コンテンツにスキップ

臭化水銀(I)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。Bcxfubot (会話 | 投稿記録) による 2022年2月3日 (木) 17:28個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (外部リンクの修正 http:// -> https:// (books.google.com) (Botによる編集))であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

Mercury(I) bromide
識別情報
CAS登録番号 15385-58-7 チェック
PubChem 24829
特性
化学式 Hg2Br2
モル質量 560.99 g/mol
外観 白色から黄色の正方晶
匂い 無臭
密度 7.307 g/cm³(固体)
融点

405°C

沸点

~390°Cで昇華 [1]

への溶解度 3.9 x 10-5 g/100 mL\
溶解度 エーテルアセトンアルコールに不溶
構造
分子の形 線形
危険性
EU分類 高い毒性 (T+)
環境に対する危険性 (N)
Rフレーズ R26/27/28, R33, R50/53
Sフレーズ S13, S28, S45, S60, S61[2]
引火点 非可燃性
関連する物質
その他の陰イオン フッ化水銀(I)
塩化水銀(I)
ヨウ化水銀(I)
その他の陽イオン 臭化亜鉛
臭化カドミウム
臭化水銀(II)
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

臭化水銀(I)(Mercurous bromide)は、Hg2Br2という化学式で表される、水銀臭素から構成される化合物である。加熱すると色が白色から黄色に変化し、紫外線に晒されると橙色の蛍光を発する。音響光学機器に応用される[3]

この物質を含む鉱物は非常に珍しいが、クズミナイト(Hg2(Br,Cl)2)と呼ばれる。

反応

臭化水銀(I)は、水銀元素を臭素元素とともに酸化するか、硝酸水銀(I)の水溶液に臭化ナトリウムを加えることによって生成される[1]臭化水銀(II)や水銀元素に分解する[3]

構造

直線状のX-Hg-Hg-X単位を含む他の水銀(I)化合物と同様に、臭化水銀(I)は、Hg-Hg結合の長さが249pm(金属中のHg-Hg結合の長さは300pm)、Hg-Br結合の長さが271pmのBrHg2Br単位を含む[4]。全体としてのそれぞれのHg原子の配置は八面体型であり、最近傍の2か所に加えて、4つの臭素原子が332pmの位置にある[4]。この化合物は、しばしばHg22+ 2Br-と表されるが[5]、実際は分子である。

出典

  1. ^ a b Perry, Dale L.; Phillips, Sidney L. (1995), Handbook of Inorganic Compounds, CRC Press, pp. 255, ISBN 0-8493-8671-3, https://books.google.co.jp/books?id=0fT4wfhF1AsC&pg=PA255&dq=%22Mercury(I)+bromide%22&redir_esc=y&hl=ja 2008年5月30日閲覧。 
  2. ^ 483230 Mercury(I) bromide 99.9+ %”. Sigma-Aldrich. 2008年5月30日閲覧。
  3. ^ a b Macintyre, Jane Elizabeth; Daniel, F. M.; Stirling, V. M. (1992), Dictionary of Inorganic Compounds, 1, CRC Press, pp. 314, ISBN 0-412-30120-2, https://books.google.co.jp/books?id=YmBiXJ7qRtAC&pg=PA314&dq=Mercury(I)+bromide&redir_esc=y&hl=ja 2008年5月30日閲覧。 
  4. ^ a b Wells A.F. (1984) Structural Inorganic Chemistry 5th edition Oxford Science Publications ISBN 0-19-855370-6
  5. ^ Cotton, F. Albert; Wilkinson, Geoffrey; Murillo, Carlos A.; Bochmann, Manfred (1999), Advanced Inorganic Chemistry (6th ed.), New York: Wiley-Interscience, ISBN 0-471-19957-5