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連続体力学


流体力学における循環 (じゅんかん、英語:circulation) とは閉曲線上での流体速度線積分である。循環は と表されることが多い。

閉曲線 に沿った循環 は、流体の速度を 、曲線の微小線要素ベクトルを として、線積分

で表せる。[1]

循環と渦度

ストークスの定理によって、循環は渦度と以下のように関連付けされる。

ただし、積分経路 は閉曲線であるだけでなく、面積要素 の境界 でなければいけない。ここで

は渦度である。

循環と渦定理

以下の定理が成り立つ。

  • ケルビンの渦定理 「非粘性バロトロピック流体の保存外力下での流れにおいて、流体とともに動く閉曲線に沿う循環は時間的に不変である。 [1]
  • ヘルムホルツの渦定理 「非粘性バロトロピック流体の保存外力下での流れにおいて、渦管は渦管として行動し、かつ、その強さは一定不変である。[2]
  • ラグランジュの渦定理 「非粘性バロトロピック流体の保存外力下での流れにおいて、渦は生成不滅である。[2]

循環と揚力

フレデリック・ランチェスターマーティン・ウィルヘルム・クッタ (en:Martin Wilhelm Kutta)、そして、ニコライ・ジュコーフスキーらがそれぞれ独立に、循環の概念を使って揚力を説明した。[3]

非粘性流体の2次元流れにおいて、奥行き方向単位長さあたりの物体にかかる揚力 は物体を囲む閉曲線に沿った循環 と流体の密度 と流体に対する物体の速度 の積

で表される。これはクッタ・ジュコーフスキーの定理と呼ばれる。[3]

関連項目

出典

  1. ^ a b 巽友正 (1982). 『流体力学』. 培風館. ISBN 456302421X 
  2. ^ a b 今井功 (1973). 『流体力学(前編)』. 裳華房. ISBN 4785323140 
  3. ^ a b P.K. Kundu; I.M. Cohen; D.R. Dowling (2011). Fluid Mechanics Fifth Edition. Academic Press. ISBN 0123821002