ラッパウニ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動
ラッパウニ
Toxopneustes pileolus (Sea urchin).jpg
ラッパウニ(東ティモール近海)
分類
: 動物界 Animalia
: 棘皮動物門 Echinodermata
: ウニ綱 Echinoidea
: ホンウニ目 Echinoida
: ラッパウニ科 Toxopneustidae
: ラッパウニ属 Toxopneustes
: ラッパウニ T. pileolus
学名
Toxopneustes pileolus (Lamarck, 1816)
シノニム

Echinus pileolus Lamarck, 1816

和名
ラッパウニ
英名
Flower urchin

ラッパウニToxopneustes pileolus、喇叭雲丹)は、ラッパウニ科に属する熱帯系のウニの一種。短い棘を持つ大型種で、有毒である。表面はラッパ型の叉棘に覆われる。

特徴[編集]

殻は円形でやや扁平、殻径は約10cm。棘は短く、先端は鈍く、黄色から緑で白い筋が入る。生きているときにはラッパ状の構造が表面のほぼ全体を覆う。これがラッパウニの名の由来である。これは棘よりやや短い程度の柄の先端に円盤が乗った形をしている。

これは叉棘といわれるもので、ウニやヒトデには広く見られるものである。基本的には単なる棘でなく、先端に2-3の枝があって、その基部には関節があり、ピンセットのように動かすことの出来る構造である。普通のウニではこれはごく小さくて目立たない。しかしこのウニの場合、長さそのものが普通の棘に近く、しかも先端にある三本の枝が長くて大きく水平に広がるだけでなく、その間に皮膚がつながって全体が円盤状になっている。さらに内側は褐色を帯び、その外周が白くなっているために非常に目立つようになっているのである。なお、この叉棘には毒腺がある。

管足が伸びている状態

管足はよく発達しており、棘の数倍も伸びる。見かけでは、外側が叉棘に覆われていて棘が目立たず、さらに管足が多量に伸びていて、体表面に棘が優占する一般的なウニとは異なった外見を呈する。

生息環境[編集]

岩礁海岸潮間帯から潮下帯に見られる。岩の上に付着しており、往々にして殻の上に貝殻などのゴミを管足で引きつけて乗せている。これはカモフラージュのためと考えられる。

分布[編集]

どちらかといえば熱帯系の種で、サンゴ礁に多い。日本では房総半島相模湾までの本州南岸以南に見られるが、多くない。琉球列島ではより普通に見られる。国外ではインド洋から西太平洋にかけて分布する。

近縁種等[編集]

同属のシラヒゲウニT. gratilla (L.))も短い棘を持つ大柄なウニで、やはり暖かい海域で普通に見られるが、ラッパ状の叉棘を持っていないので混同することがない。

毒性[編集]

上記のように叉棘が毒腺を持っている。叉棘の枝のそれぞれの先端がやや内側に曲がって尖っており、これを内側に曲げてつまむようにすることで、毒を注入する。ガンガゼのようにウニの棘が刺さるのではなく、このような動作のために毒を受けるので、刺すと言うより咬むに近い。したがって手で触れたらその瞬間に刺される、というようなことはない。もちろんこれは素手でさわることを奨励するものではない。棘そのものではないから、手袋をすれば問題は少ない。

刺されてすぐは、その部分に疼痛を感じ、多少腫れることがある程度で、瞬時に激痛が走るガンガゼなどに比べると怖さは感じにくい。しかし神経毒であり、次第にしびれを生じたり、息切れが激しくなったり痙攣が起きたりと言った全身の症状を呈することがある。ダイバーが刺されておぼれ死んだという事例もあるという[1]。ただし個人差があるようで、何らの症状が出ないこともある。

なお、近縁のシラヒゲウニも同様の毒を持っているが、被害は少なく、希に食用の生殖腺を取り出す際に叉棘がこれに混入し、食べたときに口中を刺される事故があるという[2]

出典[編集]

  1. ^ 山本(2004)p.49
  2. ^ 塩山他(1997)p.80

参考文献[編集]

  • 西村三郎(編著)『原色検索日本海岸動物図鑑(1)』保育社、1992年。ISBN 978-4586302017
  • 山本典暎『海の危険生物ガイドブック』阪急コミュニケーションズ、2004年。ISBN 978-4484044026
  • 塩見一雄・長島裕二『海洋動物の毒―フグからイソギンチャクまで』成山堂書店、2006年。ISBN 978-4425826254