忌火
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忌火(いみび)とは、神道で「清浄な火」のこと。火鑽(ひき)りで熾し、神様への供物の煮炊きなどの神事に用いる。宮中や伊勢神宮などの重要な祭にあたり新しく鑽り出される火のことをいうが、他の神社においても鑽火神事(きりびのしんじ)として行われる。
伊勢神宮の豊受大神宮正殿奥には忌火屋殿(いみびやでん)があり、そこで木と木をすり合わせる「舞錐式発火法」(まいきりしきはっかほう)で「御火鑽具」(みひきりぐ)を用いて火を切り出す。
鑽火神事は各地で下記のように様々な形で行われている。
- 火鑽の神事を年末に行い、その火を元旦の篝火に点火し、初詣客が持ち帰り神棚の灯明に火を付けたり、雑煮を炊いて無病息災を願う。
- 旧暦の6月に一家の柱となる男が集まり、火鑽神事を行い豊作を願う。またその火で小豆めしを炊き、1年間の無行息災を願う。
- 富士山本宮浅間大社では山開きの神事の際に火鑽神事を行う。
- 出雲大社では毎年11月23日の古伝新嘗祭の際、全ての食事が熊野大社から授かった神聖な火で調理される。
- 宮中祭祀の大嘗祭のための宮を建てる際、地鎮祭のための火が童女によって鑽りだされ松明に移される。
- 年始に行われ、どんど焼き(古神札焼納祭)に使用する。