玉座の聖母子と洗礼者聖ヨハネ、マグダラのマリア

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『玉座の聖母子と洗礼者聖ヨハネ、マグダラのマリア』
フランス語: La Vierge et l'Enfant entre saint Jean-Baptiste et sainte Marie-Madeleine
英語: Madonna and Child Enthroned with John the Baptist and Mary Magdalene
作者チーマ・ダ・コネリアーノ
製作年1511-1513年
種類キャンバス油彩
寸法167 cm × 110 cm (66 in × 43 in)
所蔵ルーヴル美術館パリ

玉座の聖母子と洗礼者聖ヨハネ、マグダラのマリア』(ぎょくざのせいぼしとせんれいしゃヨハネ、マグダラのマリア、: La Vierge et l'Enfant entre saint Jean-Baptiste et sainte Marie-Madeleine: Madonna and Child Enthroned with John the Baptist and Mary Magdalene)は、イタリアルネサンスの画家チーマ・ダ・コネリアーノが1511-1513年に板上に油彩で制作した絵画である[1][2][3][4]。画家晩年に属する作品で、最も重要なものの1つである。玉座の基部に描かれた紙片に画家の署名が記されている[2]。本来、パルマのサン・ドメニコ修道院教会にあった作品である[2][3][4]が、ナポレオン戦争中の1811年にフランスの占領軍に没収され、パリへ運ばれた[2]ウィーン会議後も返還されずにパリに残留し、現在はルーヴル美術館に所蔵されている[2][3][4][5]

作品[編集]

この作品は玉座にいる聖母子聖人たちを表しており、ルネサンス期に人気のある主題の1つであった「聖会話」と呼ばれる形式をとっている[3]。この形式は、1470年代にヴェネツィア派ジョヴァンニ・ベッリーニアントネロ・ダ・メッシーナにより確立されたものである[4]。その後、ヴェネト地方からチーマ・ダ・コネリアーノが本作を制作したエミリア=ロマーニャ地方にまで拡散し、16世紀初頭まで流行した[4]。「聖会話」では、一般に礼拝堂や居室のような室内を描くことが多いが、本作は川を背景にし、はるか遠くへ続く山のある風景の中に人物を配置している[3]

チーマ・ダ・コネリアーノの守護聖人である洗礼者聖ヨハネは玉座の左側に立って、聖母マリアの膝にいる幼子イエス・キリストを崇敬のまなざしで見つめている。ヨハネの持つ巻紙には「神の仔羊を見よ」という言葉が記されている[3]。右側に立っているのは、自身のアトリビュート (人物を特定化する事物) である香油の壺を持っているマグダラのマリアである。彼女はキリストの「受難」に立ち会い、キリストの足を洗って、香油を塗った罪深い者とされる[3]

聖母マリアの背後の「栄誉の布」は背景の風景に含まれるすべての色を併せ持っているが、それによって画家は自身の故郷への敬愛を表現している[3]

脚注[編集]

  1. ^ (フランス語) catalog entry” (1513年). 2023年9月24日閲覧。
  2. ^ a b c d e La Vierge et l'Enfant entre saint Jean Baptiste et sainte Marie-Madeleine”. ルーヴル美術館公式サイト (フランス語). 2023年9月24日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h ルーヴル美術館 収蔵絵画のすべて 2011年、77頁。
  4. ^ a b c d e The Madonna and Child with Sts John the Baptist and Mary Magdalen”. Web Gallery of Artサイト (英語). 2023年9月24日閲覧。
  5. ^ (フランス語) Israel Thorndike Pamphlet Collection (Library of Congress), Notice de tableaux, dont plusieurs ont été recueillis à Parme et à Venise, exposés dans le grand Salon du Musée Napoléon, ouvert le 27 thermidor an XIII., De l'Imprimerie des sciences et arts, [1804 or 1805], OCLC 37354208.

参考文献[編集]

外部リンク[編集]