女らしさ

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ヨーロッパの貴族や宮廷関係者は、身分制にあぐらをかき、(男性も女性も)あまり働かず、他の人々から搾取して暮らしている人々なのだが、彼ら貴族・王族などが思い描き、バレエで表現された女らしさ。働かず、着飾って、踊っている女性。
イスラム世界での女らしさ。絨毯織りは女性の仕事。絨毯織りに限らず、織り仕事全般が女性の仕事。働き者である、ということが女性らしいことである。そして、人目にふれる場所では、肌を隠し、ヒジャブヴェール)をかぶるのが女性らしい。画像はトルココンヤ
よく働くこと、働き者であること、が女性らしさだ、とされている文化圏は多い。畑仕事に精を出す女性。画像はルワンダのもの。
日本の女性も、昔も今も、たいていの女性は、よく働く。

女らしさ(おんならしさ)または手弱女(たおやめ)とは[1][2][3]、「それが女性及び女児の特性(あるいは特徴・要件等)である」と特定の話者や特定の集団が想定している固定観念群のこと。「男らしさ」に対置される観念である。

概説[編集]

「女らしさ」は、文化圏、地域、宗教の教派、歴史、時代、世代、家庭環境、個人の嗜好などの影響を受けつつ形成され、多様である。同一地域、同一文化圏であっても、時代とともに変化してゆくことは多く、ある人が思い描く「女らしさ」も、年齢や経験とともに変化してゆくことは多い。

例えば、日本では「男は度胸、女は愛嬌」というが、これは女性は愛嬌があるほうが女らしくて魅力的だ、つまり、女性というのは、愛想が良くあるべきだ、とか、笑顔を見せてひとに感じ良く振る舞うほうが女性としての魅力がある(そうあるべきだ)、という考え方である。

一概には言えないが、要素ごとに、文化的に醸成されたものである、とする見解や、生物学的差異に由来するもの、とする見解がある。例としては、前者を指摘する場合は、(しつけ)や社会環境(前述の文化・地域・宗教・歴史・家庭環境 等)による人格形成への影響などを指摘する見解がある。後者を指摘する場合は、ホルモンの違い、(その結果として生じる)脳の性差などで性格・性向が規定されている可能性を指摘する見解がある。文化人類学者などは文化的な面に比重を置いて言及し、生物学者などは生物学的な面に焦点を当てて他の面を見落としてしまうことが多い。いずれにせよ、全ての要素を一般化して説明することは困難である。

なお、コミュニケーションのしかたについては、Deborah TannenやJulia T. Woodらによって、男女差(「男らしさ」(「男のやりかた」)「女らしさ」(「女のやりかた」)があることが指摘されている。それが相互不理解、相互誤解のもとにもなっているという。詳しくは 記事「コミュニケーション#コミュニケーションの男女差」を参照のこと。

