大淫婦バビロン

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Whore of Babylon.jpg

大淫婦バビロン(だいいんぷバビロン)は、キリスト教の『聖書』の『黙示録』のアレゴリーの一つ。大いなるバビロンともいう。

概要[編集]

『黙示録』によれば“悪魔の住むところ”であり“汚れた霊の巣窟”である。女の姿で表されておりきらびやかな装身具を身につけ、手に金を持つが[1]、その杯は姦淫による汚れに穢されているという。大淫婦は殉教者の血を流すが、「十の角と獣」に憎まれて肉を食われ、火で焼き尽くされる[2]。様々な災害が一日のうちに彼女を襲い、火で焼かれるともある[3]。そのため、災害に巻き込まれないよう彼女から離れ去るようにと厳重に警告が発せられている[4]

わたしはまた、もうひとつの声が天から出るのを聞いた、「わたしの民よ。彼女から離れ去って、その罪にあずからないようにし、その災害に巻き込まれないようにせよ。彼女の罪は積り積って天に達しており、神はその不義の行いを覚えておられる。彼女がしたとおりに彼女にし返し、そのしわざに応じて二倍に報復をし、彼女が混ぜて入れた杯の中に、その倍の量を、入れてやれ。彼女が自ら高ぶり、ぜいたくをほしいままにしたので、それに対して、同じほどの苦しみと悲しみとを味わわせてやれ。彼女は心の中で『わたしは女王の位についている者であって、やもめではないのだから、悲しみを知らない』と言っている。それゆえ、さまざまの災害が、死と悲しみとききんとが、一日のうちに彼女を襲い、そして、彼女は火で焼かれてしまう。彼女をさばく主なる神は、力強いかたなのである。 — ヨハネの黙示録18章4節から8節(口語訳)

旧約聖書引用説[編集]

旧約聖書には、遊女やその取り持ち女を戒めたり、バビロン捕囚に関連してバビロン王について書かれた記述がみられるが、これに加えて都を遊女に喩える記述もあり(イザヤ書 1:21)、それらに影響され引用したものだとする説がある[5]

過去説[編集]

これが過去に起こったものとする立場では、堕落しきった女として暗喩されているものの正体はローマ帝国であり、彼女が乗る7つの首の獣はローマ帝国の7つの丘(もしくは7人の皇帝)を示しているとされる。ここで言うローマ帝国は古代ローマであり、キリスト教への迫害が強かったとされる時期のローマを指している。この時期にはカリグラネロといった暴君の存在によりローマの退廃が指摘される時期でもある。過去には、特にネロはローマ大火にかこつけてキリスト教徒を迫害したためにこのような暗喩で示されることとなった。ユダヤ庶民の俗信によれば、アンチクリストはネロ、もしくはネロの姿で現れるという。

現在進行説[編集]

現在進行形の預言とし、警鐘を鳴らす立場である。 宗教改革者は、大淫婦バビロンはローマ・カトリックであり、教皇は反キリストであるとした。教会組織や祭祀が発展してゆく過程で、祭祀や慣習に古代バビロニア由来の異教的要素が数多く取り込まれることとなり、教会自身が破滅を導くバビロンの悪習を引き継ぐ者に堕ちているとした。他にも現在の世界の偽の宗教全体を表しているとする意見もある[6]

未来説[編集]

これが未来についての預言とする立場もある。ディスペンセーション主義高木慶太は、ローマ・カトリック、リベラル・プロテスタント、世の偶像崇拝の宗教の混合したエキュメニズムが、大淫婦であるとした。

新宗教における用法[編集]

  • エホバの証人によれば、古代バビロンに由来する宗教慣行を持つ世界的な宗教体制全体を指す。その主な慣行には、三つ組みの神々の崇拝、人間の魂は死後も生き続ける教え、死者と話す心霊術、崇拝における偶像の使用、悪霊をなだめるための呪文の使用、不道徳行為の容認、国政への関与、僧職者階級などを挙げている[7]。その主要なものはキリスト教世界であるとし、キリスト教世界を含め、彼らが偽りと見なしている宗教は母なる大いなるバビロンの娘であると解釈している[8]。また近い将来、大娼婦バビロンは「緋色の野獣」が象徴する国際連合機構と、「十本の角」を持つ野獣が象徴する諸政府により滅ぼされると解釈している(ヨハネへの啓示 17:16)[9]

大淫婦バビロンが主題の創作物[編集]

ギャラリー[編集]

脚注[編集]

  1. ^ ヨハネの黙示録(口語訳)#17:4
  2. ^ ヨハネの黙示録(口語訳)#17:16
  3. ^ ヨハネの黙示録(口語訳)#18:8
  4. ^ ヨハネの黙示録(口語訳)#18:4
  5. ^ Drane, John (1999). Revelation: The Apocalypse of St. John. Palgrave Macmillan. p. 53. ISBN 978-0-312-22513-1.
  6. ^ 大いなるバビロンとは何ですか”. エホバの証人. 2017年10月8日閲覧。
  7. ^ 『ものみの塔』 ものみの塔聖書冊子協会、1991年12月1日号、11頁。 『ずっと見張っていなさい!』 ものみの塔聖書冊子協会、2004年、12頁。
  8. ^ 『啓示の書―その壮大な最高潮は近い!』 ものみの塔聖書冊子協会、2006年版、244頁。
  9. ^ 『啓示の書―その壮大な最高潮は近い!』 ものみの塔聖書冊子協会、2006年版、256頁
  10. ^ "And the woman was arrayed in purple and scarlet colour, and decked with gold and precious stones and pearls, having a golden cup in her hand full of abominations and filthiness of her fornication: And upon her forehead was a name written, MYSTERY, BABYLON THE GREAT, THE MOTHER OF HARLOTS AND ABOMINATIONS OF THE EARTH."

関連項目[編集]