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布田川・日奈久断層帯

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
地震調査委員会(2013年)による布田川・日奈久断層帯の位置図
西原村から望む大峯火山(左)と高遊原台地(右)。中央部分の落差は布田川断層帯の運動により生じたものである(2011年撮影)

布田川・日奈久断層帯(ふたがわ・ひなぐだんそうたい、: Futagawa-Hinagu fault zone)は、ほぼ熊本県内から一部鹿児島県北部に位置する2つの活断層帯の総称である。両者合わせると全長は約101キロメートル(km)で、九州最長である[1]。また、九州にある活断層の中では珍しい横ずれ断層である[2]。2016年現在では別々の断層帯とみられているが、地震調査研究推進本部地震調査委員会は2013年までひとまとまりの断層帯とみなしていた[3]

概要

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布田川断層帯は、南阿蘇村阿蘇山外輪山西側斜面から益城町木山付近を経て宇土半島先端まで、おおむね東北東から西南西方向に延び、全体の長さは約64 km以上の可能性がある[4]日奈久断層帯は、益城町木山付近から芦北町を経て八代海南部まで、おおむね北東から南西方向に延び、全体の長さは約81 kmの可能性がある[4]。両断層帯は益城町木山付近で接しており、以下のように区分される[4]

  • 布田川断層帯布田川区間 - 南阿蘇村から益城町木山付近まで、長さ約19 km[5][6]
  • 布田川断層帯宇土区間 - 益城町木山付近から宇土市中心部まで、長さ約20 km[4]
  • 布田川断層帯宇土半島北岸区間 - 宇土市住吉町(すみよしまち)から宇土半島北岸に沿って宇土半島先端まで、長さ約27 km以上[4]
  • 日奈久断層帯高野−白旗(しらはた)区間 - 益城町木山付近から宇城市豊野町山崎(とよのまちやまさき)付近まで、長さ約16 km[4]
  • 日奈久断層帯日奈久区間 - 宇城市豊野町山崎から芦北町の御立岬(おたちみさき)付近まで、長さ約40 km[4]
  • 日奈久断層帯八代海区間 - 御立岬付近から八代海南部まで、長さ約30 km[4]

九州を含む西南日本中央構造線によって内帯と外帯に分けられているが、布田川・日奈久断層帯は外帯を構成する帯状の地質構造を切っており、九州における中央構造線とも言われる臼杵-八代線も切っている[2]

地震の発生

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平成28年熊本地震

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2016年平成28年)の熊本地震は、布田川・日奈久断層帯の活動によって発生した可能性が直後から指摘されていたが[1]、このことについて地震調査研究推進本部地震調査委員会は同年4月17日、「本震は布田川断層帯の布田川区間を含む約27 km、前震は日奈久断層帯の高野-白旗区間の活動によるものであり、一連の地震活動は2つの断層帯が連動するようにして発生したと考えられる。また、本震で動いた断層の範囲は想定よりも東西に数kmずつ長く、東端は阿蘇山外輪山(カルデラ)まで達していた」との評価結果を発表した[6][7]

令和8年熊本地震

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2026年令和8年)の熊本地震は日奈久断層帯の活動によるものとみられている。前述の地震で活動していなかった日奈久断層帯の「割れ残り」の場所としてかねてより警戒されていた[8]。この地震の前後で震源に近い八代市電子基準点が、北東方向に87センチ水平に動いたことが確認されている[9]宮崎公立大学准教授の山下裕亮は「日奈久断層の活動であるのは確かではないか」とし、さらに南側で地震が起こる可能性にも言及している[10]

また、この地震発生の際、熊本県八代市水田において断層が発生した様子を近くの駐車場に設置してある防犯カメラが撮影した。断層が発生する瞬間を映像として捉えることが出来たのは2025年(令和7年)のミャンマー地震に次いで2例目とされる[11][12]

天然記念物指定

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布田川断層帯(堂園)

