事情変更の原則

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事情変更の原則(じじょうへんこうのげんそく)とは、契約締結時に前提とされた事情がその後変化し、元の契約どおりに履行させることが当事者間の公平に反する結果となる場合に、当事者は契約解除や契約内容の修正を請求しうるとする法原理をいう。Clausula rebus sic stantibus(ラテン語)とも呼ばれる。

日本で初めて事情変更の原則について論じたのは、ドイツ留学から帰国した岩田新東京商科大学(現一橋大学)教授が、1924年に『東京商大商学研究』で発表した論文「clausula rebus sic stantibusに就て」である[1]

このような考え方は複数の実定法規程において具現化されているが(民法第589条、第610条、借地借家法第11条、第32条等)、現在のところ一般原則として定めた規定は存在しない。しかし、判例・学説は、信義誠実の原則(以下「信義則」という。)を実定法上の根拠として、一定の要件の下で事情変更の原則の適用を認めている。

原契約の内容に変更が生じる場合は十分にありえるが、契約変更を必ず行うことは、絶対条件でも常識でもない。もし、当事者一方の事情で契約内容を変更できるなら、このとき“契約”をする必要性がない。契約締結後、事情が変更したため、原則として、両当事者の合意により契約内容を変更することができるというものであり、契約とは相互合意が基本で、契約書のその証となる。ただし条件が変わった時に、契約書を変更、修正するべきかは、法律によっては必須としてはいない。

申込中の契約で、条件が変わった時に元契約は拒絶され新たな契約になるということについては民法528条に規定されている。[2]

原契約の内容を変更する契約書は、印紙税法別表第一 課税物件表の適用に関する通則5、印紙税法基本通達第17条、別表第二により印紙税法上の契約書に含まれるが、原契約の内容を変更とは既に存在している契約である原契約の同一性を失わせないで、その内容を変更することを指し、この場合において、原契約が文書化されていたか、単なる口頭契約であったかは問わない。法は契約上重要な事項を変更する変更契約書を課税対象とすることとし、その重要な事項の範囲は基通別表第2に定められていますが、ここに掲げられているものは例示事項であり、これらに密接に関連する事項や例示した事項と比較してこれと同等、若しくはそれ以上に契約上重要な事項を変更するものも課税対象になる。

要件[編集]

  1. 契約締結後に著しい事情(当該契約の基礎となっていた客観的事情)の変更が生じたこと
  2. 著しい事情の変更を当事者が予見できなかったこと
  3. 著しい事情の変更が当事者の責に帰すべからざる事由によって生じたこと
  4. 契約どおりの履行を強制することが著しく公平に反し、信義則にもとること

条件変更[編集]

建設工事の場合、各種の調査を行って実施される設計に基づく設計と積算によって予算書が作成され予定価格が算出され、入札と落札を経て工事契約が締結される。しかし実際に工事に着手すると、契約時の条件が実際とは異なる場合や、工事着工以前には予見できなかった条件が出てくる場合もある。

建設工事請負契約約款では、第19条に条件変更等の規定がある。

提示された図面仕様書、閲覧設計書が一致しない場合、設計図書誤謬または脱漏がある場合、設計図書の表示が明確でない場合、工事現場の形状、地質湧水等の状態、施工上の制約等設計図書に示された自然的または人為的な施工条件と実際の工事現場が一致しない場合が設計変更に該当するとされており、このほか設計図書で明示されていない施工条件や、予期することのできない特別の状態が生じた場合についてもこの設計変更が適用される。また、設計図書の訂正、工期、請負代金額の変更、あるいは、損害を及ぼした場合の補償についても規定されている。

国土交通省 港湾局では、改正品確法の基本理念に基づき港湾工事における契約変更事務ガイドライン (PDF) を設けている。このガイドラインで設計変更とは、工事の施工に当たり、設計図書の変更にかかるものを、契約変更とは、設計変更により、工事請負契約書に規定する各条項に従って、工期や請負代金額の変更にかかるものとしている。

脚注[編集]

  1. ^ 好美清光「一橋における民法学」一橋論叢
  2. ^ 民法528条 承諾者が申込に条件を付し、その他変更を加えてこれを承諾したときは、その申込の拒絶と共に新たな申込をしたとみなす。

関連項目[編集]