ACDS
先進戦術情報処理装置(英語: Advanced Combat Direction System, ACDS)は、アメリカ海軍の海軍戦術情報システム(NTDS)の後継機として開発された戦術情報処理装置。
概要
[編集]1980年初頭の時点で、アメリカ海軍には93隻の海軍戦術情報システム(NTDS)搭載艦が就役していた[1]。しかし、このうち50隻以上は旧式のCP-642シリーズのコンピュータを搭載しており、またAN/UYK-7コンピュータを搭載している艦の一部もアップグレードを必要としていた[1]。同年中盤、海軍作戦部長(CNO)はNTDSの機能割当に関する研究を命じたが、この研究を通じて、元来は対空戦(AAW)を対象として開発されたNTDSが汎用性を向上させて機能を充実させていった結果として、これら旧式のコンピュータを搭載している艦においては、既に過負荷の状態になっていることが指摘された[1]。
この時点で用いられていたNTDSのソフトウェアは1976年にリリースされたモデル4であり[2]、CP-642シリーズおよびAN/UYK-7コンピュータでの実行に対応していた[3]。その後、1986年にはモデル4.1がリリースされたが[2]、これは新型のAN/UYK-43コンピュータで実行できるように再構築したソフトウェアで、RNTDS(restructured NTDS)とも称された[3]。
そしてRNTDSは後にACDSのブロック0と位置づけられ[3][注 1]、1993年度より実艦への搭載が開始された[4]。ACDSブロック0以降では、データ・リンク機能をC2P(Command & Control Processor)に移管できるようになった[3]。続くACDSブロック1はソフトウェアをモデル5.0にバージョンアップして[3]、従来のNTDSと比して追尾能力は8倍、探知距離は4倍になることを目指しており、1996年度より実艦への搭載が開始された[4]。しかしこれは性能面でも信頼性でも不十分なもので、ソフトウェアのクラッシュが多発し、また共同交戦能力(CEC)への適合性にも問題があったことから、艦隊配備は断念された[4]。ACDSの機能は、後に艦艇自衛システム(SSDS)に包括されていった[4][5]。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]参考文献
[編集]- Boslaugh, David L. (2003), When Computers Went to Sea: The Digitization of the United States Navy, Wiley-IEEE Computer Society Press, ISBN 978-0471472209
- Friedman, Norman (1997), The Naval Institute Guide to World Naval Weapon Systems 1997-1998, Naval Institute Press, ISBN 978-1557502681
- 岡部いさく「軍艦のコンバット・システム その発達をたどる」『世界の艦船』第748号、海人社、75-81頁、2011年10月。 NAID 40018965306。