ハカタユリ

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ハカタユリ
ハカタユリ
ハカタユリ
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 単子葉類 Monocots
: ユリ目 Liliales
: ユリ科 Liliaceae
: ユリ属 Lilium
: タンシユリL. brownii
変種 : ハカタユリ L. b. var. viridulum
学名
Lilium brownii var. viridulumBaker
和名
ハカタユリ(博多百合)

ハカタユリ(Lilium brownii var. viridulum)は、ユリ科ユリ属の植物であるタンシユリ英語版変種[1]。原種のタンシユリの葉は披針形であるのに対して、ハカタユリの葉は長楕円形から卵形である[2]

名称[編集]

ハカタユリは中国語では単に百合と名付けられ、球根の多数の鱗片を指している[3]

韓国では唐百合(朝:당나리)と呼ばれ、中国から導入されたことを示している。

日本には16世紀後半におそらく朝鮮半島から伝わったとされ、博多港を経由したことからハカタユリと名付けられた[4]。しかし、中国人の男性が博多の日本人女性に贈られたという別の説もある[5]

栽培と用途[編集]

ハカタユリの球根は、中国では約2000年前から食用や薬として利用されてきた[6]

その栽培が始まったのは遅くとも1000年前までに行われ[7] 、その後は花の美しさや香りを称賛する多くの詩が書かれたことから、当時は鑑賞植物としても広く栽培されていたことが分かる。12世紀の有名な詩人である陸游は特にこのユリが好きで、窓の前にいくつか植えていたほどだった[8]

龍牙百合と呼ばれる品種は、球根が大きく品質が良いことから特に有名であり、中国ではオニユリ(巻丹)、シセンユリ(蘭州百合)と共に料理や薬用として最も重要な中国三大食用百合の一つである[9][10]。台湾では、オニユリ、イトハユリニワシロユリなど他の近縁種と同様に、花も球根も食用とされている[11]

脚注[編集]

  1. ^ Lilium brownii var. viridulum in Flora of China @ efloras.org”. efloras.org. 2023年7月31日閲覧。
  2. ^ Lilium brownii in Flora of China @ efloras.org”. www.efloras.org. 2020年9月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年7月31日閲覧。
  3. ^ ウィキソース出典 李時珍 (中国語), 本草綱目, ウィキソースより閲覧。 
  4. ^ Okubo, H.「History of Lilium brownii var. colchesteri in Japan」『Science Bulletin of the Faculty of Agriculture, Kyushu University (Japan)』2006年、ISSN 1347-0159 
  5. ^ Okubo, Hiroshi; Hiramatsu, Michikazu; Masuda, Jun Ichiro; Sakazono, Satomi (2012-12-20). “New insight into brownii var. colchesteri” (英語). Floriculture and Ornamental Biotechnology 6 (SPEC.ISS.2): 44–52. ISSN 1749-0294. http://www.scopus.com/inward/record.url?scp=84899520237&partnerID=8YFLogxK. 
  6. ^ ウィキソース出典 張仲景 (中国語), 金匱要略, ウィキソースより閲覧。 
  7. ^ ウィキソース出典 韓鄂 (中国語), 四時纂要, ウィキソースより閲覧。 
  8. ^ 陸遊. 窗前作小土山蓺蘭及玉簪最後得香百合並種之.
  9. ^ 陈辉 (2019年8月28日). “【药材辨识】百合,你买对了吗?” (中国語). 搜狐网. 羊城晚报. 2023年7月31日閲覧。[リンク切れ]
  10. ^ 杨利平; 符勇耀; 范军好; 黄渝 (2019-10-28). “龙牙百合3个地方品种的形态特征及核型分析” (中国語). 植物科学学报 37 (5): 559–568. doi:10.11913/PSJ.2095-0837.2019.50559. ISSN 2095-0837. https://plantscience.cn/cn/article/doi/10.11913/PSJ.2095-0837.2019.50559. 
  11. ^ 可供食品使用原料彙整一覽表”. 2014年1月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年7月31日閲覧。