2019年スリランカ大統領選挙
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2019年スリランカ大統領選挙(2019ねんスリランカだいとうりょうせんきょ、英語: 2019 Sri Lankan presidential election)は、2019年11月16日に行われたスリランカの国家元首である大統領を選出するための選挙である。過去最多となる35名[1]が立候補し、スリランカ人民戦線候補であるゴーターバヤ・ラージャパクサが当選した[2][3]。
主な候補者
[編集]主な候補者は元大統領マヒンダ・ラージャパクサの弟でスリランカ人民戦線 (SLPP) 候補のゴーターバヤ・ラージャパクサと、元大統領ラナシンハ・プレマダーサの息子で統一国民党 (UNP) 副総裁を務めるサジット・プレマダーサの2名。そのほか、候補者には僧侶、イスラム系、タミル系、女性を含め35名が立候補した[1]。
スリランカ人民戦線 | 統一国民党 |
ゴーターバヤ・ラージャパクサ | サジット・プレマダーサ |
元国防・都市開発次官[2] | 元住宅建設・文化大臣[3] |
南部州 | 西部州 |
政党ごとの候補者選定
[編集]スリランカ人民戦線 (SLPP)
[編集]地方選挙での大勝を受け、スリランカ人民戦線 (SLPP) は大統領選を視野に入れて候補者選定を始めた。大統領経験者の党首マヒンダ・ラージャパクサは再選回数制限により出馬ができなかったため、彼の兄弟であるチャマル、バシル、ゴーターバヤの3名が候補に上がった[4][5]。しかし、ゴーターバヤとバシルの2名は海外国籍を有した二重国籍者であるという理由で、出馬ができないとなった[6][4]。しかし2019年1月12日、ゴーターバヤは「国民が支持してくれるのであれば出馬する」と表明した[7][8]。SLPP上層部は彼の意思を認識しておらず、この表明に驚いた[9]。
チャマルもまた、ゴーターバヤの発言直後に「党が自分を候補者として推薦してくれるなら前向きに考える」と述べ、大統領選への意欲を表明した。
2019年3月、チャマルは自身や弟バシルの出馬可能性を否定したが、ゴーターバヤの出馬については言及を避けた[10]。
2019年4月、スリランカで連続爆破テロ事件が発生。その直後にゴーターバヤは大統領選への出馬を表明した[11]。8月11日にはSLPP党首のマヒンダから正式にゴーターバヤを次期大統領選挙の候補者とし、自身が首相候補となることを発表した[12][13]。
統一国民党 (UNP)
[編集]統一国民党 (UNP) は2010年、15年と自党候補を出さず、他党候補を推薦した。しかし2015年にスリランカ自由党 (SLFP) のマイトリーパーラ・シリセーナを推薦して当選させた際、UNPは選挙のために5億ルピーを拠出したにもかかわらず、大統領とUNPの関係性は良くなかった。そして2018年にはUNP総裁で首相のラニル・ウィクラマシンハが大統領に解任されるという事件も起きた。そのためUNPの党員は、19年選挙には自党候補を擁立すべきだという意見が多かった。
党総裁のウィクラマシンハは明確に自らが大統領選に出馬する意思を表明しており、党主要メンバーとも会談していた[14]。しかし、複数の議員は副総裁であるサジット・プレマダーサの擁立を画策し、プレマダーサ自身もUNP候補として大統領選に出馬する意思を明らかにした[15]。
副総裁プレマダーサへの支持が集まる一方で総裁ウィクラマシンハも出馬表明を撤回しない中、国会議長を務めていたカル・ジャヤスリヤも「党の分裂と混乱を収束させる」という名目で大統領選出馬を表明した[16]。しかし、結局はプレマダーサが支持を集め、複数都市での集会も成功させた[17][18][19]。
2019年9月26日、UNP作業部会はプレマダーサを大統領候補に擁立することを決定。党総裁にはウィクラマシンハが留まり、プレマダーサが大統領に就任した際の首相を務めることも発表された。
スリランカ自由党 (SLFP)
[編集]現大統領であったスリランカ自由党党首のマイトリーパーラ・シリセーナは15年の大統領選挙の公約として二期目は出馬しないということを表明していたが、19年時点では二期目への意欲を示していた[20][21]。しかし、SLFP党員は元SLFP党首マヒンダ・ラージャパクサが創設したスリランカ人民戦線 (SLPP) を支持することを決定した。
脚注
[編集]- ^ a b “スリランカ大統領選挙に35人の立候補者(スリランカ)|ビジネス短信”. 日本貿易振興機構 (2019年10月31日). 2020年12月16日閲覧。
- ^ a b 西濵徹 (2019年11月18日). “スリランカ大統領選、インド洋のパワーバランスを大きく左右”. 第一生命経済研究所. 2020年12月16日閲覧。
- ^ a b “スリランカ大統領選、与党候補が敗北宣言”. 日本経済新聞 (2019年11月17日). 2020年12月16日閲覧。
