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「要出典」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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メディアウィキの標準的なCSSスタイルシートで表示された英語版の要出典タグ

要出典 (Citation needed) とは、ウィキペディアにおいて信頼できる情報源出典として求められていることを編集者が示すときの言葉で、記事本文ではテンプレートを使用して、例えば「地球の空は青い[要出典]」などという形で表す。このタグはウィキペディアの編集方針を象徴するものとみなされ、英語圏においては実際にプラカードとして掲げられることもしばしばである。

タグとテンプレート

2010年の「正気を取り戻せ」集会に持ち寄られたプラカード

ウィキペディアは情報の正確性を高めるため、記述の際にはその根拠となる出典を示すことを利用者に求めており、いわゆる「独自研究」を禁じている[1]

要出典タグは {{要出典}}(かつての {{fact}})と呼ばれるテンプレートを使用することでウィキペディアの記事上に表示されるもので、参照できる出典が示されていない疑わしい記述の隣に置くことが推奨されている。スタイルとしては脚注を挿入する場合と同じように上付き文字で[要出典]という一語を追加し、有効な出典の必要性を解説したページへのハイパーリンクが同時に設定される。そして内部ではその項目を出典が必要な記事としてメンテナンス用カテゴリにリストアップする[2]。この「要出典」テンプレートは2005年6月にウィキペディアの利用者であるクリス・シャーロック(アカウント名は"Ta bu shi da yu")が開発したものである[3]

視覚的にもわかりやすいマークを使うことで、情報源を必要としているテキストだということがすぐにわかる上に、ウィキペディア内でカテゴリ化されるので、そういった記事に目を光らせることができる。英語版ウィキペディアの記事を例にとると、2009年8月の時点で全体の5%強にあたる約15万5千記事の1つないし複数の章節で出典が要求されている[4]。それ以前の状況を見てみると、2008年10月には12万5千前後の記事で用いられていたのであり[5]、その14か月前の2007年8月になると7万5千を僅かに上回る程度しかなかった[6]

「要出典」に相当するテンプレートは非英語版のウィキペディアでも広く使用されている。日本語版ウィキペディアでも、この「要出典」を始めとしたテンプレートは「かなり厳しく付けられるという傾向」がみられるようになった[n 1]。しかし全体で2番目の規模を誇るドイツ語版ウィキペディアはその例外として知られている。

一方でニューヨークタイムズが言及しているように、半ば偏執的に出所不明の記述を「パトロール」してこのテンプレートを付与してまわる「神経質な編集者」[n 2]もウィキペディアには存在する[9]

ウィキペディアの外で

xkcdの「ウィキペディアな抗議者」

このテンプレートを模した横断幕はたびたびデモにも登場する。いくらかおどけたものではあったが2010年の後半に「正気を取り戻せ」集会英語版で使用され[10]、2011年2月にはベルリンで行われたドイツ国防相カール=テオドール・ツー・グッテンベルクに対する抗議デモに―より真面目な形で―使われている。グッテンベルクは博士論文の盗用が発覚するというスキャンダルの渦中にいた人物である[11]

2007年6月4日、ウェブコミックxkcdは、政治演説の最中に「要出典」をプラカードとして掲げて、政治家によるおかしな発言に対して抗議の声を挙げる「ウィキペディアな抗議者」 ("Wikipedian protester") を発表して話題となった[12]

また、この英語の「要出典」は正確性に対するウィキペディアの方針に注意を喚起するユーモラスなTシャツのロゴとしても使われたことがある[13]

脚注

注釈

  1. ^ この印象は2011年の段階で語られたものである[7]
  2. ^ 訳注: stickler editorsの訳語。ニューヨークタイムズはオンライン版の見出しにも「要出典」 ("Citation Needed") という用語を使用している[8]

出典

  1. ^ 栗岡 幹英 (2010). “[研究ノート] インターネットは言論の公共圏たりうるか:ブログとウィキペディアの内容分析”. 奈良女子大学社会学論集 (奈良女子大学社会学研究会) (17). NAID 110008576636. hdl:10935/2235.  p.138
  2. ^ Template:Fact/doc”. Wikipedia. Wikimedia Foundation (2008年10月20日). 2008年10月22日閲覧。
  3. ^ User "Ta bu shi da yu" (03:51 UTC, 15 June 2005). “Template:Fact”. Wikipedia. Wikimedia Foundation. 2008年10月22日閲覧。
  4. ^ Specifically, 154,737 articles as of 03:08 UTC on the 17th. There were 2,999,898 articles at this point. All articles with unsourced statements”. Wikipedia. Wikimedia Foundation (2009-08-17 at 03:08 UTC). 2009年8月17日閲覧。Statistics”. Wikipedia. Wikimedia Foundation (2009-08-17 at 03:08 UTC). 2009年8月17日閲覧。
  5. ^ Specifically, 125,308 as of 13:08 UTC on the 22nd.All articles with unsourced statements”. Wikipedia. Wikimedia Foundation (2008-10-22 at 13:08 UTC). 2008年10月22日閲覧。
  6. ^ Specifically, 75,197 as of 03:16 UTC on the 14th.User "DragonsFlight" (2007-08-14 at 03:16 UTC). “Category tracker”. Wikipedia. Wikimedia Foundation. 2008年10月22日閲覧。
  7. ^ 山田 晴通 (2011). “ウィキペディアとアカデミズムの間”. 東京経済大学人文自然科学論集 (東京経済大学人文自然科学研究会) (131). NAID 40019128256. http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%88%A9%E7%94%A8%E8%80%85:%E5%B1%B1%E7%94%B0%E6%99%B4%E9%80%9A/%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%82%AD%E3%83%9A%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%A2%E3%81%A8%E3%82%A2%E3%82%AB%E3%83%87%E3%83%9F%E3%82%BA%E3%83%A0%E3%81%AE%E9%96%93. 
  8. ^ Itzkoff, Dave (2010年9月9日). “Citation Needed: Houellebecq Responds to Charge of Plagiarizing Wikipedia”. The New York Times. 2010年9月17日閲覧。
  9. ^ Cohen, Noam (2008年6月23日). “Link by Link – Delaying News in the Era of the Internet”. The New York Times. 2010年9月17日閲覧。
  10. ^ Johnson, Ted (2010年11月1日). “Satirical rally calls for sanity and/or fear”. Variety. 2012年10月17日閲覧。
  11. ^ Dannenberg, Natalia (2011年2月26日). “Academics attack German minister in plagiarism row”. Deutsche Welle. 2011年3月5日閲覧。
  12. ^ Nerd humour hits it big. Ivor Tossell. The Globe and Mail. June 11, 2009.
  13. ^ Abraham, Chris (2008年7月6日). “Wikipedia is Accurate (citation needed)”. 2008年10月22日閲覧。

関連項目

外部リンク