歌川国直
歌川 国直(うたがわ くになお、寛政5年〈1793年〉 - 嘉永7年6月28日〈1854年7月22日〉)とは、江戸時代後期の浮世絵師。
来歴
初代歌川豊国の門人。本姓は吉川(きっかわ)または芳川、名は鯛蔵、後に四郎兵衛。一鳳斎、一楊斎、浮世庵、独酔舎、柳烟楼、後素園、写楽翁、写楽斎、東雲亭と号す。戯作者の春亭三暁の弟で信濃国の生まれ。作画期は文化9年(1812年)から天保の頃にかけてで、初めは明画を学んだが浮世絵に転じて役者絵や美人画を描き、為永春水の人情本など200冊以上に及ぶ版本の挿絵を手掛けた。他に肉筆美人画も残している。晩年は画業を廃した。享年62。墓所は八王子市大横町の極楽寺、法名は高琇琮運居士。門人に竹斎龍子、歌川直貞、歌川直房、歌川直重らがおり、同門の歌川国芳に影響を与えた。
作品
版本挿絵
- 『赤前垂祇園女護』六巻 合巻 ※山東京山作、文化11年(1814年)刊行
- 『伊勢名物通神風』 ※式亭三馬作、文化15年刊行
- 『歌舞妓雑談』 ※百戯園芝翫(三代目中村歌右衛門)作、文化15年刊行
- 『総角結紫総糸』三巻 合巻 ※為永春水作、文政5年(1822年)刊行
錦絵
- 「新版浮絵 東叡山之春景」 横大判 ボストン美術館所蔵
- 「新版浮絵 金龍山仁王門之図」 横大判 ボストン美術館所蔵
- 「新版浮絵 東都両国橋河開夜景之図」 横大判 ボストン美術館所蔵
- 「夏」 大判 ※文化8年頃
- 「冬」 大判 ※文化8年頃
- 「あづま橋より浅草くわんおんヲ横ニ見図」 横中判
- 「日本橋より一石橋を見る図」 横中判
- 「坂東三津五郎と岩井半四郎と松本幸四郎」 大判3枚続
肉筆画
作品名 | 技法 | 形状・員数 | 寸法(縦x横cm) | 所有者 | 年代 | 落款・印章 | 備考 |
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料理屋梧桐林店頭図 | 絹本着色 | 1幅 | 105.4x31.4 | プライスコレクション | 1825年(文政8年) | 款記「文政乙酉三月於塵外楼 席上応需 歌川国直」/「国」「直」白文連印 | 賛文「六帖園のあるし家居あたらしく 作りて酒肴うるせはしいてゝ いとなみ給ふよしを潮澄ぬしの もとよりきゝて 大江戸の孔雀の茶より 鳳凰の桐のはやしの 酒をのまはや 七代目三升」「客人のよりあひ町は酒の池 肉をもきりのはやししけりぬ 六樹園」 |
二美人図[1][2] | 紙本着色 | 双幅 | 右幅:114.9x50.0 左幅:114.6x51.5 |
東京国立博物館 | 天保~嘉永年間 | ||
遊女禿図[3] | 紙本着色 | 1幅 | 111.7x50.7 | ニューオータニ美術館 | 天保後半~嘉永年間 | 款記「歌川國直画」/「東雲亭」白文方印 | |
立美人図[4] | 紙本著色 | 1幅 | 97.02x46.0 | パリ国立高等美術学校 | 「東雲亭国直画筆」/白文方印 | エマニュエル・トロンコワ旧蔵 |
脚注
- ^ C0042089 二美人図 - 東京国立博物館 画像検索
- ^ C0042090 二美人図 - 東京国立博物館 画像検索
- ^ 小林忠監修 『大谷コレクション肉筆浮世絵』 株式会社ニューオータニ ニューオータニ美術館、2005年7月16日、第83図。
- ^ 柏木隆雄 柏木加代子編著 『甦る江戸肉筆画 トロンコワ・コレクションを読み解く』 水声社、2019年1月15日、p.122、ISBN 978-4-8010-0383-5。
参考文献
- 日本浮世絵協会編 『原色浮世絵大百科事典』(第2巻) 大修館書店、1982年
- 吉田漱 『浮世絵の見方事典』 北辰堂、1987年