月の夜 星の朝

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月の夜 星の朝』(つきのよる ほしのあさ)は、本田恵子による日本漫画作品。

概要[編集]

りぼん』(集英社)本誌にて、1983年2月号から1985年11月号まで連載された。全34回。コミックス全8巻、文庫版全4巻。いずれも集英社発行。

本田恵子の初期の代表作であり、また同作者が『りぼん』に発表した作品のうち最も長い作品である。当時大ヒットとなり、同じ頃に連載されていた池野恋の「ときめきトゥナイト」と人気を争った。コミックス第1巻の「作品かいせつ」に「恵子タンが、パワー全開で描いたときめきの初恋ロマン」とある。また文庫版第4巻の作者自身によるあとがきに「私の、初めての連載で、私の原点とも言える作品です」とある。

1984年には青田浩子主演(梁川りお)で映画化され、主題歌レコードも発売された。

なお、本作品においてはバスケットボールが全体を貫く重要なモチーフとなっているが、同じモチーフは、『月の夜 星の朝』以前に発表された初期作品「トレーナーのイブ」(『りぼん』1981年12月号)「朝焼け坂ロック」(『りぼん』1982年3月号、4月号)の2作品にも見える。

あらすじ(コミックス第1巻の途中まで)[編集]

鏡子(りおの叔母)と虎彦(遼太郎の叔父)の結婚式の場面から物語は始まる。結婚式に出席していた当時4歳のりおと遼太郎は、大人たちの前でキスをして周りを驚かせる。それから10年の歳月が流れ、中学生になった2人は、中学対抗バスケットボール大会の決勝戦で偶然再会する。りおは中学生になっても遼太郎にほのかな思いを寄せているが、バスケ部の先輩の森村から告白され、2人の間で気持ちが揺れ動く。

りおは鏡子の紹介で3時間のテレビドラマ『北風のうしろの国へ』に出演することになる。最初は単なるエキストラの予定だったが、主人公の幸美を演じるはずだった杉田聖子が足をケガしたため、その代役を務めることになる。りおは亡くなった幸美が遼太郎を好きだったことを知り、幸美に複雑な感情を抱く。相手役の遼太郎はりおとの共演に拒否反応を示すが、結局押し切られてしまう。2人はそれぞれ悩みながらもドラマの役作りに取り組んで行く。

そんなところへ、名古屋北山中で遼太郎のクラスメートだった小鹿まゆみが転校して来る。小鹿はやはりバスケットボール部員で、りおをライバル視している。小鹿から遼太郎が本当に好きな相手を教えられたりおは、眠れずに思い悩む。

主な登場人物(コミックス第1巻 - 第8巻まで)[編集]

梁川 りお(やながわ りお)
物語の主人公。朝日野(あさひの)中の2年で女子バスケットボール部に所属。背番号7。夏目鏡子の姪。4歳の時に遼太郎とキスしたことをずっと覚えている。
坂本 遼太郎(さかもと りょうたろう)
りおの幼馴染。楠(くすのき)中の2年で男子バスケットボール部に所属。背番号13。夏目虎彦の甥。4歳までりおと一緒だったが、5歳の時に転校し、りおと離れる。名古屋北山(ほくざん)中のバスケのリードマンとして有名だったが、中2の終わり頃にりおの住む町に戻り、楠中のバスケ部に転入する。テレビドラマ「北風のうしろの国へ」に出演し、本人の役を演じることになる。
森村 靖彦(もりむら やすひこ)
朝日野中の3年で男子バスケットボール部員。背番号8。りおたちの1年上で、りおは「森村先輩」と呼んでいる。バスケットの決勝戦で楠中と戦って以来、遼太郎をライバル視している。りおのことが好きで、大晦日のバスケ部の初詣の時にりおに告白するが、後にフラれる。中学を卒業した後は高穗(たかほ)高校に進学。
龍川 幸美(たつかわ ゆきみ)
女子中学生。故人。生前は名古屋北山中のバスケットボール部に所属していた。同じバスケ部の遼太郎のことが好きだったが、若くして白血病で亡くなる。その日記をもとにした本『北風のうしろの国へ』が話題になり、テレビドラマ化されることになる。最初は人気アイドルの杉田聖子がその役を演じるはずだったが、ケガのためりおが代役を務めることになる。
杉田 聖子(すぎた せいこ)
人気No.1の中学生アイドル。テレビドラマ『北風のうしろの国へ』に主人公の幸美役で出演する予定だったが、足をケガし、りおが代役を務めることになる。その病室を遼太郎が見舞いに訪れる。
浜田 麻衣(はまだ まい)
朝日野中の2年で、女子バスケットボール部に所属。りおの親友。明るい性格。森村に思いを寄せている。
小鹿 まゆみ(こじか まゆみ)
龍川幸美の自称親友。名古屋北山中では遼太郎のクラスメートだった。遼太郎のいる楠中に転校して来る。女子バスケット部員として、りおをライバル視している。
夏目 虎彦(なつめ とらひこ)
鏡子の夫。遼太郎の父の弟で、遼太郎の叔父。
夏目 鏡子(なつめ きょうこ)
虎彦の妻。りおの母の妹で、りおの叔母。高校の時から演劇を志し、テレビの人気女優となる。『北風のうしろの国へ』に主人公の母親役で出演。
坂本 伊吹(さかもと いぶき)
遼太郎の父親が伊吹の母と再婚した事で、遼太郎と義兄妹になるが非行に走り、暴走族の頭(ヘッド)の彼女になる。実は遼太郎に思いを寄せていたため、再婚には複雑な思いを抱いていた。
後に暴走族から抜け、オーディションに応募し合格。女優デビューする。

コミックス[編集]

  1. 第1巻 No.278。1983年11月20日第1刷発行。1983年2月号から5月号までを収録。
  2. 第2巻 No.286。1984年2月20日第1刷発行。1983年6月号から9月号までを収録。
  3. 第3巻 No.295。1984年5月20日第1刷発行。1983年10月号から1984年1月号までを収録。
  4. 第4巻 No.305。1984年8月20日第1刷発行。1984年2月号から5月号までを収録。
  5. 第5巻 No.316。1984年12月17日第1刷発行。1984年6月号から9月号までを収録。
  6. 第6巻 No.328。1985年4月20日第1刷発行。1984年10月号から1985年2月号までを収録。
  7. 第7巻 No.343。1985年9月18日第1刷発行。1985年3月号から6月号までを収録。
  8. 第8巻 No.355。1986年1月19日第1刷発行。1985年7月号から11月号までを収録。

これらのコミックは現在ではすべて絶版となっているが、その後1998年に文庫版(全4巻)が集英社より発行されている。第1巻と第2巻は6月23日に、第3巻と第4巻は8月16日にそれぞれ第1刷発行。第1巻の巻末には『キャプテン翼』の高橋陽一による解説エッセイが収録されており、第4巻の巻末には本田恵子自身によるあとがきが収録されている。

続編[編集]

2009年より、続編『月の夜 星の朝35ans(トランサンカン)』が『office YOU』に連載されている。

映画[編集]

1984年に映画化され、東宝系劇場で6月9日に公開された。同時上映は安田成美主演の『トロピカルミステリー 青春共和国』。

出演[編集]

スタッフ[編集]