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オニユリ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
オニユリ
オニユリ
オニユリ
保全状況評価
NOT EVALUATED (IUCN Red List)
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 単子葉類 Monocots
: ユリ目 Liliales
: ユリ科 Liliaceae
: ユリ属 Lilium
: オニユリ L. lancifolium
学名
Lilium lancifoliumThunb.
和名
オニユリ[1]
巻丹(オニユリ)。『成形図説』(1804年)
コオニユリ (Lilium leichtlinii)

オニユリ(鬼百合・学名Lilium lancifolium)とは、ユリ属植物

形態

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草丈は1 - 2m程となる大型のユリ[2]。葉は互生し、小さめの披針形で先端はゆるく尖る。茎は紫褐色で細かい斑点がある。花季は7月から8月で、花弁はオレンジ色、濃褐色で暗紫色の斑点を生じる[2]。花弁は強く反り返る。種子は作らないが、葉の付け根に暗紫色のムカゴを作る[2]

花粉はラグビーボール状の形で、大きく長い口が目立つ。表面の模様は網目状で、よく見ると細かい粒が集まって構成されている。全体的に同科のバイモ属ウバユリ属の花粉に似ているが、オニユリの網目はこれらよりやや大きい[3]

一般的にオニユリは三倍体であるが、朝鮮半島や済州島そして対馬には二倍体が分布している[4][5]。対馬のオニユリの75%が二倍体である[6]

類似種

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赤く反り返った花をつけるユリは幾つか知られており、日本国内だけでもコオニユリクルマユリがあるほか、他にもアジアには何種か知られる。[7][8][9]

生態

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球根は永年性。

種子繁殖は行わず、葉腋にむかごを付ける。

分布

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東アジア地域。中国大陸の南部から東北部にかけてと、朝鮮半島日本列島に分布する。

分類

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対馬には黄花のものが分布し、「オウゴンオニユリ」として本種の変種扱いとすることが多い。

オニユリとコオニユリは交雑が可能であり、コオニユリとの交配により異なる遺伝子型のオニユリが生み出されることが確認されている。大韓民国でも二倍体のオニユリが分布していない地域では見られない遺伝子型の三倍体オニユリが存在することから、オニユリとコオニユリの交雑が起きている可能性が考えられる[10]

人間との関わり

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食用・薬用

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アジアでは食用の習慣があり、球根を「百合根」として利用する。江戸時代の博物図鑑である『大和本草』では「巻丹」の名前で登場し、いわゆる「百合」とは区別されていた。百合の球根は苦味が強く食用に適さないのに対し、巻丹は味が良いと書かれている。巻丹はむかごができる旨も書かれており、この巻丹はオニユリと考えられる[11]

ただし、現在市場に出回る百合根は本種よりさらに味が良いコオニユリを使うことが多いとされる。食用種はオニユリの遺伝子が混ざった雑種ではないかと言われることもあるが、DNA検査の結果は西日本系のコオニユリが由来であることを示した[12]

栽培

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農薬は観賞用と球根食用で使えるものが異なり、いずれも登録農薬は少ないので注意する。観賞用の場合は作物分類を「ゆり」、上位分類は「花卉類・観葉植物」を使う。食用の場合は作物分類を「食用ゆり」もしくは「ゆりね」、上位分類は「鱗茎類(根物)」、「鱗茎類」、「野菜類」を使う。

種の保全状況評価

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国際自然保護連合(IUCN)作成のレッドリストでは、本種の保全状況の評価について2026年現在で「未評価」(Not Evaluated, NE)としている。日本の環境省が作成するレッドリスト(植物の最新版は2025年公開の第五次リスト)にも掲載されておらず、都道府県作成のレッドリストでも本種を指定するところはない[13]

象徴

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以下の自治体の花として指定されている。

名前

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植物は厳密に標準和名は定められていないが、「オニユリ」が事実上の標準和名に相当する代表的な名前とされ、『新日本植物誌』(1983)[15]、『環境庁植物目録』(1988)[1]、『日本維管束植物目録』(2012)[16]ほか、この名前で掲載する図鑑や目録が多い。

