ハラン (植物)

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ハラン
Aspidistra elatior1.jpg
Aspidistra elatior
大阪府2007年4月4日
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 単子葉類 monocots
: キジカクシ目 Asparagales
: キジカクシ科 Asparagaceae
亜科 : スズラン亜科 Nolinoideae
: ハラン属 Aspidistra
: ハラン A. elatior
学名
Aspidistra elatior Blume[1]
シノニム

Aspidistra lurida
Aspidistra punctata var. albomaculata
Aspidistra variegata
Plectogyne elatior
Plectogyne variegata

和名
ハラン(葉蘭)、バラン(馬蘭)
英名
cast-iron plant

ハラン(葉蘭、学名: Aspidistra elatior)とは、スズラン亜科ハラン属常緑多年草で、巨大なを地表に立てる植物である。古名は馬蘭(バラン)[2]

特徴[編集]

は地下を横に這う地下茎の形をとる。

葉は薄いが硬くてつやがあり、深緑色楕円形で長さが50cmを越える。密な群落を作るので、地面からこの様な大柄な葉が立ち並ぶような風景となる。日陰で手入れをしないでもよく育つ。

紫色多肉質5月ごろ地下茎から出て地面すれすれに咲く。ちょうど花が地面にめり込んだような格好である。

果実も地表に乗った姿になる。

花粉媒介[編集]

この植物の花は地上すれすれに咲くことから、カタツムリナメクジにより花粉が媒介されて授粉されるとの仮説を提唱した植物学者がいたが、1995年日本の加藤真がヨコエビ類のニホンオカトビムシがこの種の花粉を媒介することを示した[3]

分布・生育地[編集]

中国南部原産であると言われてきたが、中国での野生は見つかっておらず、鹿児島大学の迫静男らにより九州南部の宇治群島黒島諏訪之瀬島が本来の野生地であるという報告がなされている[4][5]

利用[編集]

よく庭園の下草として植えられ、斑入りなどの品種がある。ヨーロッパでも植えられ、ジョージ・オーウェル自伝的作品『葉蘭をそよがせよ』("Keep the Aspidistra Flying"、1936年)には、イギリス中産階級象徴として庭のハランが登場する。

和食での料理の盛りつけで料理飾りにハランの葉を包丁で細工したものを使うこともある。現在では高級料亭寿司で使われる。 後述する折詰刺身に付いてくる「緑色のプラスチックシート#人造バラン)」はこのハランの葉の飾りつけを模したものである。

語源[編集]

名称は中国語の「馬蘭」に由来する[2]。唐の陳蔵器によれば、「其葉蘭ニ似テ大ナル故、馬蘭ト名ヅク」とあり、その葉が蘭に似ていて大きいために付けられた名である[6]。 ところが、江戸時代に馬蘭(バラン)が次第に静音化し、ハランと呼ばれるようになって、のちに葉蘭の当て字が付けられた[2]。 たとえば、『多識篇』(1631年)、『大和本草』(1709年)、『和漢三才図会』(1712年)、『重修本草綱目啓蒙』(1844年)などでは馬蘭で項が立てられているが[7]、 江戸後期に出版された『草木育種』下(1830年)や『草木六部耕種法』十需花(1833年)では葉蘭と書かれている[8]。 また、バランやハランの他に、紫菊などとも呼ばれた[7]

人造バラン[編集]

人造バラン(あわび弁当)

寿司などの食品に付属する緑色のプラスチック装飾品をハランまたはバランというが、これはハランを真似て作ったプラスチック製のものを人造ハランと呼んだのが起源である。前に「人造」が付くため「ラン」が連濁して人造「ラン」となり、「人造」が取れて短縮された結果である。

ハラン属[編集]

ハラン属(ハランぞく、学名: Aspidistra)は、これまでに85が中国、インド東部、ベトナムラオス台湾日本で発見されており、そのうち59種は中国に分布し、さらにそのうちの54種は中国の固有種である。

脚注[編集]

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  1. ^ 米倉浩司; 梶田忠 (2003-). “「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)”. 2011年12月24日閲覧。
  2. ^ a b c 湯浅浩史「ハラン:文化史」(小学館『日本大百科全書』、1984年)
  3. ^ Kato, Makoto (1995). “The aspidistra and the amphipod”. Nature 377: 293. doi:10.1038/377293a0. ISSN 0028-0836. 
  4. ^ 迫静男、丸野勝敏「黒島の植物 (PDF) 」 、『鹿児島大学農学部演習林報告』第11巻、鹿児島大学1983年、 33-61頁、 ISSN 0389-9454NAID 110004992597
  5. ^ 迫静男ほか「宇治群島の植物相 (PDF) 」 、『鹿児島大学農学部演習林報告』第16巻、鹿児島大学、1988年、 83-108頁、 ISSN 0389-9454NAID 110004992633
  6. ^ 古事類苑』植物部、洋巻、第二巻、p. 788に引く『大和本草』
  7. ^ a b 古事類苑』植物部、洋巻、第二巻、p. 788。
  8. ^ 『古事類苑』植物部、洋巻、第一巻、p. 1063。

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]