春霞

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春霞の海、明石市魚住漁港 2006年3月11日(土)

春霞(はるがすみ)は、季節に立つかすみである。から春になると、遠くの景色が見えにくくなること。春のかすみ。

定義[編集]

学術的な定義は無い。春に霧や靄などによって、景色がぼやけて見える状態を指す。(きり)や(もや)は、空気中の水滴などで視界が悪くなり、視界が1km未満であれば霧、それ以上はと呼ぶ。平安時代頃から、の霧と春の霞として季節によって区別され、風物として多く和歌などに歌われてきた。

発生メカニズム[編集]

は、大気中の水分が植物蒸散が活発化するなどの要因によって増え、気温の低下などによって微粒子状(細かい水滴)となり、目に見える状態になる。の変わり目で気温差の大きい日に起こりやすい。

最近は黄砂などの微粒子により、日中帯に引き起こされる場合も多い。黄砂自体は偏西風により以前より飛来しているため、古い文献にある春霞も一部は黄砂を指していたと考えられる。

和歌と春霞[編集]

  • 春霞たなびく山の桜花うつろはむとや色かはりゆく(題・読人不明 古今和歌集 巻第二 春歌下)
  • 春霞たなびきにけり久方の月の桂も花や咲くらむ(紀貫之 後撰集18)