トリスタン・ガルシア

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トリスタン・ガルシア(Tristan Garcia、1981年4月5日 - )はフランス人の小説家哲学者である。

来歴[編集]

フランスは南西部のトゥールーズで生まれ、2000年に高等師範学校に入学。2015年に哲学の准教授としてリヨン第3大学に就任。

主な著書[編集]

文学[編集]

  • 『男のもっともよい部分』(La meilleure part des hommes、2008年)- パリ、1980年代、同性愛者の政治活動者たち、そこにエイズという病気が現れる。
  • 『ジャングルの記憶』(Mémoires de la jungle、2010年)- 語り手は人間の手で育てられ、言葉を覚えたチンパンジー。乗っていた飛行船がアフリカの海岸に落ちたことにより、ほぼ人間と化していた彼は未知のジャングルでの生活を余儀なくされる。
  • 『最終的なランキングがないとき』(En l'absence de classement final、2012年)- スポーツで勝敗の区別がつかなくなる様々な物語の短編集。
  • 『破壊者ファベール』(Faber le destructeur、2013年)- フランスの地方の小さな町の、恐ろしいほど頭のいいファベール(ラテン語で「ものを作る人」)という子供。ただ、育つにつれ、作るのではなく、自分の周りを破壊する悪魔のような運命を辿る。
  • 『7』(2013年)- 全7編の短編小説。一見、全く異なった6つの作品が最後の7つ目の物語の中で繋がり、死・生・愛についての壮大な小説となっている。

哲学[編集]

  • 『形と客体:「もの」について』(Forme et objet - Un traité des choses、2011年)- トリスタン・ガルシアによると、「形」(forme)には、それぞれの「もの」(chose)を他のものと違うものとして定義するという役割がある。どんなものでも、存在しているか否かに関わらず、そのものの形に囲まれている。ものについて、2つの視点がある。その1つは、形に囲まれているものだけを考えて、その周りの「世界」(monde)のなかではもの同士の区別をしない。「世界」は統一した無限の広がりのようで、形がないので「もの」ではない。2つ目の視点では、ある「もの」をもう1つの「もの」の一部分として考えることである。形に囲まれているものがもっと大きい形に囲まれているものの中に含まれているという場合である。そのような「ものの中のもの」は客体(objet)という。トリスタン・ガルシアの本は、対立した前半と後半に構成されており、前半では形の視点から(formellement)「もの」と「世界」の関係を探り、後半ではものの中にある客体の視点から(objectivement)「もの」と「もう一つのもの」の関係について考える。
  • 『人間でありかつ動物である我々』(Nous, animaux et humains、2011年)
  • 『激しく生きる-現代的な執念』(La vie intense - Une obsession moderne、2016年)
  • 『我々』(Nous、2016年)

脚注[編集]