例えば次のようなことが世界的に「女らしさ」と考えられる傾向がある。

  • しとやかで上品
  • なよなよとしていて気立ての優しい
  • 感情が豊か
  • 感受性がある。
  • 自分の子供を護ろうとする本能が強い。いわゆる「母性」。
  • (男性に比べて)安全を好む。無謀なことを避ける。(男性は子供の時期に「自分は勇敢だ」と周囲にアピールしようとし、無駄に危険なことをして周囲の人に見せようとする傾向が強く周囲をヒヤヒヤさせ、結果としてケガが多いということが統計的に明らかになっていて、大人になると無謀さは多少は改善するがそれでもやや残る。それに対して)女性は子供のころから「自分は勇敢だ」などと見せようとする性質がそもそも無く、無駄に危険なことをすることもない。統計的に見て男性よりケガが少ない。基本的に安全志向。
  • 世界のほとんどの地域で、大抵の人々は(貴族など一部の特権階級を除いて)女性はよく働く、と思っている。日本でも人口の大半を占めていたのは農家であり、「よく働くこと」「働き者」が、良き女性、魅力的な女性の要件であった。
  • 細やか。優しい
  • 第二次世界大戦後からウーマン・リブ男女平等運動などが起こり、主体性や「心のたくましさ」などが、女性が備えるべき性質、と見なされることが増えた。
  • (実際)ほとんどの女性は心がたくましい。(多くの男性のように理念ばかりが先行して、理念どおりに行かない時に心がポキリと折れてしまう、ということはほぼなく)どんな状況でも、たくましく「生き抜く」ことを最優先にする。男性に比べて統計的に自殺率が低い。
  • 本能的(男性のように理屈や理性を先行させたりしない)。したたか[4]
否定的には
  • 「感情的」[注 1]ヒステリック[注 2]
  • 「すぐに泣く、を流す」[注 3]「泣いて誤魔化す」「ウソ泣きで(周囲の)人を操ろうとする」
  • 「ずるい」[注 4]
  • 嫉妬深い」「すぐにねたむ」[注 5]
    • (嫉妬のあまり)他者を貶めようとして、事実に反する噂を作って意図的に流したりするなど、さまざまな人間関係上の悪だくみを行い、人間関係の平和を根本から乱す。
    • 女性どうしでもたがいにねたみ、互いの足の引っ張り合いばかりしている。同僚でも足の引っ張り合いをする。
  • ものごとの見方が自己中心的。全てのものごとを、あたかも自分が主人公であるかのような視点でとらえる。出来事を、自分中心の視点ばかりで周囲の人々に語り、行動する。その結果、人間関係でいざこざを引き起こす。[注 6]
    • 嫁とがかなりの確率で喧嘩をする仲になる、ということは世界的に有名である。大抵の場合、は、ほとんど自分の視点や息子の視点でしか ものごとを見ない(=自己中心性。相手の立場からものごとがどう感じられるか、つまり嫁の立場からものごとがどう見えるか、心の底から思いやることをしない)。嫁のほうも、自分の視点からものごとを見て、姑の視点から見てみることが少ない。生まれつき自己中心な女性二人が、「嫁」と「姑」という立場でたがいに対峙するので、大抵 仲が悪くなる。(義理の息子と義理の父親は、そこまでの高頻度で仲が悪くなることはない、ということは世界中で知られていて、常識となっている。)
    • 会社の従業員どうしの人間関係でも、(男性社員と比べて)はるかに女性社員同士で、憎みあったりすることや、陰口をたたくことや、陰湿ないじめ・いやがらせをすることが多い。(男性社員は、女性社員に比べれば、そういう状態になることは少ない。)
  • 「欲深い」「自分のことばかり考えている」[注 7]
  • 「不平・不満ばかりを言う」[注 8] 「愚痴が多い」
  • (男性と比べて)(自分のやること、やるべきことに注意を向けておらず)「自分の外見のことばかり気にしている」「ひとからの評価ばかり気にしている」[注 9]
    • 表面だけ偽装して誤魔化す。化粧や「作り笑い」をする。表面だけ偽装し、自分の心の根本を反省することを後回しにする。年齢を重ねても、男性のように何らかの知恵や悟りに到達する人が少ない。仏教では古くから「女人、度し難し」(にょにんどしがたし。=女は悟りに到達できない)と言う。女人成仏[字引 1]は不可能だともされている。[注 10]

ギャラリー[編集]

身体ポーズや体型の「女らしさ」

フェミニズム[編集]

フェミニズムにおいては、「女らしさ」は強制、ととらえられる。

意識調査[編集]

21世紀前期前半の若者[編集]

文部科学省の外郭団体である財団法人「一ツ橋文芸教育振興会」と「日本青少年研究所」は、2003年(平成15年)秋に日本米国韓国中華人民共和国の高校生各千人を対象にアンケート調査を行い、2004年(平成16年)2月にその結果を発表した。この結果にもとづき、読売新聞は、日本では「女は女らしくすべきだ」を肯定した生徒が28.4%であり、他国(米58.0%、中71.6%、韓47.7%)よりも「突出して低い」と報じた。また、「男は男らしく」を肯定した人も43.4%と、4か国で唯一半数以下であると指摘した[5]

なお、上記の新聞記事が引用し、日本青少年研究所が公開している調査報告書には、単純集計結果と男女別集計結果が記されている。この報告書における男女別集計結果によれば、調査対象者と各項目を肯定した者の男女比は下記のとおりである[6]

