XMLBeans
開発元 | Apacheソフトウェア財団 |
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最新版 |
5.0.1
/ 2021年7月10日 |
プラットフォーム | クロスプラットフォーム |
種別 | XMLデータバインディング |
ライセンス | Apache License 2.0 |
公式サイト | http://xmlbeans.apache.org |
XMLBeans(エックスエムエルビーンズ)は、JavaとXMLデータバインディングとの変換を行うフレームワーク。Apacheソフトウェア財団のXMLプロジェクトの一部である。2013年6月に開発を一旦終了したが、その後Apache POIプロジェクトの一部として2018年6月に開発が再開された[1]。
概要
[編集]XMLBeans は、Java が扱いやすい形でXMLの全ての能力へのアクセスを可能にするツールである。すなわち、XMLと XML Schema の表現能力の豊かさと機能を利用し、それらの機能を可能な限り自然な形でJava言語とその型付き構成要素にマッピングする。XMLBeans は XML Schema を使って Java インタフェースとクラスをコンパイルし、その生成物を使ってXMLインスタンスデータのアクセスと変更を行う。XMLBeans を使うと、新たなインタフェースやクラスを使うのと同じ感覚でXMLインスタンスデータにアクセスできる。XMLインスタンスデータへのアクセスを提供する以外に、XML Infoset への完全なアクセスを可能にするAPIを備え、XML Schema Object モデルを通して XML Schema 自体へのリフレクションも可能にする。
他との違い
[編集]- XML Schema 完全サポート
- XMLBeans は XML Schema を完全サポートしており、対応するJavaクラスは XML Schema の主な機能を全て提供する。この種の技術では、必要な機能をサポートしていないことが多く、非常に重要な特徴である。また、XML Schema 向けアプリケーションの構築に際して XML Schema の全能力を活用するようにでき、サブセットに制限されることがない。
- 完全な XML Infoset 再現性
- XMLインスタンスをアンマーシャリングしたとき、完全な XML Inforset が保持され、開発者が利用できる。XML のサブセットは容易に Java で表現できない部分があるため、これは重要である。例えば、要素の順序やコメントがアプリケーションによっては必要になるかもしれない。
目的
[編集]XMLBeans の主な目的は、ストリーミング以外の(メモリ上の)あらゆるXMLプログラミングで利用可能なものを構築することであった。XML Schema をコンパイルしてJavaクラスを生成したいとき
- あらゆる Schema について XMLBeans が利用可能であり、
- 任意の必要なレベルのXMLへのアクセスを得ることができ、別々のツールを使う必要がない。
API
[編集]以上のような目的を達成するため、XMLBeans は以下の3つのAPIを提供している。
- XmlObject
- XML Schema から生成されるJavaクラスは全て XmlObject を継承する。これにより、XMLに定義されている各要素について強く型付けされたゲッターとセッターを提供する。複合型の要素は XmlObject のインスタンスである。例えば、getCustomer が返す CustomerType は実際には XmlObject クラスを継承したクラス(のインスタンス)である。単純型の場合は通常のJavaのデータ型のゲッターとセッターになる。例えば、getName が String クラスのインスタンスを返すなど。
- XmlCursor
- 任意の XmlObject のインスタンスから XmlCursor クラスのインスタンスを得ることができる。これを使って、XML Inforset に直接アクセスできる。カーソルはXMLインスタンスでの位置を表現している。カーソルは文字単位やトークン単位など任意の細かさで前後に移動可能である。
- SchemaType
- 基になっているスキーマメタ情報へのアクセスを提供するクラス。例えば、ある XML Schema のサンプルインスタンスを生成したい場合や、ある要素がとりうる値を列挙したい場合などに利用できる。
これらは全て、性能を考慮して構築されている。XMLBeans は一般に非常に性能がよいと言われている。
例
[編集]以下は、国を表現したXMLスキーマ定義の簡単な例である。
<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?>
<xs:schema targetNamespace="http://www.openuri.org/domain/country/v1"
xmlns:tns="http://www.openuri.org/domain/country/v1"
xmlns:xs="http://www.w3.org/2001/XMLSchema"
elementFormDefault="qualified"
attributeFormDefault="unqualified"
version="1.0">
<xs:element name="Country" type="tns:Country"/>
<xs:complexType name="Country">
<xs:sequence>
<xs:element name="Name" type="xs:string"/>
<xs:element name="Population" type="xs:int"/>
<xs:element name="Iso" type="tns:Iso"/>
</xs:sequence>
</xs:complexType>
<xs:complexType name="Iso">
<xs:annotation><xs:documentation>ISO 3166</xs:documentation></xs:annotation>
