「走光性」の版間の差分
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2013年4月17日 (水) 02:39時点における版
走光性(そうこうせい、Phototaxis)は走性の一つで、生物が光刺激に反応して移動することである。走光性のうち、光のある方向に近づくような行動は『正の走光性』、光から離れるような行動は『負の走光性』などともいう。正負を付さず単に「走光性の生物」などと言った場合には正の走光性を指している場合が多い。なお、植物などが日光に対して屈曲する屈光性(屈性の一つ)とは、性質を表す個体が移動する(向きを変えるだけではない)という点で異なる。(走性参照)
例
走光性を持つ生物として一般には、蛾やハエなどが挙げられる(諺『飛んで火に入る夏の虫』などは正の走光性による)。また、微生物のテトラヒメナやユーグレナ(ミドリムシ)なども正の走光性を持つ。逆にミミズなどは負の走光性を持つ。(後述)
理由
ユーグレナは光合成を行なうため、より光のある方向へと移動する能力があることは適応的であるといえる。また、地中で生活するミミズの場合、生存に適さない地表を避けて(日光の及ばない)より暗い地中へと潜るために負の走光性をもつと考えられている。
一方で蛾などの夜行性昆虫が正の走光性を持つことは、一見矛盾しているか無意味であるように思われるが、実際には適応的な意味を持っているとされる。
まず前提として、深夜であっても晴天ならば月や星によって(人間にとっては僅かであっても)地上には光がもたらされている。この天球から降り注ぐ平行光に対して一定の角度で飛び続けることにより、地表から一定の高度を保つことが可能となっているものと考えられる。ところが人工光(松明や街灯など)の場合、光源からの光は放射状に出るため、これに対して体を一定角度に保って飛翔しようとすると、らせん軌道を描きながら光源へと近づいてゆくので、結果として光源へと体当たりする形となるのである。
こうした正の走光性を有する昆虫にとっては、光に向かうことが目的なのではなく、効率よく飛行をするためには光に従って飛ぶほうが適しているのである。
その他
負の走行性は俗に走暗性(走闇性)ともされる。