マンガ学

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マンガ学 - マンガによるマンガのためのマンガ理論 -(マンガがく、原題Understanding Comics: The Invisible Art)は漫画で書かれた漫画理論書である。アメリカ漫画家スコット・マクラウドの原作・画による。マンガにしかできない表現、魅力について存分に紹介されている。カラー印刷[1]日本語訳は美術出版社から刊行された。 ISBN 4-568-50198-9

概要[編集]

『マンガ学』はツンドラ・プレスから1993年に初版が発行され、キッチンシンク・プレスDCコミックのパラドクス・プレス、ヴェルティゴ・コミック、およびハーパーペレニアルから再版された。

本書では、「漫画」(comics)の定義、漫画メディアの歴史的発展、基本用語、そして本作自体で使用されている様々な漫画の手法が取り扱われている。本書は漫画という表現形式コミュニケーション媒体に関する、最も広範囲に読まれ大きな影響を及ぼした理論書である。また、本書は物語を綴るという目的以外への漫画表現の大規模な応用の一例としても注目に値する。

漫画は、抽象性(図形)・具象性(リアリティある絵)・意味性(言語)のピラミッドで構成されていると看破し、コマとコマとの間で起こる不思議な効果(コマ間)、時間と空間の同時表現(日本漫画の特異性)、描線と吹き出しの効果、言語(言葉)と絵の相互作用、形式・文法・構成の位置づけ、色彩について解説されている。

本書のレタリングはボブ・ラパンが手掛けた。

原題[編集]

マクルーハンの主著『Understanding Media』(日本語訳『人間拡張の原理』『メディア論』)をもじったもの(邦訳の訳注による)。

日本語訳[編集]

岡田斗司夫が、米国の出版エージェントからこれを渡され、一読したとたんに本書の革新性に気付いた。岡田がそれまで高く評価していた漫画技法書の著者である竹熊健太郎夏目房之介の両方に見せたところ、ぜひ日本語訳を出せと強く言われ、岡田自身が出版社(美術出版社)、翻訳者(海法紀光)を見つけ、1998年10月15日に岡田斗司夫監訳により日本語訳が刊行された。

影響[編集]

『マンガ学』はアート・スピーゲルマンウィル・アイズナーギャリー・トゥルードー(トゥルードーは本書をニューヨーク・タイムズの書評で取り上げた)等の著名な漫画家からの賞賛を受けており、マッキントッシュの共同開発者アンディ・ハーツフェルドは、本書を「これまでに書かれた視覚的ユーザーインターフェイスの設計に関する書籍の中で、最も洞察に満ちた一冊」と述べている[2]

ビジネス界で広く読まれている著述家のダニエル・ピンクはその主著『ハイ・コンセプト』(日本語訳:大前研一)で「『この本は、これまで読んだ本の中でも最高の部類に入る』というと、皆大笑いするのだが、彼らは全然わかっていない」と大絶賛している。本書に影響を受け、ピンクはその後、日本の漫画を研究するため日本に滞在までしてしまった。彼の近著『デキるやつに生まれかわる6つのレッスン』は全編をマンガで書き上げた[3]

本書中のマクラウドの結論の多くは議論を呼んでいるが、本書における漫画の「記号」性に関する考察と、「コマ間」の概念は、漫画表現に関する議論の一般的な基準点となった。

続編[編集]

スコット・マクラウドは本書と同じ形式により、漫画メディアが変化し成長するための手法を提言した『Reinventing Comics: How Imagination and Technology Are Revolutionizing an Art Form』(2000年)と、漫画を構成する基本的な手法についての研究である『Making Comics』(2006年)の二冊の続編を上梓している。

脚注[編集]

  1. ^ しかし、「本当にカラー印刷が必要なところ」しかカラーになっていない。これ自身が特殊な効果を狙っているものである。
  2. ^ http://www.scottmccloud.com/store/books/uc.html
  3. ^ 原作部のみピンクが担当。作画者は別にいる。過去刊行物の焼き直しやアンソロジーでなく、思想書のオリジナル刊行物を、漫画のみで刊行するという試みは世の東西を問わず異例なものである。

関連項目[編集]

  • 『コミックと連続的芸術』 - ウィル・アイズナーによる漫画研究書。『マンガ学』は同書に強く影響を受けて書かれた。

外部リンク[編集]