「乾ドック」の版間の差分
m Botによる: {{Normdaten}}を追加 |
編集の要約なし |
||
19行目: | 19行目: | ||
{{gallery |
{{gallery |
||
|height=250px |
|height=250px |
||
|File:Brosen keelblocks1.jpg|盤木の設置例。設置のしかたは船底の形状による。この写真では金属製の台の上に木材をかませて船底を傷つけないようにしている。写真でも判るように、水を抜いて船底をむきだしにしてやることで、船底の塗装 |
|File:Brosen keelblocks1.jpg|盤木の設置例。設置のしかたは船底の形状による。この写真では金属製の台の上に木材をかませて船底を傷つけないようにしている。写真でも判るように、水を抜いて船底をむきだしにしてやることで、船底の塗装のはがれや傷もわかるようになる。 |
||
}} |
}} |
||
なお[[対潜戦|対潜水艦戦]]用(Anti-submarine warfare, ASW)の艦船の中には船体の下部に[[ソナー]]用ドームが突き出しているものもあり、このような |
なお[[対潜戦|対潜水艦戦]]用(Anti-submarine warfare, ASW)の艦船の中には船体の下部に[[ソナー]]用ドームが突き出しているものもあり、このような艦船向けのドックは、渠底にドームを収めるピットを設けている。 |
||
;入渠 |
;入渠 |
||
45行目: | 45行目: | ||
|File:Pump House machinery.jpg|排水用ポンプの一例 |
|File:Pump House machinery.jpg|排水用ポンプの一例 |
||
}} |
}} |
||
;作業 |
;作業 |
||
54行目: | 53行目: | ||
}} |
}} |
||
;出渠 |
|||
⚫ | |||
;開扉 |
|||
⚫ | |||
== 屋根つきのドック == |
== 屋根つきのドック == |
||
69行目: | 66行目: | ||
{{-}} |
{{-}} |
||
== 浮 |
== 浮ドック == |
||
フローティングドックとも呼ばれる。ドックが水中に沈み、船舶や艦船を入渠させた上で排水を行って浮上し、乾ドック同様に作業が可能な設備。浮き船渠、浮き船台とも言われる。 |
フローティングドックとも呼ばれる。ドックが水中に沈み、船舶や艦船を入渠させた上で排水を行って浮上し、乾ドック同様に作業が可能な設備。浮き船渠、浮き船台とも言われる。 |
||
浮きドックは |
浮きドックは、台船の両側に側壁を立てたような形状で、、前後方向から見ると凹型になっており、浮きドックに機関など推進装備がない場合、タグボートなどが牽引、曳航することで移動できる。浮きドックを輸送しやすくするため分割式であったりするが、自身で移動、航海できるものもあり、それらは自走浮きドックと呼ばれた。ただし、最初から移動を考慮しない浮きドックも存在し、そういった浮きドックは港湾で建設、利用された。複数のウインチを装備したものは係留ワイヤーの巻き込みと繰り出しにより多少の移動が可能なものもある。 |
||
第二次世界大戦中は港湾から遠隔地にあって十分な設備がない場合にも使用され、船内に小規模な工場を持つ[[工作艦]](修理艦)などを同伴して応急修理を可能にした。戦後、航海できない保存船の輸送や巨大な橋などを[[ブロック工法]]を用いて建造する際に浮きドックが用いられることもある。沈んだ船体をサルベージ(salvage)するためにも用いられた。ケーソン等の水中に沈める構造物を製造するためにも用いられる。 |
第二次世界大戦中は港湾から遠隔地にあって十分な設備がない場合にも使用され、船内に小規模な工場を持つ[[工作艦]](修理艦)などを同伴して応急修理を可能にした。戦後、航海できない保存船の輸送や巨大な橋などを[[ブロック工法]]を用いて建造する際に浮きドックが用いられることもある。沈んだ船体をサルベージ(salvage)するためにも用いられた。ケーソン等の水中に沈める構造物を製造するためにも用いられる。 |
2021年4月28日 (水) 10:10時点における版
![]() |
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/c/c9/Stockholmsbriggen_i_Beckholmsdocka.jpg/250px-Stockholmsbriggen_i_Beckholmsdocka.jpg)
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/7/7e/Boat_in_Dry_Dock%2C_Ashtabula%2C_Ohio_%2812659726065%29.jpg/250px-Boat_in_Dry_Dock%2C_Ashtabula%2C_Ohio_%2812659726065%29.jpg)
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/d/d1/Dry_dock_in_Singapore.jpg/250px-Dry_dock_in_Singapore.jpg)
乾ドック(かんドック、英: dry dockドライドック)とは、船体の検査や修理などのために水を抜くことができるドックのこと。船渠(せんきょ)、乾船渠(かんせんきょ)とも。
概説
