宇治の宝蔵
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宇治の宝蔵(うじのほうぞう)は、中世日本の説話や御伽草子など古典文学の世界に現れる架空の経蔵。京都府宇治市にある平等院の阿弥陀堂南西にあったと推定される[1]。
概要
経蔵の鍵は藤氏長者が代々受け継いで一切経会の日に開扉されるといい、藤氏長者が就任後はじめて訪れる「宇治入り」のとき以外は人の立ち入りが厳重に管理された[2]。渓嵐拾葉集巻九二「雑記部」によれば[3]、藤原頼通は死後に龍神に姿を変えて宇治川に棲んだとされ、丑の刻になると川から姿を現して経蔵を見回ったという[1]。
収蔵品
御伽草子などの書物[注 1][注 2][注 3]では、宇治の宝蔵に酒呑童子、玉藻前、大嶽丸の首や遺骸が納められたとされ、これら日本三大妖怪の遺骸や遺骸の一部は宝蔵の所有者が妖怪の霊力に勝る武力・知略・神仏の加護を所有している象徴とされる[4]。他に『源氏物語』「雲隠」なども収蔵されたという[2]
ただし宇治の宝蔵は空想世界のことであり、現実世界の宇治の宝蔵にはこれら収蔵品が含まれたという記録はない[5]。
脚注
注釈
出典
参考文献
- 田中貴子『外法と愛法の中世』平凡社〈平凡社ライブラリー〉、2006年3月10日。ISBN 4582765718。
- 蔵田敏明『京都魔界探訪』扶桑社〈FUSOSHA MOOK〉、2016年7月。ISBN 9784594610951。
- 黒田智『藤原鎌足、時空をかける─変身と再生の日本史』吉川弘文館〈歴史文化ライブラリー 314〉、2011年2月1日。ISBN 9784642057141。
- 小松和彦『日本妖怪異聞録』講談社〈講談社学術文庫〉、2007年8月10日。ISBN 9784061598300。