小児脳幹部グリオーマ

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小児脳幹部グリオーマ: Diffuse intrinsic pontine glioma、略称:DIPG)とは、脳腫瘍の一種。別名:小児脳幹部神経膠腫グリア細胞が変異した癌であるグリオーマ脳幹部(主に)に発生する。手術不可能な部位にて、主な治療法は放射線治療化学療法になるが、化学療法について現在めぼしい効果は上がっていない。主に5歳から10歳の小児に発症する。一方でマイナーではあるものの15歳以上の患者も一定数居る。[1][2]

症状[編集]

複視(物が二重に見える)を伴う内斜視が起こり、手足や表情に麻痺が出て、歩行がふらつき、嚥下障害がでてむせ始める。最終的には、嚥下障害で肺炎を併発したり、呼吸困難や、心停止により死を迎える。1年生存率は50%と言われている。

発生頻度[編集]

日本国内において、年間50件前後[3]、米国においては、年間300件前後[4]と言われている。

画像所見[編集]

治療法[編集]

予後が悪く、完治を目指す治療法は、2017年現在ない。

延命や一時的回復を目的とした標準的な治療は、6週間の放射線治療。1.8グレイを週5回でトータル30回、最大54グレイ投与するもの。症状が改善されることが多い。投与量が30グレイ前後を超えたあたりで、症状の改善が見られるケースが多い。放射線治療後6から9か月後に腫瘍の活動が再開し(再燃と呼ばれている。)急速に症状が進む。一部の病院では放射線の再照射が行われている。これは、初回の6週間54グレイにたいして、25グレイ前後の量を初回投与後8か月後などにて行われている。いずれも延命とQOLの向上を目的としており、根本治療とは言えない。放射線治療は、回転照射や八方向照射など、多角度からの照射が行われるが、角膜などへの後遺症を避けるべく、台に固定するマスクを作って慎重に行われる。橋への照射は、副作用が少ないと言われており、IQの低下などの後遺症は起きない。主な副作用として吐き気および照射箇所の頭髪の脱毛がある。また、放射線治療中に腫瘍が腫れ、脳圧が上がり、放射線治療の継続に支障をきたすことがある。この場合、デカドロンというステロイド剤で脳圧を調整することや、それ以外には、放射線治療時に外減圧術という頭蓋骨の一部を除去し、脳圧を下げる手術があり東京女子医大などが行っている。[5]外減圧術を行うと脳圧を調整するステロイドを減薬することが出来、ステロイドの副作用である肥満や感情の不安定などを避けることができるため、QOL向上につながる。また、外減圧術以外ではダイアモックスの処方にてボディダメージの大きいステロイドに頼らず脳圧をコントロールする医師もいる。

ヒストンのH3のK27M遺伝子に変異が認められているが、現在のところ有効な薬は開発されていない。[6][7][8]

また、誤認性の低い病気にて、MRICTの画像と発症時の年齢でほぼ間違いなく診断されるため、生検のメリットは化学療法での有効性が確立されていないことや後遺症が残るリスクがある為、極めて低い。イレギュラーな発症年齢や患者の保護者が強く主張する場合は生検を行うこともあるが、生検手術後、寝たきりになるなどのケースもあるので、慎重な判断が必要。

著名な罹患人物[編集]

宇宙飛行士であるニール・アームストロングが第二子カレンをこの病気で亡くしている。[9]

関連項目[編集]

脚注[編集]

外部リンク[編集]