<xs:sequence>
<xs:element name="Alpha2" type="tns:IsoAlpha2"/>
<xs:element name="Alpha3" type="tns:IsoAlpha3"/>
<xs:element name="CountryCode" type="tns:IsoCountryCode"/>
</xs:sequence>
</xs:complexType>
<xs:simpleType name="IsoCountryCode">
<xs:restriction base="xs:int">
<xs:totalDigits value="3"/>
</xs:restriction>
</xs:simpleType>
<xs:simpleType name="IsoAlpha2">
<xs:restriction base="xs:string">
<xs:pattern value="[A-Z]{2}"/>
<xs:whiteSpace value="collapse"/>
</xs:restriction>
</xs:simpleType>
<xs:simpleType name="IsoAlpha3">
<xs:restriction base="xs:string">
<xs:pattern value="[A-Z]{3}"/>
<xs:whiteSpace value="collapse"/>
</xs:restriction>
</xs:simpleType>
</xs:schema>
このスキーマをXMLBeanクラスに(例えば Antを使って)コンパイルすると、スキーマ定義に従ったXMLデータを容易に生成・操作できるコードが生成される。以下のJavaコードは、XML文書の生成と評価の様子を簡単に示したものである。
import org.openuri.domain.country.v1.Country;
import org.openuri.domain.country.v1.Iso;
public class CountrySample
{
public static void main(String[] args) {
Country country = Country. Factory.newInstance();
country.setName("Denmark");
country.setPopulation(5450661); // wikipedia より :-)
// country XMLBean を XML として表示
System.out.println(country.xmlText());
// 文書が妥当かチェック - "Document is invalid" と表示するだろう
// オブジェクトに必要な Iso 子要素が生成されていないため
System.out.println ("Document is " + (country.validate() ? "valid" : "invalid"));
// 複合型 Iso の子要素を追加し、文書を妥当なものにする
Iso iso = country.addNewIso();
iso.setAlpha2("DK");
iso.setAlpha3("DNK");
iso.setCountryCode(208);
// country XMLBean を XML として表示
System.out.println(country.xmlText());
// 文書が妥当かチェック - "Document is valid" と表示されるだろう
System.out.println ("Document is " + (country.validate() ? "valid" : "invalid"));
}
}
歴史
[編集]David Bau はBEAシステムズ在籍時(現在はGoogle勤務)に XMLBeans プロジェクトを開始した。彼はそのツールの主任設計者であり、チームを率いて XMLBeans 1.0 を設計・実装した。
XMLBeans は、BEA WebLogic にかつて含まれていたXMLバインディングツール XMLMaps を基盤としていた。XMBeans は当初 BEA WebLogic Workshop Framework というプロプライエタリな製品の一部として開発された。しかし2003年1月27日に初めて発表された当初から、BEA はこれをオープン標準にしたいと表明していた。その時点では、BEAが標準化をどの団体に任せるかは明らかではなかったが、2003年中にApacheソフトウェア財団への寄贈が行われた。
- 2003年1月27日: BEA が XMLBeans 技術プレビューとして公表。
- 2003年9月24日: BEA が XMLBeans をApacheソフトウェア財団に寄贈。Apache Incubator プロジェクトの一部となる。
- 2004年4月23日: XMLBeans Version 1.0.2 リリース。 Incubator プロジェクトからの最初のリリース。
- 2004年6月25日: XMLBeans は Apache Incubator プロジェクトからトップレベルプロジェクトの1つに昇格。
- 2005年6月30日: XMLBeans Version 2.0 リリース
- 2005年11月16日: XMLBeans Version 2.1 リリース
- 2006年6月23日: XMLBeans Version 2.2 リリース
- 2007年6月1日: XMLBeans Version 2.3 リリース
- 2008年7月8日: XMLBeans Version 2.4 リリース
- 2009年12月14日: XMLBeans Version 2.5 リリース
- 2012年8月14日: XMLBeans Version 2.6 リリース
- 2013年6月: 開発を終了
- 2018年6月: 開発を再開
- 2018年6月29日: XMLBeans Version 3.0 リリース
- 2020年10月16日: XMLBeans Version 4.0 リリース
- 2021年3月14日: XMLBeans Version 5.0 リリース