地方名として「アカユリ」(新潟県鹿児島県)、「アワユリ」「アワバナ」(九州南部)、「サトユリ」、「サドユリ」(東北北部)、「ヘービユリ」(静岡県)などがある[17]。単に「ユリ」、これが訛った程度の「ユイ」「ヨロ」などとも呼ばれるという[17]

中国語名は「巻丹」、朝鮮語名は「참나리」 もしくは「호랑이꽃」という。巻丹は中国や漢方薬の影響が強かった昔の書物にはよく出てくる名前である[11]

種小名lancifoliumは「槍のような葉」という意味。

出典

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  1. 1 2 環境庁自然保護局 編 (1988) 『植物目録1987―自然環境保全基礎調査―』. 大蔵省印刷局, 東京. ISBN 4-17-218787-0 doi:10.11501/13656269(国立国会図書館デジタルコレクション国立国会図書館内限定公開)
  2. 1 2 3 岩槻秀明『街でよく見かける雑草や野草がよーくわかる本』秀和システム、2006年11月5日、430頁。ISBN 4-7980-1485-0
  3. 三好教夫, 藤木利之, 木村裕子 (2011) 『日本産花粉図鑑』. 北海道大学出版会, 札幌. ISBN 978-4-8329-8198-0
  4. オニユリ :: おすすめコンテンツ ≫ 植物図鑑 :: 筑波実験植物園(つくば植物園) Tsukuba Botanical Garden”. tbg.kahaku.go.jp. 2023年9月12日閲覧。
  5. オニユリとは|ほぼふつうの植物図鑑 ヤサシイエンゲイ”. yasashi.info. 2023年9月12日閲覧。
  6. 岡部虎男「オウゴンオニユリ発見の歴史と栽培」『ヒトツバタゴ』第7巻、1990年、1-9頁。
  7. Kew World Checklist of Selected Plant Families 2026年8月7日閲覧
  8. Ohwi, J. (1984). Flora of Japan (in English): 1-1067. Smithsonian Institution, Washington, D.C.
  9. Lee, W.T. (1996). Lineamenta Florae Koreae: 1-1688. Soul T'ukpyolsi: Ak'ademi Sojok.
  10. 比良松道一 (2008年). 三倍体オニユリにおいて発現する高い有性繁殖能力の進化的背景と遺伝機構の解明”. KAKEN. 2023年9月5日閲覧。
  11. 1 2 貝原篤信 (1709) 『大和本草 巻の五 巻の六』. (国立国会図書館所蔵, 請求記号特1-2292イ, 写本)doi:10.11501/2557365国立国会図書館デジタルコレクションで閲覧可能)
  12. Hirofumi YAMAGUCHI, Yuko TAKAMATSU, Tomoki FUJITA, Akiko SOEJIMA (1997)Pedigree of Edible Lily Cultivars Assumed by Chloroplast DNA Polymorphism. 植物分類、地理, 47巻, 2号, pp.183-193. doi:10.18942/bunruichiri.KJ00001077555
  13. ホーム > 種名検索 日本のレッドデータ検索システム. 2026年8月1日閲覧.
  14. 町政情報 > 町花 川棚町役場 総務課情報政策係. 2026年8月1日閲覧
  15. 大井次三郎 著、北川政夫 改訂 (1983) 『新日本植物誌 顕花篇』. 至文堂, 東京. doi:10.11501/12614079(国立国会図書館デジタルコレクション図書館送信サービスで閲覧可能)
  16. 邑田仁 監修, 米倉浩司 著 (2012) 『日本維管束植物目録』. 北隆館, 東京. ISBN 978-4-8326-0970-9
  17. 1 2 日本植物友の会 編, 本田正次, 佐藤達夫, 松田修 監修(1972)『日本植物方言集(草本類篇)』, 八坂書房, 東京. doi:10.11501/12601610(国立国会図書館デジタルコレクション国立国会図書館内限定公開)

関連項目

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外部リンク

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