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オニカマス

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ドクカマスから転送)
オニカマス
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: スズキ目 Perciformes
: カマス科 Sphyraenidae
: カマス属 Sphyraena
: オニカマス S. barracuda
学名
Sphyraena barracuda
(Edwards1771)
和名
オニカマス
英名
great barracuda

オニカマス (学名:Sphyraena barracuda: barracuda, dingo-fish, giant barracuda, great barracuda) は、カマス科カマス属(分類について特に断らない限り[2])の硬骨魚[3]

Esox barracuda Edwards, 1771, Sphyraena baracuda (Walbaum, 1792), Sphyraena picuda Bloch & Schneider, 1801 はシノニム[2]。別名:ドクカマス。沖縄県における地方名:チチルカマサー、ジキランカマサー[4]

分布

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中部・西部太平洋インド洋大西洋の熱帯水域。国内では南日本、沖縄小笠原諸島[5][6]

形態

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全長180cm[7]に達し、これはカマス科で最大である[6]

体形は太短い。体側の背中側に多数の横帯がある。幼魚では体側と背部に斑紋がある[8]。全長50cm以下の幼魚以外には尾鰭後縁に1対の葉状部が発達する[6](尾鰭の上下の端は後方に向かって尖り、中央部に前方に向かう小さな切れ込みがある[5])。

カマスのなかでも特に大きな口と鋭い歯をもつ[9][10]

第1背鰭は5棘条。第2背鰭は1棘条、9軟条。尻鰭は2棘条、7-8軟条[7]。側線鱗は75-87枚[11]

生態

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沿岸からやや沖合のサンゴ礁の浅所に生息し[5]、他の小型の魚類甲殻類を食べる[9]。単独でいる姿がサンゴ礁でよく見られるが、群れをつくることもある[10]

海水魚であるが、幼魚は汽水域にも入る。与論島の汽水域(水路の流出部)で採集されたという報告がある[12]西表島の浦内川のマングローブ域における観察によると、マングローブが生育する河川岸部と砂地におおわれた中央部の比較では岸部で多く観察された[13]

気性は荒く、人間を襲うこともある[6][14]。海外では負傷者がでている。

人との関わり

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かつては他のカマス類と同様に食用にされていたが、現在ではシガテラ[15]の主要な原因魚であるとして流通していない[16]。日本では、食品衛生法第6条第2項の定める有害な食品[17]として厚生省通達[18]により販売は禁止されている[19]

マリアナからハワイにかけてトローリングの対象魚として人気がある[5]

その他、水族館で飼育されることもある[20]

脚注

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  1. ^ Aiken, K.A., Dooley, J., Marechal, J., Pina Amargos, F., Russell, B. & Singh-Renton, S. 2015. Sphyraena barracuda (errata version published in 2017). The IUCN Red List of Threatened Species 2015: e.T190399A115319634. https://dx.doi.org/10.2305/IUCN.UK.2015-4.RLTS.T190399A15603115.en. Accessed on 08 February 2024.
  2. ^ a b Sphyraena barracuda (Edwards, 1771) オニカマス”. BISMaL. 国立研究開発法人海洋研究開発機構. 2020年12月11日閲覧。
  3. ^ 中坊徹次 編『日本産魚類検索 全種の同定』(第三版)東海大学出版会、2013年2月26日、2428頁。ISBN 978-4-486-01804-9 
  4. ^ 自然毒のリスクプロファイル:魚類:シガテラ毒”. mhlw.go.jp. 厚生労働省. 2020年12月11日閲覧。
  5. ^ a b c d 石川皓章『釣りが、魚が、海がもっと楽しくなる! 海の魚大図鑑』瀬能宏(監修)、日東書院本社、275頁。ISBN 978-4-528-01210-3 
  6. ^ a b c d 『日本魚類館』小学館〈小学館の図鑑Z〉、2018年3月25日、443頁。ISBN 978-4-09-208311-0 
  7. ^ a b 『新訂原色魚類大圖鑑』多紀保彦, 河野博, 坂本一男, 細谷和海(監修)、北隆館、2005年12月10日、698頁。ISBN 4-8326-0820-7 
  8. ^ 本村浩之, 萩原清司, 瀬能宏, 中江雅典 編『奄美群島の魚類』鹿児島大学総合研究博物館, 鹿児島市, 横須賀市自然・人文博物館, 横須賀市, 神奈川県立生命の星・地球博物館, 小田原市, 国立科学博物館, つくば市、2018年4月2日、387頁。ISBN 978-4-905464-13-6 
  9. ^ a b 『危険生物大図鑑』今泉忠明(監修)、カンゼン、2014年5月12日、107頁。ISBN 978-4-86255242-6 
  10. ^ a b 『魚』福井篤(監修), さかなクン(特別協力)、講談社〈講談社の動く図鑑MOVE〉、2012年、136頁。ISBN 978-4-06-217635-4 
  11. ^ 中坊徹次 編『日本産魚類検索― 全種の同定―』東海大学出版会、1993年10月12日、1133頁。ISBN 4-486-01250-X 
  12. ^ 松沼瑞樹、龍野勝志「鹿児島県与論島で採集された汽水・淡水産魚類」『Nature of Kagoshima』第38巻、2012年、114頁。 
  13. ^ 南條楠土、河野裕美「西表島浦内川のマングローブ域に生息する魚類の生態研究:野外実験的アプローチ1 ―マングローブの根の構造は小型魚類にとって捕食者からの隠れ場なのか―」『西表島研究』第2011巻、東海大学沖縄地域研究センター、2011年、47頁、ISSN 2185-0011 
  14. ^ 新潟県佐渡地域振興局農林水産振興部 (2019年3月29日). “佐渡のお魚情報通信(ヤマトカマス)”. pref.niigata.lg.jp. 新潟県. 2020年12月11日閲覧。
  15. ^ 魚類による自然毒食中毒としては世界最大規模。プランクトンが産生する毒素が原因
  16. ^ 日比慶久、藤野裕弘、齋藤俊郎「静岡県沿岸域(西部・中部・伊豆地区)にてシガテラ原因物質であるシガトキシン類を産生する底生渦鞭毛藻類Gambierdiscus属の探索」『東海大学教養学部紀要』第49巻、2018年、133頁。 
  17. ^ 食品衛生法(昭和二十二年法律第二百三十三号)”. elaws.e-gov.go.jp. 2020年12月11日閲覧。 “第六条 次に掲げる食品又は添加物は、これを販売し(略)、又は販売の用に供するために、採取し、製造し、輸入し、加工し、使用し、調理し、貯蔵し、若しくは陳列してはならない。二 有毒な、若しくは有害な物質が含まれ、若しくは付着し、又はこれらの疑いがあるもの。”
  18. ^ 新日本法規出版 編「「毒かます」について 昭和28年6月22日衛環発第20号」『食品衛生小六法 平成23年版 2(通知・実例)』新日本法規出版、名古屋市、2010年、203頁。ISBN 978-4-7882-7358-0 
  19. ^ 厚生省通達により措置が定められた魚介類”. 東京都福祉保健局. 2020年6月17日閲覧。
  20. ^ 「<記事>4.水族館飼育動物」『瀬戸臨海実験所年報』第4巻、京都大学理学部附属瀬戸臨海実験所、1991年3月29日、16頁。 

関連項目

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