ペールエール

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ペールエールの例

ペールエール英語: Pale ale)は、ビールスタイルの1つ。イギリスの国民酒の1つである[1]。日本語のカタカナ表記としてはペール・エールもある[2]

イングリッシュ・ペールエールとも呼ばれる[3]

概要[編集]

アルコール度数は4.5%から5.5%、ダークゴールドから銅色の液色で、ホップの香りと苦味が特徴である[3]

バス・ブリュワリーのバス・ペールエールが有名[3]

名称の「ペール(pale)」は「淡い」の意であり、ペールエールが発祥した当時のエール (ビール)の液色が濃色であったことから名付けられた[4]。ただし、今日の日本のビール(ピルスナー)と比べると色合いが濃く、「淡い色」とは言い難い[1]。この他にも、「ペール」に「澄んだ」「濁りが無い」という意味合いがることから、当時の他のビールと比べて透明感のある銅色から「ペール」と名付けられたとする説もある[1]

琥珀色の淡い液色は発祥地であるイングランドバートン=オン=トレント英語版硬水に由来し、ペールエールを作るための水質を調整することを「バートン化、バートナイズ(英語: Burtonize)」と呼ぶ[4]

『ビアスタイル・ガイドライン1208』ではイングリッシュ・ペールエール(スタンダード)を以下のように定義している。

歴史[編集]

イングランドバートン=オン=トレント英語版では古くから修道院でビールが醸造されており、1630年頃にはバートンエール英語版が誕生する[2]。このバートンエールがペールエールの元祖と言われている[2]

イギリスでは1697年にビールの原料となるビール麦芽への課税が始まった[5]。そこで節税のため新たな製法が模索された結果、ホップの使用量を増やしたペールエールが誕生した[5]

アメリカン・ペールエール[編集]

アメリカ産のホップを用いてアメリカ人向けにしたペールエール[3]

ホップのアロマ香と苦味がより強い[3]

インディア・ペールエール[編集]

18世紀末、インドに輸出するために開発されたペールエール[3]

出典[編集]

  1. ^ a b c 酒井俊治「ビール・ペールエール(エール)」『塾長の酒百科 心も酔える魅力的なお酒の教科書』文芸社、2017年。ISBN 978-4286181240 
  2. ^ a b c 水川侑「ビールと『国富論』」『社会科学年報』第49巻、専修大学社会科学研究所、2015年、271-282頁、doi:10.34360/00008976ISSN 0389-9519NAID 1200067938192023年2月6日閲覧 
  3. ^ a b c d e f 『地ビールを極める本』ぴあ、2014年、14頁。ISBN 978-4835623566 
  4. ^ a b 一般社団法人日本ビール文化研究会『日本ビール検定公式テキスト』(2022年5月改訂版)マイナビ出版、2022年、68頁。ISBN 978-4839978853 
  5. ^ a b 「ギネスビール」誕生の背景に「酒税対策」、英国のビール文化は節税から生まれた?”. 税理士ドットコム (2018年3月31日). 2023年1月16日閲覧。