熊本地震の際に益城町内で地表に表れた断層について、2016年(平成28年)6月17日に2か所が[13]、2017年(平成29年)6月7日に1か所が[14]益城町指定文化財(天然記念物)に指定された。その後、これら3か所は、「学術上価値が高く、地震の被害を将来に伝える災害遺構としても貴重である」として、2018年(平成30年)2月13日に国の天然記念物「布田川断層帯」として指定されている[15][16]

脚注

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  1. 1 2 “浅い震源、内陸型か 震源地周辺の断層帯、動いた可能性”. 朝日新聞. 2016年4月14日. 2016年4月14日時点のオリジナルよりアーカイブ. 2016年4月15日閲覧.
  2. 1 2 楮原京子ほか「布田川・日奈久断層帯海域部における高分解能マルチチャンネル音波探査」(PDF)『活断層・古地震研究報告』第11号、産業技術総合研究所地質調査総合センター、2011年、273-294頁、NAID 400195141742017年1月14日閲覧(参照ページ:p. 273)
  3. “熊本地震「連鎖」に3つの可能性 前震で地下の力変化 2断層帯、実は一体 ひずみ蓄積し余震誘発”. 日本経済新聞. 2016年5月2日. 2016年5月4日閲覧.
  4. 1 2 3 4 5 6 7 8 布田川断層帯・日奈久断層帯 - 地震調査研究推進本部
  5. 布田川断層帯・日奈久断層帯の評価(一部改訂) (PDF) - 地震調査研究推進本部、2013年
  6. 1 2 M7.3 布田川断層帯動く 地震調査委 従来より長いと推定しんぶん赤旗 2016年4月18日)
  7. “M7.3、活断層が想定超え27キロ動く 東側は阿蘇山に到達していた…地震調査委が発表”. 産経新聞. 2016年4月17日. 2016年4月20日閲覧.
  8. 10年前から警戒されていた活断層、熊本の「日奈久断層帯」とは?:朝日新聞”. 朝日新聞 (2026年7月28日). 2026年7月28日閲覧。
  9. 【まとめてわかる】なぜ震度7が? 地表に現れた断層 進む現地調査”. 朝日新聞 (2026年8月3日). 2026年8月4日閲覧。
  10. 山下裕亮・宮崎公立大准教授「さらに南側で地震が起こる可能性」「影響は数十年かそれ以上続くだろう」”. 読売新聞 (2026年7月28日). 2026年7月28日閲覧。
  11. 【世界でわずか2例】ミャンマーと熊本 "断層が地表に現れた瞬間映像" 専門家「学術的な価値が高い」”. TBS NEWS DIG. 熊本放送 (2026年8月15日). 2026年8月18日閲覧。
  12. “震源断層の出現映像を撮影 熊本地震、貴重と専門家”. 47NEWS. 株式会社全国新聞ネット. 共同通信. 2026年8月15日. 2026年8月18日閲覧.
  13. “布田川断層、町文化財に 益城町教委が指定”. 熊本日日新聞. 2016年6月26日. 2016年6月28日閲覧.
  14. "熊本地震「畑の断層」を震災遺構に 益城町、文化財指定"(朝日新聞、2017年6月15日記事)。
  15. 史跡等の指定等について(文化庁報道発表、2017年11月17日)。
  16. 平成30年2月13日文部科学省告示第21号。

関連資料

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関連項目

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  • 熊本地震 (2026年) - 2026年(令和8年)に発生したM7.1の地震。2016年の地震で破壊されずに残った日奈久断層帯の南側区間が活動したと指摘されている。
  • 熊本地震 (2016年) - 2016年(平成28年)に発生したM7.3の地震。布田川断層帯および日奈久断層帯の北側区間が広範囲にわたって連動・活動した。
  • 熊本地震 (1889年) - 1889年(明治22年)に発生したM6.3の地震。震源域は2016年の地震とほぼ同じ範囲(布田川断層帯周辺)と推定されている。
  • 別府‐島原地溝帯

外部リンク

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