トビズムカデ

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トビズムカデ
Scolopendra subspinipes mutilans.jpg
トビズムカデ
兵庫県神戸市
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
: 唇脚綱 Chilopoda
: オオムカデ目 Scolopendromorpha
: オオムカデ科 Scolopendridae
: オオムカデ属 Scolopendra
: トビズムカデ
S. subspinipes mutilans
学名
Scolopendra subspinipes mutilans
和名
トビズムカデ

トビズムカデ学名Scolopendra subspinipes mutilans)は、オオムカデ目オオムカデ科に属するムカデの一種。

生態[編集]

体長が普通8~15cmで、希に20cm近くにもなり日本産ムカデの中では最大級。 体色に個体ごとの変異が多く、赤い頭に黄色い足を持つ個体や、朱色の頭と足を持つ個体など、様々なものが存在する。

北海道南部から沖縄にかけて生息し、から晩まで観察されるが暖地や屋内では一年を通して見ることもある。

この個体は頭部と脚部が朱色である。上記画像の個体とは胴部の色彩も若干異なる

昆虫などにある幼虫成虫などの区分は基本的にない(性的に未熟な個体を若虫、成熟した個体を成虫と区別することがあるが、判別が難しい場合も少なくない)。通常は朽木や雑木林の落ち葉の中などやや湿り気のあるところに生息するが、肉食性なのでゴキブリバッタネズミなど小動物を捕食するため、住宅地でもゴキブリなどムカデの餌になるものが繁殖している人家では餌を求めて侵入することがある(ただし、住居内で 産卵することはない)。

節足動物の中ではシミなどと並んで比較的長命ので、およそ5年から7年ほど生きる。

繁殖[編集]

繁殖期には雄が雌の住む場所に行き、雌と気があったのであれば雌を誘因物質で誘導し、精子の入った精筴を置き、雌はそれを尾部の生殖器で回収する。

雌は小さな巣穴で80個近くの卵を産む。卵は背に乗せ、地面に触れないように抱卵し、体を丸めて卵を守る。卵を絶えず舐め、カビが生えないように抱卵する。卵は、雌の抱卵行動がなければ孵化出来ない。また、刺激を与えられたり、天敵に襲われた際には、雌は抱卵行動を放棄し、卵を食べてしまう。

孵化した幼体は二回ほど脱皮したら、親元を離れ、独立生活をする。

近似種[編集]

似た種にアカズムカデとアオズムカデ、沖縄産のハブムカデやタイワンオオムカデがいる。特に、ハブムカデは20cmを超えるほどの大きさになったという。

亜種とされていたアオズムカデはこれらの中では比較的小型で、10cm以下の個体が多く、数も比較的少ない。

また、マレーシア産のマレージャイアントオオムカデ(オニオオムカデともいう)をはじめとした東南アジア一帯には巨大な亜種がおり、体長が30cm近くにも達する。

中国では蜈蚣(ごこう)という漢方薬として使用される。アトピー性皮膚炎などの治療のほか、散剤として他の漢方薬に混合される。

毒性[編集]

本種の頭部にある顎肢には毒腺があり、それを刺すことで相手の体内に毒を注入することができる。

本種は人の住環境、農地等にも生息・出没するため、人と遭遇することが多い。その結果、子供が興味本位で触れたり、就寝中の寝返りにより接触したり、農作業中に掴んだりした場合に人が刺されることがある。 毒はヒスタミンセロトニン等のアミン類、また血球溶解作用(溶血性)を有するタンパク質が主成分である。これを体内に注入されると、激しく痛む(ムカデ咬症)。咬傷時には、早急に医療機関診療を受けることが勧められる。

衛生害虫として問題視され、アオズムカデがこの系統のムカデの中で一番毒性が強いともいわれる。

参考文献[編集]

  • 秋山智隆 『毒虫の飼育・繁殖マニュアル』 データハウス、2001年。