緑色の獣
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「緑色の獣」(みどりいろのけもの[1])は、村上春樹の短編小説。
概要
[編集]初出 | 『村上春樹ブック』(「文學界」1991年4月臨時増刊) |
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収録書籍 | 『レキシントンの幽霊』(文藝春秋、1996年11月) |
村上によれば執筆時期は1990年秋頃。「氷男」とふたつ一緒に書いた記憶があるという[2]。
80年代末から90年代初頭にかけて、村上は女性が主人公の短編小説を集中的に書いた。「眠り」(1989年)、「加納クレタ」(1990年)、「ゾンビ」(1990年)、「氷男」(1991年)などである。本作「緑色の獣」も同様に女性が主人公の物語である。
英訳
[編集]タイトル | The Little Green Monster[3] |
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翻訳 | ジェイ・ルービン |
初出 | 『The Elephant Vanishes』(クノップフ社、1993年3月) |
あらすじ
[編集]夫がいつものように仕事に出ると、「私」にはもうやることがなかった。窓辺の椅子に座り、庭にある一本の椎の木を眺める。
どれくらい長くそこに座っていたのかわからないが、あたりがすっかり暗くなったころ、椎の木の根元の地面がもそもそと盛り上がった。地面は割れ、尖った爪のようなものが姿を見せた。そして穴の中からもそもそと緑色の獣が這い出てきた。獣は鼻の先を細くして、それをドアの鍵穴に突っ込み、鍵を開けた。
獣は言った。
「ねえ奥さん、奥さん、私はここにプロポーズに来たですよ。わかるですか? 私は深い深いところであなたのことを想つておつたんですよ。それで我慢がきかなくなつて、ここに這い上がつてきたたたですよ。」