022年にPonicodeをそれぞれ買収している。

製品[編集]

CircleCIは、GitHub、GitHub Enterprise、Atlassian Bitbucketのリポジトリをモニターし、新しくコミットが行われるたびにビルドを開始する。[19] Dockerコンテナ内または仮想マシン内でビルドのテストを自動的に行い、テストに合格したビルドをターゲット環境にデプロイする。ダッシュボードとAPIを利用することで、ビルドのステータスおよびビルド関連のメトリックを追跡できる。また、Slackとの連携により、問題発生時に通知を行える。


SSHサポートによりジョブをローカル環境で実行でき、またセキュリティ機能により改ざんを防止できる。また、手作業で承認が行われるまでジョブを停止する「ワークフロー承認機能」も備わっている。


CircleCIはGo、Java、Ruby、Python、Scala、Node.js、PHP、Haskellのほか、LinuxまたはmacOS上で動作するあらゆる言語をサポートしている。


CircleCIではマネージドクラウドサービスを提供しており、無料プランも利用可能。CircleCIプラットフォームは、プライベートサーバー上（社内ファイアウォールの内側）でのセルフホスト、およびクラウド上でのプライベート展開にも対応している。同社のクラウドサービスは、当初はゼロから開発されていたが、現在ではHashiCorpのNomad、およびKubernetesを利用している。


CircleCIでテストとリリースの頻度を高めることで、リスクの軽減につながる。また、同社マネージドクラウドサービスを利用することで、CIインフラを保守およびプロビジョニングする手間を解消できる。クラウドサービスのセットアップ所要時間は数分であるが、カスタマイズ性はJenkinsに比べると低い。

CircleCI Orb[編集]

CircleCI OrbはYAMLで記述する共有可能なスニペットであり、CircleCIのビルドおよびデプロイプロセスの効率化に役立つ。2019年時点において、CircleCIは45のパートナーとの連携に対応している。CircleCIのデプロイ対応環境には、Amazon Web Services、Heroku、Azure、Google Compute Engine、Dockerイメージなどがある。また、VMwareによりLinux、Android、Windows、macOSの各仮想マシンへのデプロイにも対応している。2018年において、GitHub上で最も成長速度の著しいYAMLファイルは、CircleCIの設定ファイル（config.yml）であった。


設定ファイルの独自仕様によってベンダーロックインが生じており、CIサービスを切り替えるにはパイプラインを構築しなおす必要がある。

主な顧客[編集]

Facebook、Coinbase、Sony、Kickstarter、GoPro、Spotify（2019年時点）

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

脚注[編集]