- ^ a b “Sirisena struggles to seal new alliance in Sri Lanka re-election bid” (英語). www.economynext.com. Economynext. 2020年12月14日閲覧。[リンク切れ]
- ^ “Only MR can decide on presidential candidate: GL” (English). www.dailymirror.lk. 10 January 2019閲覧。
- ^ “Gotabaya Rajapaksa will not contest in the 2020 Presidential Election - here is why - Sri Lanka Latest News” (英語). Sri Lanka News - Newsfirst (28 January 2018). 10 January 2019閲覧。
- ^ “I Am Ready For Presidential Polls If People Are Ready: Gota Hints At Contesting”. Colombo Telegraph (13 January 2019). 2020年12月14日閲覧。
- ^ “Presidential election: I'm ready if people are ready - Gota” (English). www.dailymirror.lk. 2020年12月14日閲覧。
- ^ “SLPP in disarray as Gota jumps the gun” (英語). Daily News (2019年1月17日). 2020年12月14日閲覧。
- ^ “Gotabaya Rajapaksa suggested as presidential candidate : Mahinda Yapa Abeywardena - Sri Lanka Latest News” (英語). Sri Lanka News - Newsfirst (2019年3月18日). 2019年3月21日閲覧。
- ^ “Exclusive: Sri Lankan ex-defense chief Gotabaya says he will run...” (英語). ロイター通信 (26 April 2019). 2020年12月14日閲覧。
- ^ “Gotabaya Rajapaksa launches Sri Lanka presidential bid”. www.aljazeera.com. アルジャジーラ. 2020年12月14日閲覧。
- ^ “As PM, I will be in charge, hints Mahinda” (英語). Sunday Observer (11 August 2019). 13 August 2019閲覧。
- ^ “I will contest for presidency: Ranil” (English). www.dailymirror.lk. 2019年9月6日閲覧。
- ^ “Sajith Premadasa stakes claim for Sri Lanka UNP candidacy”. EconomyNext (2019年8月13日). 2019年9月29日閲覧。
- ^ “Karu Jayasuriya : PM's new pawn to secure his seat as the Opposition Leader in 2020 - Sri Lanka Latest News” (英語). Sri Lanka News - Newsfirst (2019年9月17日). 2019年9月29日閲覧。
- ^ “Sri Lanka : UNP Deputy Leader avows to 'definitely contest' presidential election at Matara Rally”. www.colombopage.com. 2019年9月29日閲覧。
- ^ “Sajith's Kurunegala rally draws mammoth crowd” (英語). Sunday Observer (2019年9月7日). 2019年10月7日閲覧。
- ^ “Sajith Premadasa's Controversial Speech At Mathugama Rally Causes Ripples Among Working Committee Members Ahead Of Crucial Meeting” (英語). www.asianmirror.lk. 2019年9月29日閲覧。
- ^ “Sri Lanka's new president appoints PM”. Special Broadcasting Service. Australian Associated Press. (10 January 2015)
- ^ “Sri Lanka's President set to stand for 2nd term” (英語). Arab News (8 January 2019). 10 January 2019閲覧。