火花送信機

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

火花送信機(ひばなそうしんき)あるいは火花式送信機は、かつて無線通信の送信機として用いられた、間隙を開けた電極間に印加した高電圧が発する火花放電による、原始的な電波発生装置である。

三六式無線機や、タイタニック号で使用されたマルコーニ社製無線電信機などの時代の送信機は、この方式であった。無線システムとしては、発生する電波の周波数を選ぶことすらできない原始的な代物であり、同時に複数台用いると混信する欠点がある。機能性能ともに圧倒的に優れた真空管式送信機があらわれると同時に、急速に置き換えられていった。当時の機器そのままでの電波の発生は、近年の厳しい規制に掛かるばかりでなく、電波妨害を起こす危険性が高いため注意したい。

普通火花式送信機[編集]

間隔の広い火花間隙に電圧を掛けて、不規則な火花を発生させるもの。火花式送信機の最も基本的な方式であり、構造も簡単であるが、送信電波が雑音状(減衰波)であり、混信に弱く、遠距離の通信には不適当である。

瞬滅火花式送信機[編集]

0.1mm程度の狭い間隔に放電を起こすと、持続電波に近い送信電波が得られる事が、ドイツのWeinによって発見されたため、これを応用したもの。火花間隙の冷却のためにアルコール蒸気や不活性ガスを吹き付ける設計のものもあった。送信電波に楽音状の音調が伴い、受信が普通火花式よりも容易になったが、電極の汚損等により運用に手間が掛った。

同期回転式瞬滅火花間隙[編集]

同期モーターで回転する円盤の周囲に電極を配列し、対向する固定または回転電極との間で放電を起こすもの。火花間隙は送信周波数に同調した変圧器を介して空中線に接続する。電源周波数のピークに対応する周期で放電を短時間発生させると、放電の起きていない間は火花間隙は開放状態にあるので、変圧器の一次側は無負荷状態になり、二次側(空中線回路)の自由振動により空中線に単一周波数の減衰振動が起きる。その結果として、単一周波数に近い被変調電波が送信される。真空管式送信機の普及後も一部で予備機として残された。

電弧式送信機[編集]

アーク放電の負性抵抗により発振させるもの。単一周波数の電波が得られるが、アーク放電の維持に手間が掛り、高周波発電機式や真空管式が開発されてからはそれらに急速に置き換えられた。送信電波に雑音が伴い他の通信に混信を与える欠点もあった。

圧電素子式送信機[編集]

ライターガス器具の点火に使用される圧電素子の火花も利用できる。

歴史的な実用例は不詳だが、電源ないし静電気発生器のような大袈裟な仕掛が不要といった利点があり、科学教材としてのコヒーラ検波器への送信器として便利に使われている。[1]

脚注[編集]

  1. ^ 圧電素子とコヒーラによる電波の送受信実験