ハーモニックドライブ
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ハーモニックドライブは、ハーモニック・ドライブ・システムズ社の商標(日本では商標登録番号第801166号と第943799号)である。一般名称は後述の通り「波動歯車装置」である。
概要
[編集]楕円と真円の差動を利用した減速機である。波動歯車装置(Strain wave gearing)の機構を用いている。
サーキュラ・スプライン(C/S)、ウェーブ・ジェネレータ(W/G)、フレクスプライン(F/S)から構成される歯車装置であり、特徴として高減速比、軽量、コンパクト、バックラッシュが少ないなどがある。
歴史
[編集]- 1957年 - ハーモニックドライブの原理がクラレンス・ウォルトン・マッサー(Clarence Walton Musser)により発明される。
- 1964年 - 株式会社長谷川歯車がUSM Co.,Ltdと技術提携を行い、日本で初めてハーモニックドライブの実用化に成功する。
- 1970年 - 両社の共同出資により、ハーモニック・ドライブ・システムズ社が創立。
部品
[編集]- サーキュラ・スプライン(C/S:circular spline)
- 剛体リング状の部品。内周に歯が刻まれており、フレクスプラインより歯数が2枚多くなっている。通常、ケーシングに固定される。
- ウェーブ・ジェネレータ(W/G:wave generator)
- 楕円状カムの外周に薄肉のボール・ベアリングを組み合わせた部品。ベアリングの内輪はカムに固定されているが、外輪はボールを介して弾性変形する。通常は入力軸に取り付けられる。
- フレクスプライン(F/S:flexspline)
- 薄肉カップ状の金属弾性体の部品。開口部外周に歯が刻まれている。フレクスプラインの底をダイヤフラムと呼び、通常、出力軸に取り付けられる。
動作原理
[編集]フレクスプラインは、ウェーブ・ジェネレータにより楕円状にたわめられ、長軸の部分でサーキュラ・スプラインと歯が噛み合い、短軸の部分では歯が完全に離れた状態になる。サーキュラ・スプラインを固定し、ウェーブ・ジェネレータ(入力とする)を時計方向へ回すと、フレクスプラインは弾性変形し、サーキュラ・スプラインとの歯の噛み合い位置が順次移動していく。ウェーブ・ジェネレータが1回転すると、歯数差2枚分だけフレクスプラインは反時計方向へ移動する。
種類
[編集]- カップ型
- シルクハット型
- デファレンシャル型
- フラット型
- シールド型
減速比
[編集]波動歯車装置の減速比は次のように求められる。
フレクスプラインを出力としたときの減速比 は、サーキュラ・スプラインのピッチ円直径を 、フレクスプラインのピッチ円直径を とすると、
となる。
また、サーキュラ・スプラインの歯数を 、フレクスプラインの歯数を とすると、減速比 は、
となる。