調査対象と調査結果(「肯定」は「全くそう思う」と「まあそう思う」の割合の合計。単位は%)
日本の旗日本 アメリカ合衆国の旗米国 中華人民共和国の旗中国(大陸) 大韓民国の旗韓国
男子 女子 男子 女子 男子 女子 男子 女子
調査対象 35.0 64.8 47.6 52.1 45.7 54.0 52.9 47.1
女は女らしくすべきだ 肯定 38.9 22.5 61.0 55.5 75.4 68.0 61.3 32.3
男は男らしくすべきだ 肯定 49.2 40.4 65.1 62.4 83.0 79.7 67.4 40.9

『読売新聞』2004年(平成16年)2月20日朝刊の社説は、「日本青少年研究所」が公開した4カ国対象の意識調査において、「女は女らしくすべきだ」を肯定した日本の生徒が少なかった事などにもとづき、「教育界で流行している『ジェンダーフリー』思想の影響を見て取ることができる。」とし、その社説の最後で「調査結果は、倒錯した論理が広がったときの恐ろしさを示している。」と結論づけた[7]

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ 「男らしさ」を「感情の表現を抑える」とした場合の、裏表の関係にある観念。比較によって自然に生まれる評価。
  2. ^ 医学的にも、16世紀以来、ヒステリーは女性に典型的な病気だと考えられてきた。「ヒステリー」の記事も参照。
  3. ^ 「男らしさ」が「感情をおもてに出さないこと」とする観念との対比・比較によって生まれる観念。
  4. ^ 「男性らしさ」を「潔い(いさぎよい)」とした時の、裏表の関係の観念。比較によって自然に生まれる評価。
  5. ^ 男性。
  6. ^ 一例として、松居一代のものごとのとらえかたや、発言のしかた、行動パターンを見てみると、「女性らしさ」の一面が分かる。松居一代は、夫となった船越の 実の妹について、「(船越の妹を)呪い殺してやったわ」と語ったことがある。すべてのものごとを自己中心的に見ているから、離婚騒動になった時も、異様な姿でカメラの前に出ても、それが変だと気付かずにいた。
  7. ^ 「男性らしさ」を「天下国家のことを考える」「自分(個人)を超えた人類社会全体のことを大切にする」とした時の、裏表の関係の観念。比較によって自然に生まれる評価。
  8. ^ 「男性らしさ」は「我慢強いこと」「よく耐えること」、という観念によって、比較・対比によって自然に生まれる評価。
  9. ^ 「男性らしさ」が「良い仕事をしようとする(意欲・覚悟・気骨がある)」「天下・国家という価値観で自分の仕事を判断し、周囲の人間からの評価は気にしない、あてにしない」という観念との比較・対比によって自然に生まれる評価。
  10. ^ 一例として、小保方晴子の発言パターンや行動パターンを分析してみると、「女性らしさ」の一面がよく理解できるようになる。「女らしさ」で行動しているので、「割烹着」姿でカメラの前に登場して視聴者の印象操作をしようとするし、科学研究の内容についても偽装やインチキで済ましてしまおうとする。科学者らしく、インチキは一切なしで本当の実験を行い、真面目に自然科学を組み立ててゆく、ということが出来ていない。
字引
  1. ^ 女人成仏”. コトバンク. 2020年6月13日閲覧。

出典[編集]

  1. ^ 小学館『デジタル大辞泉』. “女らしい”. コトバンク. 2020年6月13日閲覧。
  2. ^ 三省堂大辞林』第3版. “女らしい”. コトバンク. 2020年6月13日閲覧。
  3. ^ 小学館『精選版 日本国語大辞典』. “女らしい”. コトバンク. 2020年6月13日閲覧。
  4. ^ 「女はしたたか」
  5. ^ 読売新聞読売新聞社、2004年2月17日朝刊。2020年6月13日閲覧。
  6. ^ 高校生の生活と意識に関する調査”. 公式ウェブサイト. 財団法人日本児童教育振興財団内 日本青少年研究所 (2004年2月). 2020年6月13日閲覧。
  7. ^ 「社説」『読売新聞』読売新聞社、2004年2月20日朝刊。2020年6月13日閲覧。

関連文献[編集]

外部リンク[編集]