腸重積

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

腸重積(ちょうじゅうせき、: intussusception, invagination)は、服を脱ぐ時の袖の様に、腸が腸そのものに入っていってしまう病気。最悪の場合は腹膜炎を起こして死亡する。乳幼児、特に10カ月の乳児において頻度が高い。

原因[編集]

乳幼児の場合は風邪症状(咳、鼻水、発熱)が先行して、回盲部腸管のリンパ節腫大が原因となって腸の逆蠕動で腸重積を起こすと思われる。まれではあるが、小腸メッケル憩室も発症の原因になるので、再発例は精査が必要である。

成人では腸内にポリープ腫瘍がひっかかり発症する事が多い。

病態[編集]

回盲部と呼ばれる小腸と大腸の接合部(虫垂の近く)が大腸側に入り込むことが多い。その場合は大腸が巻き込みながら重積部は上に移動してゆき、肝臓の下あたり(右上腹部、右季肋下部)に腫瘤が止まる事が多い。この時に重積した腸管が触れることもある。

重積した腸管は血行不順に陥り、発症24-72時間ほどで不可逆的な壊死を起こし、手術にて壊死した腸管の摘除を必要となる事もある。

症状[編集]

嘔吐から始まり、ポートワインカラーの粘血便が出る。腸管は5分から30分置きに蠕動を繰り返す。重積部分が逆蠕動を起こすため、間欠的な激しい腹痛が起きる。小児では間欠的に泣く為、間欠啼泣と呼ばれる。

腸管の損傷が強くなると、壊れた腸管壁よりオピオイド様物質が血中に流れ、意識障害(ボーっとする)が起こる。

身体所見[編集]

右上腹部(右季肋下部)の腫瘤性病変は触診では解らないことが多いので、腹部超音波検査でターゲット(弓矢の的)サインを探すのが重要である。

検査所見[編集]

重複した腸管が二重丸の的のように見える(ターゲットサイン)。

治療[編集]

超音波監視下高圧注腸[編集]

嘔吐から24時間以内に施行するのが原則である。無麻酔で、しっかり仰臥位で固定しておこなう。30フレンチのフォーレを肛門から直腸に10 cm 挿入して、40 ml の空気を注射器で注入しフォーレのバルーンをゆっくり膨らませた後、ゆっくりフォーレを引いてしっかり直腸肛門移行部に固定してから、あらかじめにカンシでクランプしたイリガートリル内の生理食塩水1000 ml を、120 cm ないし110 cm の高さに固定し、クランプを開放して、超音波監視下で一気に注腸するが、整復中は、決して生理食塩水の高さを下げたり上げたりしてはならないし、決して腹部を手で圧迫してはならない。超音波のプローブの位置は回盲部(右下腹部)に固定して内筒腸管が押し戻される様子をしっかり視る。回盲部腫瘤の内筒腸管が完全に押し出されたら、臍部にプローブを移動して小腸がハニカム(蜂の巣)状になったのを確認して、フォーレをクランプして注腸を停止する(1分ないし2分で整復できる)。その後、生理食塩水の入った容器をベッド下まで下げてクランプを解除して注腸した生理食塩水を出来るだけ回収してバルーンの空気を抜いてフォーレを抜去する。

手術[編集]

嘔吐から24時間以上の場合は原則として開腹手術する。又は、高圧注腸で整復出来なければ開腹手術にて治療する。手術法は、損傷部が断裂するのを防ぐため、腸管を引っ張るのではなく、肛門側から両手で腸管を握って内筒腸管を押し出す(ミルキング)。