通常、単に「ドック」と言えば、この「乾ドック」のことを指す。
歴史
最古のドックとされるものは1495年にイングランドポーツマスに設けられたものである。ただし、9世紀ごろには中国で乾ドックのようなものが用いられていたという説もある。
乾ドックの使用の手順
- 盤木の設置
船舶・艦船をドックに入渠(にゅうきょ)させる前に、まず盤木と呼ばれる支えを構築しなければならない。盤木を設置することで、ドックが排水された後でも艦船を直立させておくことが可能となる。船体の形状に合ったものを設置する。いわば、船の模型を置くための台のようなものをつくるのである。盤木の材質はコンクリート、鉄、木などである。
なお対潜水艦戦用(Anti-submarine warfare, ASW)の艦船の中には船体の下部にソナー用ドームが突き出しているものもあり、このような艦船向けのドックは、渠底にドームを収めるピットを設けている。
- 入渠
入渠のしかたはさまざまであるが、通常は船舶自体のエンジンで入口付近まで近づかせ、あとはロープを人の手で引くなどして定位置に引き込むことができる。船舶というのは一般に、たとえ重量がそれなりに大きくても水に浮いている間は比較的小さな力で動かすことができるものなので、多人数でロープを持つことで かなりの大きさの船舶まで人力だけで入渠させることができる。ただしあまりに巨大なタンカーや艦船の場合は通常タグボートの助けをかりて入渠する。
- 閉扉と排水
入り口の起立式や外開き式の水密性扉(ゲート)が閉められ、ドック内は海から完全に隔離される。その後、潮汐の激しい港湾部では自然排水を利用し、あるいは巨大なポンプを用いてドック内の海水を排水する。
ゲートとして扉船を使用する場合もある。扉船の内部にはタンクが設けられており、外洋から出し入れする際にはタンクを排水して浮上させるが、ドックの注排水作業はタンクを注水し浮力を殺す必要がある[1]。なおドックを完全に排水してしまうと扉船には浮力は発生しないので、タンクは排水される。
排水の過程において、船体の位置を微調整するためにスキューバダイバーが用いられることもある。 (なおドックに入渠した船体は一見浮いているように見える。それは船底を盤木で支えているためである。)
排水が完全に終わるには時間がかかる。
- 作業
排水が完了すると、必要に応じて足場などを組んで、船体の点検や整備などの作業が開始される。
- 出渠
点検・整備などの作業が終わったら、足場類等を撤去し、ドック内に注水する。船体が浮上し、ドック内外の水位が均等になったら、ゲートを開け、船舶をドック外に曳き出す。
屋根つきのドック
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/e/e6/Base_ssmarin_stnazaire.jpg/250px-Base_ssmarin_stnazaire.jpg)
なお、軍用の乾ドックでは、屋根が付属していることも珍しくない。これはスパイ衛星などによる観察を防ぐためである。
第二次世界大戦中には敵の空襲をふせぐために屋根が設けられたこともある。ドイツ海軍はUボートを爆撃から守るため、強固な作りの防空壕(英:シェルター、独:ブンカー)をブレストやロリアン(Lorient)に建設した。後にドイツ海軍は防空壕の中で整備や修理を行えるようにした。
しかし、今日では屋根つきのドックは弾道ミサイル潜水艦などの最高軍事機密を扱う際にのみ用いられている。
浮ドック
フローティングドックとも呼ばれる。ドックが水中に沈み、船舶や艦船を入渠させた上で排水を行って浮上し、乾ドック同様に作業が可能な設備。浮き船渠、浮き船台とも言われる。
浮きドックは、台船の両側に側壁を立てたような形状で、、前後方向から見ると凹型になっており、浮きドックに機関など推進装備がない場合、タグボートなどが牽引、曳航することで移動できる。浮きドックを輸送しやすくするため分割式であったりするが、自身で移動、航海できるものもあり、それらは自走浮きドックと呼ばれた。ただし、最初から移動を考慮しない浮きドックも存在し、そういった浮きドックは港湾で建設、利用された。複数のウインチを装備したものは係留ワイヤーの巻き込みと繰り出しにより多少の移動が可能なものもある。
第二次世界大戦中は港湾から遠隔地にあって十分な設備がない場合にも使用され、船内に小規模な工場を持つ工作艦(修理艦)などを同伴して応急修理を可能にした。戦後、航海できない保存船の輸送や巨大な橋などをブロック工法を用いて建造する際に浮きドックが用いられることもある。沈んだ船体をサルベージ(salvage)するためにも用いられた。ケーソン等の水中に沈める構造物を製造するためにも用いられる。
世界最大の乾ドック
世界最大の乾ドックは北アイルランド・ベルファストにあり、ハーランド・アンド・ウルフ社のものである。
ギャラリー
-
ドライドックの模型(1783年)
-
ケープタウンのロビンソン・ドライドック
-
米国ボストンにある海軍のドライドック
-
艦船が2杯同時に入った例
-
ニューポート・ニューズ造船所にある巨大な乾ドックとその中の空母 ジェラルド・R・フォード。整備作業を終え、扉を開けドック内に海水を入れはじめたところ。写真手前側から水が流れこんでいる。しばらくすると水位が上がり、船体が浮くことになる。(2013年)
脚註
関連項目
外部リンク
- “8.ドックの仕組み (1)”. 船のお医者さん. 2013年4月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年9月17日閲覧。