[脚注の使い方]
  1. ^ “Continuous software integration/delivery platform CircleCI nabs $100M” (英語). VentureBeat (2021年5月11日). 2022年7月18日閲覧。
  2. ^ “CircleCI は、iOS と Android のアプリ開発に対応した業界トップレベルの継続的インテグレーション ツール”. CircleCI. 2022年7月21日閲覧。
  1. Sawars, Paul（2021年5月11日）. "Continuous software integration/delivery platform CircleCI nabs $100M". VentureBeat. 2022年1月17日閲覧。
  2. Wiggers, Kyle（2020年4月7日）. "CircleCI raises $100 million for automated app testing and deployment". VentureBeat. 2022年1月17日閲覧。
  3. Atkinson, Brandon; Edwards, Dallas（2018年12月19日）. Generic Pipelines Using Docker: The DevOps Guide to Building Reusable, Platform Agnostic CI/CD Frameworks. Apress. p. 96. ISBN 978-1-4842-3655-0.
  4. "CircleCI on Twitter". Twitter.
  5. Kennedy, John（2018年7月2日). "Going Dark: How Paul Biggar is building the future of software". Silicon Republic. 2022年1月17日閲覧。
  6. Marks, Trisha. "Finding Product-Market Fit in Start-Up Marketing". www.properexpression.com. 2022年1月18日閲覧。
  7. Bonnaire-Sergeant, Ambrose; Davies, Rowan; Tobin-Hochstadt, Sam（2016年）. "Practical Optional Types for Clojure". Programming Languages and Systems. 9632: 68–94. arXiv:1812.03571. doi:10.1007/978-3-662-49498-1_4.
  8. "CircleCIのマイルストーン". CircleCI. 2022年6月7日閲覧。
  9. "Make way for the modern continuous integration and delivery platform software teams love to use: CircleCI". The Silicon Review.
  10. Wieczner, Jen（2016年2月19日）. "People are Accusing Uber of Stealing This Startup's Logo". Fortune. 2017年2月1日閲覧。
  11. Sargent, Jenna（2018年10月4日）. "SD Times news digest: CircleCI authorized by FedRamp, KotlinConf announcements, and Google extends PyTorch support". SD Times. 2022年1月18日閲覧。
  12. Speed, Richard. "They're climbing through the Windows: CircleCI goes native on Microsoft's OS". www.theregister.com. 2022年1月18日閲覧。
  13. Speed, Richard. "The lure of Brexit Britain proves too great for DevOps pipeline wrangler CircleCI". www.theregister.com. 2022年1月18日閲覧。
  14. Harrison, Kim. "The Time Our Provider Screwed Us". LaunchDarkly. 2022年1月18日閲覧。
  15. Oates, John. "Today's data whoopsie is brought to you by CircleCI: Source safe, but look out for phishers". www.theregister.com. 2022年1月18日閲覧。
  16. Biggar, Paul. "I founded CircleCI （valued at $1.7B） and Darklang. AMA!". Indie Hackers. 2022年1月18日閲覧。
  17. Darrow, Barb（2013年2月25日）. "CircleCI gets $1.5M to build out continuous integration service". Gigaom. 2022年1月17日閲覧。
  18. Tansey, Bernadette（2018年1月17日）. "Xconomy: CircleCI Nabs $31M to Enhance DevOps Platform With Automation Tools". Xconomy. 2022年1月18日閲覧。
  19. Wiggers, Kyle（2019年7月23日）. "CircleCI raises $56 million to continuously test software builds for bugs". VentureBeat. 2022年1月17日閲覧。
  20. Lardinois, Frederic. "CircleCI acquires Ponicode". TechCrunch. 2022年4月22日閲覧。
  21. Bohon, Cory（2021年12月20日）. "CI/CD platforms: How to choose the right continuous integration and delivery system for your business". TechRepublic. 2022年1月19日閲覧。
  22. Riggins, Jennifer（2020年4月8日）. "CircleCI Insights Helps DevOps Teams Quantify High-Performance". The New Stack. 2022年1月18日閲覧。
  23. Rubens, Paul（2016年6月21日）. "7 ways to get more from Slack". CIO magazine. 2017年2月1日閲覧。
  24. Wainewright, Phil（2020年1月7日）. "How CircleCI speeds DevOps cycle times with CI/CD automation". diginomica.com. 2022年1月18日閲覧。
  25. Dotson, Kyt（2022年1月11日）. "CircleCI is offering a new free CI/CD plan for DevOps teams with more features". SiliconANGLE. 2022年1月18日閲覧。
  26. Arora, Chandermani; Hennessy, Kevin; Noring, Christoffer; Uluca, Doguhan（2018年12月21日）. Building Large-Scale Web Applications with Angular: Your one-stop guide to building scalable and production-grade Angular web apps. Packt Publishing Ltd. p. 518. ISBN 978-1-78995-832-4.
  27. Oliver, Kiran; Williams, Alex（2017年11月16日）. "CircleCI's Technical Architecture Is Built for Scalability". The New Stack. 2022年1月18日閲覧。
  28. Belmont, Jean-Marcel（2018年8月29日）. Hands-On Continuous Integration and Delivery: Build and release quality software at scale with Jenkins, Travis CI, and CircleCI. Packt Publishing Ltd. p. 266. ISBN 978-1-78913-307-3.
  29. Uluca, Doguhan（2020年5月29日）. Angular for Enterprise-Ready Web Applications: Build and deliver production-grade and cloud-scale evergreen web apps with Angular 9 and beyond, 2nd Edition. Packt Publishing Ltd. p. 459. ISBN 978-1-83864-660-8.
  30. Claburn, Thomas. "Behold, the world's most popular programming language – and it is...wait, er, YAML?!?". www.theregister.com. 2022年1月18日閲覧。
  31. Ostrowski, Adrian; Gaczkowski, Piotr（2021年4月23日）. Software Architecture with C++: Design modern systems using effective architecture concepts, design patterns, and techniques with C++20. Packt Publishing Ltd. p. 462. ISBN 978-1-78961-246-2.
「https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=CircleCI&oldid=97077539」から取得