江のピコ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

江のピコ(えのぴこ)とは、江ノ島電鉄江ノ島駅前に設置された小鳥のオブジェ付きの車止め「ピコリーノ」の愛称である[1][2]。ボランティアによって定期的に手編みの衣装が着せ替えられ、観光スポットになっている[1][2]

江ノ電カラーの江のピコ

概要[編集]

江ノ島駅に設置された車止めの小鳥のオブジェに、1999年冬、駅売店の女性従業員が「寒そうだから」と手編みの衣装を着せ始めた[3]。毎月着せ替えられる小鳥のオブジェは次第に評判になり、雑誌やテレビなどでも紹介されるようになった[4]。衣装づくりは女性従業員が2006年に定年退職したあとも続けられたが、2014年に体調を崩し[4]、女性従業員の知人である駅近くの住人の女性に引き継がれた[1][3]

新しい衣装への着せ替えは毎月1日に行われる[1]。作業を目撃した人の夢を壊さないよう、江ノ電の始発が来る前の早朝に実施している[4]

ピコリーノ[編集]

ピコリーノは広島市のメーカーサンポールが開発したステンレス製の車止めである[3]。同社が1980年代に車止め製作事業に参入したときに開発されたもので[4]、公園の入り口などに設置された車止めに子どもがのぼって転落する事故を防ぐため[4]、4羽の小鳥のオブジェがついている[3]。割高であるにもかかわらずヒット商品となった[4]。名前の由来はイタリア語のピコラ(piccola 小さいもの)による[5]

江ノ島駅前には2台設置されている[1]。同社のカタログのピコリーノのページには江のピコが掲載されている[6]

編み物グランプリ[編集]

江のピコ編み物グランプリ作品を着用した江のピコ
江のピコ編み物グランプリ作品を着用した江のピコ

高齢となったボランティア女性から衣装作成を引き継ぐため[3]、近隣でカフェを経営する女性が江ノ電や藤沢市、サンポールなどの関係者に相談を持ちかけ、編み物コンクールの企画が生まれた[4]。江ノ電開業120周年記念イベントの一環で[2][7]2022年に「江のピコ編み物グランプリ」が開催された[3]。全国の約120人から[1]131点の応募があり[2][3]、31作品が一次審査を通過した[3]。一般投票では[1]31作品の写真パネルが江ノ島駅前に展示され、駅の利用者がシールで投票した[8]。グランプリのほか、アート賞など13の入賞作品が選ばれ[3]、11月25日に同駅で授賞式があり、グランプリの江ノ島駅長賞受賞作品が披露された[2][3]。入賞作品はボランティアによって順次着せ替えられる予定である[2]

各地の事例[編集]

ギャラリー[編集]

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f g 人気撮影スポット、江のピコ「次はどんな服?」 江ノ電・江ノ島駅前で紡がれる輪”. 東京新聞. 2022年11月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月28日閲覧。
  2. ^ a b c d e f 江ノ電 江ノ島駅 「江のピコ」の衣装を披露 藤沢”. NHK NEWS WEB 神奈川 NEWS WEB. 2022年11月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月28日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h i j 江のピコ編み物グランプリ 磯崎さんの「ひまわり」受賞”. 東京新聞. 2022年11月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月28日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g 江ノ島駅前の「小鳥」のおめかし 朝5時の着替え、支えた女性たち(有料記事)”. 朝日新聞デジタル. 2022年12月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年12月24日閲覧。
  5. ^ 江ノ電120周年記念イベント『江のピコ編み物グランプリ』開催決定!”. 江ノブン. 2022年6月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月28日閲覧。
  6. ^ アーチ ステンレス製 ピコリーノ”. サンポール. 2022年11月28日閲覧。
  7. ^ 「江のピコ」がヒマワリまとう 編み物コンクール130点から選出”. 朝日新聞デジタル. 2022年11月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月28日閲覧。
  8. ^ 小鳥オブジェ、新たなコスチュームは 江ノ島駅で投票”. 神奈川新聞. 2022年11月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月28日閲覧。
  9. ^ 【小鳥さんの着替えが5年続いています】”. 道の駅ウトナイ湖. 2022年11月28日閲覧。
  10. ^ 東京2020オリンピック・パラリンピック英国代表事前キャンプ控え、等々力陸上競技場とピコリーノが英国仕様に”. 武蔵小杉ブログ (2021年7月3日). 2022年11月28日閲覧。
  11. ^ ピコリーノ”. 夢見ヶ崎動物公園. 2022年11月28日閲覧。
  12. ^ ベルギー観光局 (2005年11月1日). “小便小僧の新しいワードローブ公開”. 2008年5月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年1月26日閲覧。
  13. ^ 梅田カズヒコ (2005年12月). “@nifty:デイリーポータルZ:JR浜松町駅の小便小僧の謎”. 2008年1月26日閲覧。

外部リンク[編集]

座標: 北緯35度18分40秒 東経139度29分13.92秒 / 北緯35.31111度 東経139.4872000度 / 35.31111; 139.4872000