テンツキ

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テンツキ
Fimbristylis dichotoma (5188019016).jpg
Fimbristylis dichotoma
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 単子葉類 monocots
階級なし : ツユクサ類 commelinids
: イネ目 Poales
: カヤツリグサ科 Cyperaceae
: テンツキ属 Fimbristylis
: テンツキ F. dichotoma
学名
Fimbristylis dichotoma (L.) Vahl
花序部の拡大(日本産)

テンツキFimbristylis dichotoma)は、カヤツリグサ科テンツキ属の植物である。英名はない。

特徴[編集]

1年草である。茎は群がって生え、高さ15-50cmである。葉は根生して細長く、幅は1.5-5mm。茎は有毛。基部の鞘は開出毛を密生し、茶褐色をしている。花序は2-3回分枝し、長さ3-7cmで、先端に小穂が単生する。実のなる小穂は多数つき、長卵形であり、長さは5~8mm。小穂は光沢のある赤褐色で、多数の小花をもつ。果実期は8-9月である。

テンツキはふつう毛が多く、苞葉などにも毛が見られることが多いが、毛の量に個体差が生じる。また、ほとんど貧栄養な裸地で生育する個体は草高が10cm程度に小型化し、別種と見間違う。[1]

小花を覆う鱗片は卵円形で長さ2-3mm、毛はなく、先端ははっきり丸くて最頂部がわずかだけ突き出る。果実は長さ0.8-1.2mm、広倒卵形で断面はレンズ状。表面は格子模様があり、格子の内側は横長楕円形。色は黄褐色から淡い黄色で、柱頭は扁平で先端は二裂する[2]

名前については小穂で点をつけるので『点つき』、小穂が上を向くので『天突き』の二説あってはっきりしない[3]。和名については初島はオテンツキを採っている[4]

分布[編集]

日本では北海道、本州、四国、九州、沖縄の日本全土。 及び、朝鮮半島、中国、インド、インドネシア、オーストラリア、アフリカでみられる。[1]

生育環境[編集]

日本では平地から山地にまで生育する。低地の湿地に多く[3]、特に路端や水田のあぜ道などに見かける[2]

分類[編集]

柱頭が扁平で二裂し、果実に格子模様があり、淡い色で熟するものには、このほかにナガボテンツキ・クグテンツキ・ツクシテンツキ・クロテンツキなどがある。

特によく似ているのはクグテンツキ L. diphylloidesで、別種として扱ったこと[5]もあり、本種の変種 L. dichotoma var. floribunda とした例[3]、同じく変種だが F. dichotoma var. diphylla を採る例[6]、 品種 forma floribunda とした例[2]もある。標準的なテンツキよりやや大柄で、小穂はやや小さく、毛が多い。

なお、日本の標準的なテンツキを変種 F. dichotoma var. tentsuki とする扱い[7]もある。

水田周辺に出現するテンツキ属には多くの種があるが、大半はヒデリコアゼテンツキなど、小穂がずっと小さい。やや似たものとしてはクロテンツキがあるが、花序の包葉が短いこと、茎の基部に無葉身の鞘を生じることなどで判別できる。

脚注[編集]

  1. ^ a b テンツキ-西宮の湿生・水生植物-
  2. ^ a b c 北村他(1987)p.233
  3. ^ a b c 谷城(2007)p.138
  4. ^ 初島(1975)p.738
  5. ^ 佐竹他(1982)p.175
  6. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-2013). “BG Plants 和名−学名インデックス(YList)”. 2013年8月7日閲覧。
  7. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-2013). “BG Plants 和名−学名インデックス(YList)”. 2013年8月7日閲覧。

関連文献[編集]

  • 牧野富太郎, 1961. テンツキ. 前川文夫・原寛・津山尚(補遺・編) 『牧野 新日本植物図鑑』 p769. 北隆館
  • 大井次三郎, 1982. カヤツリグサ科テンツキ属. 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎・旦理俊次・冨成忠夫 (編) 『日本の野生植物 草本1 単子葉類』 p.173-175. p.156-158. 平凡社
  • 小林禧樹・黒崎史平・三宅慎也. 1998. テンツキ. 『六甲山地の植物誌』 p251. (財)神戸市公園緑化協会
  • 勝山輝夫・堀内洋. 2001. テンツキ属. 神奈川県植物誌調査会(編)『神奈川県植物誌 2001』 p415-421. 神奈川県立生命の星・地球博物館
  • 星野卓二・正木智美, 2003. テンツキ属. 星野卓二・正木智美・西本眞理子『岡山県カヤツリグサ科植物図譜(2)』 p138-159. 山陽新聞社
  • 小山鐡夫, 2004. カヤツリグサ科テンツキ属. 北村四郎・村田源・小山鐡夫 『原色日本植物図鑑 草本編(3) 単子葉類』 p231-237. p58-59. 保育社
  • 村田源. 2004. テンツキ. 『近畿地方植物誌』 164. 大阪自然史センター
  • 谷城勝弘, 2007. テンツキ属. 『カヤツリグサ科入門図鑑』 p124-138. 全国農村教育協会
  • 黒崎史平・松岡成久・高橋晃・高野温子・山本伸子・芳澤俊之 2009. テンツキ. 兵庫県産維管束植物11 カヤツリグサ科. 人と自然20:171. 兵庫県立人と自然の博物館
  • 初島住彦『琉球植物誌(追加・訂正版)』,(1975),沖縄生物教育研究会
    • 北村四郎・村田源・小山鐵夫『原色日本植物図鑑 草本編(III)・単子葉類(改定49刷)』(1987):保育社

外部リンク[編集]