ホウセンカ

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ホウセンカ
ホウセンカ
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: フウロソウ目 Geraniales
: ツリフネソウ科 Balsaminaceae
: ツリフネソウ属 Impatiens
: ホウセンカ I. balsamina
学名
Impatiens balsamina L.
和名
ホウセンカ(鳳仙花)
英名
Rose balsam

ホウセンカ(鳳仙花、学名:Impatiens balsamina)はツリフネソウ科ツリフネソウ属一年草東南アジア原。開花時期は夏の6月~9月頃。観賞用によく栽培される。また、合弁花類に分類される。

特徴

暑さに強く、丈夫で育てやすい。茎は太めで直立し、葉は互生する。葉腋に左右対称2〜3花ずつ咲く。花弁とがくは各5枚で、下のがく片の後ろにがある。本来の花の色は赤だが、園芸品種の花には赤や白、ピンク、紫のものがあり、また、赤や紫と白の絞り咲きもある。現在の園芸種は、大半が椿咲きと呼ばれる八重咲きである。また、距のないものもある。本来は草丈が60cmくらいになるが、近年草丈20〜30cmの矮性種が好まれている。 頂部に葉が多く、花が目立たないため花壇の景観には工夫が必要。

性質

こぼれ種でもよく生えるほどの丈夫な植物で、よほど日当たりや水はけが悪くない限りは問題なく育つ。注意が必要な病虫害はうどんこ病、セスジスズメの幼虫など。発芽温度は比較的高いので、東京付近では4月下旬から5月に播種する。

果実蒴果(さくか)で、熟すと果皮の内外の細胞の膨圧の差によって弾性の力を蓄積し、弾けて種を遠くに飛ばす。自然に弾ける寸前となった果実は指で触るなどの些細な刺激でも容易に弾ける。属名Impatiensラテン語で「我慢できない」の意)もこのことによる。移植には不向きで、栽培にはポットか直植えが望ましい。

文化と伝承

赤いものは昔から女の子が爪を染めるのに使ったため、ツマクレナイ、ツマベニ(爪紅)の名がある。爪にホウセンカの汁を塗り、初雪が降るまで色が残っていたら恋が実ると言う伝承もある。沖縄では「てぃんさぐ」と呼ばれ、「てぃんさぐぬ花」は広く知られた民謡である。その歌詞にもこの花で爪を染める話が扱われている。

触れるとはじける果実は非常に目を引く特徴である。花言葉の「私に触れないで」もそれに由来する。歌謡曲にもあるが、いずれも種を飛ばすことに絡めてある。現代医学的には誤りであるが、ホウセンカの種をそのまま飲めば、のどにつまった魚の骨が取れるという伝承が長野県秋山郷にあった[1]

主な歌謡曲

小説

漫画

受粉について

ホウセンカやツリフネソウのようなすぼんだ横向きの形の花はマルハナバチなどの小型のハナバチによる受粉に適応した形態であるが、アフリカホウセンカのように上に向けて大きく開いた花はチョウによる受粉に適応している可能性が高い。日本ではよくイチモンジセセリが訪花して距に深く口吻を挿しこみ、雄しべや雌しべに額を押し付けてつけて、受粉に与っている。

脚注

  1. ^ 『信州の民間薬』全212頁中20頁医療タイムス社昭和46年12月10日発行信濃生薬研究会林兼道編集

関連項目